W杯「こんなことがありました」ベスト11  日々是世界杯2018(7月12日)

宇都宮徹壱

第9位には日本人選手がランクイン!

本田(右)はW杯3大会連続ゴールを達成 【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)29日目。前日まで行われた準決勝の結果を受けて、14日の3位決定戦はベルギー対イングランド、15日の決勝はフランス対クロアチアに決まった。それまでの2日間はノーマッチデーのため、今回と次回は「出来事」と「選手」でW杯ロシア大会を振り返ることにしたい。今回は「こんなことがありました」という出来事のベスト11。個人的に印象に残った、今大会のトピックスを11選んで並べてみた。フィナーレに向けた余興として、お読みただければ幸いである。それではさっそく11位から。

【11位】アイスランドの元映像作家、メッシのPKを止める

 初出場かつ人口約35万人の小国ながら、初戦でアルゼンチンと引き分けて世界を驚かせたアイスランド。そのクライマックスは後半19分、リオネル・メッシのPKを34歳のGKハネス・ハルドルソンが止めた瞬間であろう。このハルドルソン、もともとアマチュアの選手で、本職は映像作家。彼が製作した、アイスランド代表をフィーチャーしたコカ・コーラのCM映像は、動画投稿サイトでも大いに話題となった。

【10位】スペイン代表監督、開幕前日に解任

 W杯開幕前日の6月13日、世界を驚かせるニュースが打電された。スペイン代表のフレン・ロペテギ監督が、突如解任されたのである。同監督は、スペインサッカー連盟との契約を残しながら、レアル・マドリーの監督に就任することが決まったこと、それを知らされていなかったことが解任の直接の原因となった。メガクラブが相手とはいえ、代表監督のステータスが著しく低下したことを象徴するような事件であったと言える。

【9位】日本人選手がアジア人初の3大会連続ゴール

 グループステージのセネガル戦に途中出場した本田圭佑が、後半33分に同点ゴールを決めて、10年南アフリカ大会(カメルーン戦とデンマーク戦)、14年ブラジル大会(コートジボワール戦)に続く3大会連続ゴールを記録した。合計4得点はアジア人選手としては初である。

「高速カウンター」「初のPK勝利」そして「全滅」

前回王者のドイツはグループリーグ最終戦で韓国に敗れ、決勝トーナメント進出ならず 【Getty Images】

【8位】前回優勝国のドイツ、アジア勢に敗れてグループステージ敗退

 優勝候補の最有力に数えられていたドイツが、グループステージで姿を消した。ドイツは初戦でメキシコに0−1で敗れ、続くスウェーデン戦には2−1と勝利。しかし最後の韓国戦では、何度もシュートを放ちながらゴールを奪えず、終盤の韓国の2ゴールに屈した。W杯でドイツがアジア勢に敗れたのはこれが初めて。10年大会のイタリア、14年大会のスペインに続き、3大会連続で前回王者がグループステージで姿を消すこととなった。

【7位】わずか9秒間の高速カウンターでベルギーが日本に逆転勝利

 ドラマは2−2で迎えた後半アディショナルタイムに待っていた。本田のCKをキャッチしたベルギーGKティボー・クルトワが起点となり、ボールはケビン・デブライネへ。デブライネがドリブルで持ち上がり、右サイドを走るトーマス・ムニエへパス。ムニエが低いボールを折り返すと、ニアのロメル・ルカクがスルーし、逆サイドのナセル・シャドリが左足で逆転ゴールを決めた。この奇跡のようなカウンターは、世界中のメディアの話題となり、今大会のベストゴールの1つとして今後も記憶されることだろう。

【6位】ラウンド16でイングランドが大会初のPK勝利

 1−1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦までもつれたコロンビアとのラウンド16。イングランドは守護神ジョーダン・ピックフォードがカルロス・バッカのキックを左手一本でセーブすると、エリック・ダイアーが見事にシュートをゴール左に決め、ベスト8進出を果たした。イングランドはこれまでPK戦にめっぽう弱いことで知られ、W杯では4度目にして初の勝利。ちなみに監督のガレス・サウスゲートも現役時代、1996年の欧州選手権(ユーロ)準決勝のドイツ戦で、PK戦の7人目のキッカーを務め失敗している。

【5位】アフリカ勢がグループステージで全滅

 今大会、アフリカから本大会に出場したのは、エジプト、モロッコ、ナイジェリア、セネガル、チュニジアの5カ国。カメルーンやガーナやコートジボワールといった「常連」が予選敗退となったことを考えても、アフリカのレベルそのものが下がったとは思えない。とはいえ今大会は、エジプト、セネガル以外の4カ国は軒並み厳しいグループに入ってしまう不運に見舞われ、グループステージでの勝利はナイジェリアとチュニジア、セネガルが1勝ずつを挙げたのみ。結果として、1982年スペイン大会以来の「全滅」となってしまった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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