【POWER HALL】長州は秋山と初遭遇 試合後に引退示唆「もう十分ですよ。靴はもう脱ごうと」

高木裕美

元ノア森嶋が10月にリング復帰を宣言

元GHCヘビー級王者であった森嶋猛が復帰宣言。40歳の誕生日に復帰試合を行うと発表 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 プロレスリング・ノアの元GHCヘビー級王者であった森嶋猛がリング上から復帰宣言。自身の40歳の誕生日となる10月15日に後楽園ホールで開催される「GENESIS」にて、シングルマッチ(対戦相手未定)で約3年半ぶりにリング復帰を果たすことを発表した。

 森嶋は1998年に全日本プロレスに入門し、2000年に旗揚げされたノアに移籍。その巨体を生かしたパワフルなファイトでGHCヘビー級やGHCタッグ王座を戴冠したが、15年4月、体調不良によるドクターストップで引退を表明。同年9月に引退試合が予定されていたが、延期となったまま、結局、引退試合もセレモニーも行われず、同年末に契約満了によってノアを退団していた。

 この日の第4試合終了後、黒髪にスーツ姿でリングに登場した森嶋は、観客の大「森嶋」コールを受け、四方に向かって礼をすると、「3年ぶりに後楽園に来ました。いろいろありました。プロレスがやっぱり好きなんで、10月15日、後楽園、ここのリングで自分の全力のプロレスをやります。あと3カ月。しっかりと整えてシングルマッチをやりますんで、ぜひとも来てください。本日はありがとうございました」と復帰を宣言した。

 復帰戦の相手は未定だが、「相手は(スタッフに)任せて、オレは誰であろうと全力でプロレスをやります」とキッパリ。欠場中は警備員やピザの宅配、ファミリーレストランの調理、コンサートの屋台など、プロレスとは関係のない様々な仕事に就いてきたが、昨年11月、自分でチケットを買って全日本プロレスの大会を観戦したことで、「やっぱりオレはプロレスをやりたい」と実感。迷惑をかけた関係各位にはあいさつ回りをし、過去にしっかりとケジメをつけたことで、復帰への道筋をつけた。

 かつてはノアで超危暴軍を結成し、「ヤル気、元気、モリシー」や「ドント・ストップだ、この野郎」をキャッチフレーズとしていた森嶋だが、この日もバックステージでのコメントで「帰還します。帰還します」と、大事なことを2回言うことは忘れず。批判も覚悟でリングに戻ることを決意した森嶋が、40歳の誕生日に、今度こそ「不惑」のファイトを見せ付けるか。

伊橋が藤原組長に玉砕も意地を見せる

前回大会で長州に酷評された伊橋(右)は藤原組長とのシングルマッチで根性を見せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第1試合では、前回の1.14後楽園大会で長州に酷評された伊橋剛太が決意の白装束で登場。変貌を遂げた姿で藤原喜明に挑むも完敗した。

 伊橋は前回大会のメインイベントで長州&飯伏幸太と組んで、藤波&TAKAみちのく&関本組と対戦。自身のプロデュース興行として「“プロのレスラー”にこだわった」ことを大会の趣旨に掲げていた長州だったが、「飯伏の親友である」という理由でメインに抜擢(ばってき)された伊橋を初めて見て、客席から笑いが起こるようなふがいないファイトに激高。試合中にも関わらず、味方の伊橋にストンピングをぶちかまして怒りをあらわにすると、試合後のコメントでも「オマエはダメだ。プロレスをやろうと思わない方がいい。遊びじゃないんだから。死んじゃうよ」と痛烈なダメ出しをしていた。

 この言葉に「ショックでほぼ飯がノドを通らずに3日間で7キロ落ちた。プロレスを辞めることも考えた」という伊橋であったが、ここから一念発起。肉体改造を行い、136キロあった体重を5カ月で29キロ減量し、107キロまでダウン。当初、今大会にはカードが組まれていなかったが、新日本プロレスの相談役である坂口征二氏の長男である坂口征夫との一騎打ちを通じて意気込みを訴え、長州とのホットラインを繋いでもらって、藤原との“査定試合”にこぎつけた。

 普段の黄色ではなく、白装束をイメージさせる白のタイツで“決死”の覚悟を示した伊橋は、やや引き締まったボディーにヒゲをたくわえた精悍(せいかん)な顔つきで入場。ゴングと同時に藤原に突っ込んでいくと、エルボーからヘッドバットを連発するが、藤原は自らターンバックルをはずし、金具に自分の頭を打ちつけて石頭をアピール。このアクションに、場内からは大「藤原」コールが起こる。テクニックだけではなくアピール力の差も見せ付た藤原は、一本足頭突き、アキレス腱固めを仕掛けると、伊橋の腕ひしぎ逆十字固めを切り返し、“伝家の宝刀”ワキ固めで捕獲。あえなくギブアップ負けとなった伊橋であったが、今回は客席からの失笑はなく、健闘をたたえる温かい拍手が起こった。

平成維震軍と東京愚連隊の玄人好みチームが激突

いまだ衰えを知らずにプロレスを続ける平成維震軍のメンバー 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第4試合では、日本プロレス界を席巻した名ユニット同士が激突。平成維震軍の越中詩郎&AKIRA&齋藤彰俊組vs.東京愚連隊のNOSAWA論外&MAZADA&FUJITA組という、玄人好みの名カードが実現した。

 平成維震軍は新日本本隊に反旗を翻す「反選手会同盟」として92年に誕生。道着&袴がトレードマークで、風ぼうこそまったく違うが、現在の「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のような反体制ユニットとして絶大な人気を博した。

 一方、東京愚連隊は00年ごろ、海外で誕生し、メンバーが出たり入ったり、解散したり復活したりしながら、現在も継続。08年には鈴木みのる、太陽ケア、高山善廣らが加わった「GURENTAI」として全日本マットを賑わせた。

 もはや平成も終わろうかという時代となっても、平成維震軍の面々は衰え知らず。越中がステージからのジャンピングヒップアタックを見舞えば、AKIRAもキレのあるドロップキックをさく裂。愚連隊も機動力を生かした連係でかく乱するが、FUJITAが齋藤、AKIRAの連係ラリアットでダウンしたところに、AKIRAがムササビプレス、越中がミサイルヒップアタックとたたみかけて勝利。昭和世代のファンを熱狂させた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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