ブレーブスに黄金期の再来なるか? 躍進する若手が明るい未来を引き寄せる

杉浦大介

小柄ながら88試合で18本塁打を放ち、オールスターに選出されたアルビース 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

「私たちは予想していたよりも早く前に進んでいる。今季が始まった頃、7月2日にこのチームが地区首位に立っているとは考えていなかったよ」

 7月2日〜4日(現地時間)、ニューヨークでのヤンキース戦に臨んだ際、ブレーブスのブライアン・スニットカー監督はそんなコメントを残していた。自軍を過小評価するような発言はメジャーの監督としては珍しいが、正直な思いの吐露だったのだろう。

 過去3シーズンはそれぞれ95、93、90敗を喫したブレーブス。現在はまだ再建途中のはずで、今季開幕前にプレーオフを争うと考えた関係者はほとんど皆無だった。そんな元名門がナ・リーグの最高勝率を提げてニューヨークに乗り込んできたのだから、誰にとってもサプライズという他になかったのである。

投打ともベテランと若手がかみ合う戦力

 7月8日時点でも、首位からゲーム差なしでナ・リーグ東地区2位という好位置につけているブレーブス。もう侮るべきではないのだろう。野手では28歳のフレディ・フリーマン(打率3割1分5厘、16本塁打)、34歳のニック・マーケーキス(打率3割2分2厘、10本塁打)がリーダーとして君臨し、21歳のオザイーノ・アルビース(打率2割8分1厘、18本塁打)、20歳のロナルド・アクーナ(打率2割6分8厘、7本塁打)、24歳のヨハン・カマルゴ(9本塁打、39打点)といった売り出し中の若手とうまくかみ合ってきた。

 バランスがいいのは先発投手陣も同じ。34歳のアニバル・サンチェス(防御率2.72)、メジャー8年目のフリオ・タランといったベテランと、25歳の左腕ショーン・ニューカム(8勝4敗、防御率3.44)、26歳の右腕マイク・フォルタネビッチ(防御率2.37)というルーキーがローテーションを構成する。ナ・リーグ全体を見渡しても、これだけ新旧の役者がそろったロースターはそれほど多くはないはずである。

「若く、身体能力に秀でた選手たちはゲームをより楽しいものにしてくれる。彼らが楽しんでいるのを見るのはクールなことだよ。何ごとも恐れないし、自分たちの能力を信じてプレーしているんだ」

 スニットカー監督がそう述べる通り、次々と芽を出し始めたヤングプレーヤーたちがブレーブス躍進の象徴的な存在になっている。

 フィールド上で必要なすべての要素を備えた“5ツールプレーヤー”のロナルド・アクーナは、将来のスーパースターの呼び声高い。公称173センチの小さな身体で豪快な打球を連発し、初のオールスターにも選ばれたアルビーズの爆発も見逃せない。こちらもオールスターに選出されたフォルタネビッチの素質も高く評価され、ブレーブスはいつの間にか“若きタレント集団”という呼称がふさわしいチームになった。

“再建チームが好スタートを切り、予想外の形でプレーオフ争いに参入。若手が成長し、ベテランも息を吹き返し、当初の予定よりも1年早く快進撃を始めて……”

 米国東海岸のベースボールファンなら馴染みのあるストーリーではないか。そう、今のブレーブスは、アーロン・ジャッジ、ルイス・セベリーノ、ゲイリー・サンチェスといった生え抜きが続々と台頭した昨季のヤンキースを思い起こさせるのだ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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