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心に残る、アンリの日本代表への拍手
多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦

ベルギー国民を興奮の坩堝に陥れた決勝ゴール

吉田麻也を抱きしめるベルギー代表コーチのティエリ・アンリ。試合後、長い拍手を日本代表に送っていた
吉田麻也を抱きしめるベルギー代表コーチのティエリ・アンリ。試合後、長い拍手を日本代表に送っていた【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 7月2日(現地時間、以下同)に行われた日本対ベルギー戦の翌晩、3日にベルギーで放映されたワールドカップ・トーク番組『ビラ・スポルツァ』の進行を務めるカール・ファン・ニーウケルクは「昨晩、9時51分30秒、本田のコーナーキック(CK)を飛び上がってキャッチしたティボー・クルトワが起点となったカウンターから、わが国は一種のエクスタシーを感じた」と振り返った。


 ロシアの時計では夜10時51分のことだった。クルトワのスロー、ケビン・デブライネがドリブルで前進してからのパス、トーマス・ムニエのクロス、ロメル・ルカクのスルー、ナセル・シャドリのシュート――。ベルギーが全ての集中力を結集して奪った3−2の決勝ゴールは、国民を興奮の坩堝(るつぼ)に陥れたのだ。


 解説者のヤン・ムルダーは「このゴールは、ベルギーにとって最高の瞬間となっただけでなく、この大会全体にとっても最高の場面だった」と言う。


 ファン・ニーウケルクはベルギーサッカー界にとって5つの名ゴールシーンを述べた。


・1986年6月15日:W杯メキシコ大会ラウンド16戦 ベルギー対ソ連(4−3)ステファン・デモルの3点目のゴール

・1982年6月13日:W杯スペイン大会開幕戦 ベルギー対アルゼンチン(1−0)エルウィン・ファンデンベルフのゴール

・1985年11月20日:W杯メキシコ大会予選プレーオフ第2戦 オランダ対ベルギー(2−1) オランダを沈めるジョルジュ・グルンのアウェーゴール

・1994年6月25日:W杯米国大会 ベルギー対オランダ(1−0) フィリップ・アルベルトのゴール


「たたき台として私は、これらのゴールを並べました。さあ、日本戦の決勝ゴールは、ベルギーのサッカー史上で何番目のものになるでしょうか?」とファン・ニーウケルクは尋ねた。そこで解説者、マルク・デフリースは「ふうぅ」と悩み混じりのため息をつき、「美しさで言えば、今回のゴールが1番だろう。クルトワから始まり、5人の選手が絡む、すごいカウンターだった」と言い切った。

パフォーマンスもマナーも称賛された日本

後半48分の本田のCKについては賛否両論も「全力を尽くし、果敢に戦った」
後半48分の本田のCKについては賛否両論も「全力を尽くし、果敢に戦った」【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 彼らは日本のサッカーを「世界のサッカー界からシンパシーを集めている。全力を尽くし、果敢に戦った」(解説者のヘールト・デ・フリーハー)とたたえた。ヤン・ムルダーは「確かにシンパシーを感じたが、賢さが(足りない)。あのCKはショートコーナーで良かった」と指摘した。


「だけど、(CKキッカーの)本田は最も経験を積んだ選手だが」(ファン・ニーウケルク)


「それでも彼らはゴールにこだわった。それが素晴らしい。その結果、カウンターを食らったわけだけれど」(ヤン・ムルダー)


「日本は2−0とリードし、その後10分間(編注:実際は17分)、ベルギーを疑心暗鬼に陥れた。それは、どの国もできることではない」(デニス・デ・ワイク)


「2−2の時点でも、本田が惜しいFKを蹴っていた」(デ・フリーハー)


 既に世界中に紹介されているように、この番組でも試合後の日本の更衣室が「スパシーバ」というロシア語の感謝の言葉とともに奇麗に掃除され、観客席でもサポーターが清掃したことが話題になった。「これはとてもまねできることではない。素晴らしいこと」と彼らは、日本サッカーのパフォーマンス以外でのマナーについても心から称賛していた。

中田徹
中田徹
1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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