西野監督「まだ力が足りない、ということ」 W杯ロシア大会、ベルギー戦後の会見
ベルギー戦後の会見に臨んだ西野監督 【Getty Images】
試合後、西野朗監督は「100%以上の力で戦ってくれた、パフォーマンスを出してくれた」と、選手たちをねぎらった。一方で「本気のベルギーに対抗できなかった」「やはりまだ力が足りない、ということを見せつけられました」と語り、セットプレー対策など今後の日本サッカー界の課題を挙げた。
本気のベルギーに対抗できなかった
(10秒ほど沈黙して)善戦することだけでなく、勝ち切らなければいけない、勝ち切りたい。今のチーム力であれば、かなりベルギーには抵抗できるのではないか(と思っていた)。戦前から、いろいろなプランがあった中で、最高の流れを自分たちでつかんだ。自分の中でも、そういうプランはありましたけれど、最後こういう形になるゲームの組み立てというのは考えていませんでした。
2−0になって、メンバーもそのまま。3点目(を取りにいく)という気持ちは非常に強くありましたし、チャンスもありました。ある程度、ボールもゲームもコントロールする時間帯が(リードした)直後にもありました。ただそこで、ベルギーが本気になってしまった。今日のミーティングでも、「本気のベルギーと戦いたい」と。そのためには自分たちがフルパワーで、そういうベルギー(の本気)を引き出さないといけない。
まさに最後の30分は、本気のベルギーに対抗できなかったということ。アドバンテージを持った流れで、最後を勝ち切るプランもありましたが、あそこまで覆されるとは思ってもいなかった。まあ、これがW杯なのかなと思ったし、(これが)ベルギーの強さ、という気持ちですかね。終わった直後は。
──延長戦は考えなかったのか。90分で決めるという気持ちだったのか?
あの時間(後半のアディショナルタイム)でFKとCKの流れはあったので、少なくとも(90分で)決めたい気持ちはありましたし、延長ももちろんその時点で考えていました。まったく、ああいう(決勝点につながる)スーパーカウンターを受けるとは予測もしていなかったし、セットした選手たちも、ああいう流れで数秒後に自陣にボールが運ばれるとは思わなかったでしょう。本当にそれが紙一重の勝負どころだと思います。もちろん、体力的にはボールを伴って動ける延長戦は想像できたので、決められなくても延長勝負という感じは持っていました。
──この短期間でいろいろあった中で、選手には最後どういう声をかけたのか?
すぐにシャワーを浴びろと(苦笑)。呆然と裸のままでいたので、そういう声がけが、まず(ありました)。声がけはホテルに帰ってからしたいと思います。
ムービングフットボールが実現できている
選手は、走れる力は持っていたと。持久力にしてもスプリントの回数にしても、ベースはしっかり持っていると思います。それをゲームのフィジカルとして、パフォーマンスとして出せるか出せないかだと思います。単にコンディションがいいと見るかどうか。戦術や技術的にボールをどう動かしていくかとか、(それを)伴った動き、フィジカル、ゲームパフォーマンスなので。
今日のゲームもそうですし、グループステージの3試合もそうです。(日本は)しっかりボールを自分たちで動かせる。有効に動かして、無駄な動きが少ないのかなと思います。単純な戦術的な動きというのは少ない。全員で(狙いを)共有した中で動けている。同時性や連動性の中でパフォーマンスができているので、そう感じているところです。
走行距離はそう多くはないんですよね、本大会に入ってから。全体で100〜110(キロ)くらいの距離です。決して多くはないが、感じ方が有効に動いている、ボールを動かせている。ムービングフットボールが実現できているところが、フィジカル的というか、コンディションがよく見えるところだと思います。
──選手のパフォーマンスと結果をどう思っているか?(ロシアのメディア)
結果については残念の一言です。(ベルギーを)追い詰めたけれど、やはり勝ち切れない。(ベルギーとの差は)わずかであって、わずかでないのかもしれないですが、ゲームの中ではわずかだと感じていました。
それが采配によるものなのか、まだまだ本気にさせたベルギーに及ばなかったのか。選手たちは非常に今シリーズ、今までにないくらい非常に前向きで、ベルギーに対しても自信を持っていた。今日もチャレンジするパフォーマンスを出していましたし、選手は100%以上の力で戦ってくれた、パフォーマンスを出してくれたと思います。されど、そのわずかなところは、これから(日本)サッカー界で埋め直さないといけないという気持ちではあります。