西野監督「紙一重の勝機を拾っていきたい」 W杯ロシア大会、ベルギー戦前日会見

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ベルギー戦に向け、前日会見に臨んだ西野監督 【写真は共同】

 サッカー日本代表は現地時間2日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会のラウンド16・ベルギー戦に臨む。試合を翌日に控えた1日、会場となるロストフ・アリーナで西野朗監督と昌子源が会見を行った。

 西野監督は一発勝負の決勝トーナメントに向けて、「ノックアウトのゲームなので、いろいろなチャレンジをしてゲームに臨む必要がある」とコメント。「強豪国」と位置付けたベルギーに対し、「あらゆる策を駆使していきたい。チーム全体で何か別の力を作り出して戦う」と意気込みを語った。会見に同席した昌子源は「ベルギーには素晴らしい選手がたくさんいる。対戦するのが楽しみ」と話すと、「どれだけ強い気持ちで臨むかが大事になる」とポイントを語った。

昌子「強いメンタルで戦う」

昌子はW杯に「新たな歴史を作りに来た」と語った 【写真は共同】

登壇者:
西野朗(サッカー日本代表監督)
昌子源

──明日はロメル・ルカクと対戦することになる。彼のプレーに驚いているか?(海外メディア)

昌子 ルカク選手だけでなく、ベルギーには素晴らしい選手がたくさんいる。対戦するのが楽しみです。ポジション的に、マッチアップするのはルカク選手が多くなると考えていますが、まずは試合に入るメンタルとしては、気持ちから勝っていかないといけない。グループリーグで自分が出たすべての試合は、「自分ならできる、このチームならできる」と思って(試合に)入っていきました。強いメンタルで戦っていければと思います。

──日本はこれまで2回、ベスト16に進んだがPK戦の準備はしているか?(海外メディア)

昌子 われわれは大会に入るにあたり、新たな歴史を作りに来た。ベスト8以上を目指すために、この大会に来ました。ここからは、いろいろなプレッシャーや期待があると思いますが、まず自分たちの持っている力をすべて出すことが必要だと思っています。PK戦は確かにいろいろな準備は必要だと思いますが、まずは強い気持ちなのかなと思っています。

──ベスト8について、自分たちが達成したら将来、どんな遺産になると思うか?

昌子 これからの日本を考えるのは大事なことだと思いますが、まずはベルギーに向けてどれだけいい準備をするか。どれだけ強い気持ちで臨むかが大事になると思います。その結果がどうなるか分からないですが、(これからの日本は)僕ら次第だと思っています。その後のことは勝ってから考えたいと思います。

(ここで昌子は退出)

西野「あらゆる策を駆使していきたい」

──PKのキッカーをどう考えているか?

西野 PK戦ですけれど、これは決定しなければならない方式であるのは間違いない。(PK戦に)至る前に決着をつけたいが、これまで代表ではないチームを預かってきた中で、何度か勝敗を決しなければいけない(PK戦を経験した)。タイトルを取れるかどうかでPK戦というのはありましたが、一度たりともチームとしてPKのトレーニングをして入ったゲームはない。落ち着きたい、不安になる、という選手は個人的にやっていましたが、トレーニングをしてPK戦に臨んだことはないです。

 なぜなら、あの精神状態をトレーニングの中で作ることは不可能だからです。PKであれば、キッカーが優位に立つのは間違いないので。また、いろいろな要素が絡んだ中で、あの緊張感がある中でボールをセットできるかできないか、というところにかかってくるので、あまり意味のないトレーニングだとは思っています。現状も、一度もピッチで(PKの)トレーニングをしていないです。あらたまってやることではないので、明日はそこに至る前に決着をつけたいと思っています。

──アルゼンチンもポルトガルも敗れた。決勝トーナメントの厳しさをどう捉えているか?

西野 W杯ベスト16のノックアウトのゲームなので、いろいろなチャレンジをしてゲームに臨む必要があります。ベルギーという強豪国、世界のトップ3にランクされているチームに対して、どう挑むのか。(FIFAランキングが)61位の日本ですが、ただラウンド16のゲームが存在するだけなので、あらゆる策を駆使していきたい。今は力を持っていないかもしれないですが、チーム全体で何か別の力を作り出して戦う。そういうことをしていかなければ、戦えない相手であることは間違いない。

(勝負は)紙一重であると思うので、われわれにも勝機がどこかに、ピッチに落ちていると思うので、それを全員で拾っていきたいと思います。大会に入ってからそういう化学反応を起こして、違う力を全員で作り出してやってきました。このステージ、また別のレベルの状況、雰囲気、グループステージと違う戦いになると思いますが、その中で日本チームらしい戦いをしたい。今まで2回(ベスト)16に進んできましたが、その状況とはまた違う、十分に力をまだ持っている、また生み出せる状況にあると思うので、選手、チーム、スタッフ一丸となって、その力を明日も生み出したいと思います。

西野「ストロングを前面に出して対抗したい」

西野監督は過去2大会のラウンド16とは精神的な余裕が違うと語る 【Getty Images】

──2002年のトルコ戦、10年のパラグアイ戦のベスト16をどう見て、そこから何を生かせそうか?(原田公樹/フリーランス)

西野 両大会とも、日本はグループステージを素晴らしい戦いでベスト16に勝ち進んだと思いますが、すべてを出し尽くした感があって、チームに余力があったかどうか。02年に関しては、初めてステージを突破した達成感や満足感。貪欲にベスト16に対して挑んだかというところは、どうだったでしょう。

 2回目の南ア(南アフリカ大会)も、グループステージでチーム力のすべてを投げ出してつかみ取ったステージでした。それらを踏まえての今大会。総合力という点も、ステージを突破した後のラウンド16に対するアプローチ(を考えた)。第1戦、第2戦の結果を踏まえて考えられた第3戦というのもあります。まだまだ強豪国並の「W杯はこれからだ」というレベルにはいっていませんが、決勝トーナメントに入る中でのスピリットとメンタリティーは、(決勝Tに進出するのが)3大会目になって、それくらい精神的な余裕(を持てるようになった)。

 ベルギーは「これからW杯が始まるぞ」という感じでグループステージ3つを戦っていました。われわれも精神的な面で、同じレベルに達したいと思います。そういう準備を、これからベルギーと(ラウンド)16という意気込みを、対等以上にいきたいなと。それくらいの気持ちを持っていいと思います。すべてを投げ出したところもありますが、彼らは余裕をもって決勝トーナメントに入れると強く感じています。

──これまでもコンフェデレーションズカップや五輪などで、3戦目に主力を休ませることがあったが、決勝トーナメントで勝てたかどうかは明暗が分かれている。ラウンド16で最善の力を出して勝ち進むには何が必要だと思うか?

西野 勝ち上がりを決めて3戦目を残したわけでもないです。主力を休ませたという、ある部分で主力へのアプローチもありますが、チームとしては(3戦目のメンバーを)バックアップとは言いたくない。1・2戦で起用していない選手も、ロシアに入る前でも同じような力を持っている選手たち。彼らの状態も非常に良かったので、1・2戦を終えて優位な状況で3戦目を迎えられた。

 自分の中では3戦目、ターンオーバーしても十分に戦える自信がありました。休ませたと言われると確かにその部分はあるんですけれど、チーム力に格差があるとも感じなかったです。トーナメントに入ってまたフレッシュな形で全体が入るためにも、そういうメンバー変更も自信を持ってピッチに送り出しました。今のチームが疲弊してない、非常にいい状態で明日を迎えられる状況が作れたのは、全体で戦えたことが要因だと思います。

──GKの川島永嗣はベルギーで何年もプレーしていた。これがベルギーと戦う上で有利になるか? 逆に川島のことを知っているということで、ベルギーのほうが有利になるのか?(海外メディア)

西野 彼は完璧主義で、1・2戦が終わった段階で、彼の方から自分の立場やプレーについて話をしました。彼だけが、ヨーロッパで長くGKとして経験を積んでいる選手。そういう中で、自分のプレーに対する自己分析をしっかり捉えている。

 ベルギーの選手たちもおそらく分析するまでもなく、彼のプレースタイルはよく知っているし、逆に彼の方もよく知っている部分もある。彼に限らず、ヨーロッパのビッグクラブで活躍している選手たちがベルギー代表になっている。永嗣からもいろいろな情報がありますが、川島だけでなく、日本がこのラウンドに入ったということで、チームスタイル、個人のスタイルをすべて分析されている上で戦う。両チームがそういう戦いになると思うし、ストロングは全ての部分でベルギーに(分が)あると思いますけれど、されどウイークポイントもたくさんあると感じています。日本のストロングを前面に出して、対抗していきたいと思います。

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