ロッテ鈴木大地のサード論 「気持ちが重要。自信がパワーになる」

週刊ベースボールONLINE

2年連続のコンバート

今年の定位置はサード。鈴木は「慣れてはきているけど、同時に難しさも感じている」と語る 【写真:BBM】

 昨オフ、井口さん(資仁、監督)にセカンドからサードへのコンバートを告げられました。「来年、ポジションを変えようと思う。(中村)奨吾をセカンドに戻すから……」と言われたので、「ショートに戻るのかな」と思ったら、「サードに回ってもらえるか」と。「ホットコーナーで、元気を出していってほしい」という言葉を掛けてもらい、自分の中ですんなりと受け入れることができました。そういう響く言葉を直接もらえたのはうれしかったし、期待に応えなければいけないと思っています。

 昨季はショートからセカンドへのコンバートを経験しました。昨年の今ごろもいろいろなところで同じことを言っていると思うのですが、新しいポジションに慣れてはきているけど、同時に難しさも感じている、というのが正直なところです。ただ、昨年は練習一つとっても手探りの部分があったのですが、今年はやるべきこと、やらなければいけないことをしっかり理解した上で取り組めています。

 そこには昨季のコンバートの経験が生きています。試行錯誤しながらセカンドというポジションに対応していき、ゴールデン・グラブ賞をいただくことができた。ある程度の結果を出すことができ、コンバートにおける自分の形、やるべきことの方向性が見えた部分はありました。

 例えば基本の動きの反復練習。昨年、セカンドへコンバートになって、春季キャンプからずっとセカンドというポジションを理解するための反復練習をやり続けました。気持ち的な部分でも、やり続けることで自信をつかもうと思っていた部分もあります。そうした習慣づけができていたので、サードになっても反復練習を続けることができています。

 もちろん鳥越さん(裕介、ヘッドコーチ)と小坂さん(誠、内野守備・走塁コーチ)の存在が大きいのは言うまでもありません。2人にヒントをもらいながら、疑問が生じればすぐに聞きにいける。だからやるべきことを常に整理した状態で、取り組むことができています。

サードの魅力と難しさ

 セカンドでもショートでもポジションごとに難しさはあるのですが、それでもやっぱりサードは難しいと感じます。ノックや反復練習では自分のイメージと教わっていることがリンクするようになってきたのですが、いざ試合で、いつ、どんな打球が飛んでくるか分からない状況になると、セカンドやショートに比べて打者との距離が短い分、一瞬の判断が求められます。だからいわゆる“気持ちよく”捕れることが少ないんです。いいバウンドでパパンと捕って、パーンと投げられるような打球はほとんどありません。

 それもコーチの方々に「サードは常に気持ちよくは捕れない」「その中でしっかり粘って捕ってアウトにすることに価値がある」とアドバイスをしていただきました。本当にそうだなと感じますし、その言葉によって考え方や取り組み方が変わった部分があります。守備練習でもバウンドが合わない、気持ちよく捕れないと思ったときこそ、最後までプレーをやり切る。サードは特にそれが試合につながっていく。それまでは、守備練習で自分のタイミングと合わないボールについては、つい流してしまいがちなところがあったと、あらためて気づかされました。

 打撃練習中に守備に就いて、生きた打球を捕る練習――僕は「打球捕」と呼んでいるのですが――を続けているのも同じ意味があります。いつ飛んで来るか分からないボールに対して、試合と同じように1球ごとにしっかり構えて準備する。セカンドやショート以上に、サードはこの打球捕が大切な練習だと感じます。サードではより低く構えるので、下半身のいいトレーニングにもなりますしね。

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