W杯を彩る東京五輪世代のスターたち 主軸から未来の“名手候補”まで一挙紹介

川端暁彦

スター選手たちも若かりし日にW杯デビュー

フランス代表の10番を託された19歳のキリアン・エムバペ 【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)はライジングスターを生み出す大会でもある。古くは1958年大会で17歳のペレがブラジル代表における伝説の第一章を刻んだことがそうだし、今大会に出場するスター選手の多くも、若かりし日に「最初のW杯」を経験している。リオネル・メッシなら19歳で迎えた2006年大会で、クリスティアーノ・ロナウドも同大会にて21歳で初出場を果たしている。

 というわけで、今回は大会を彩っている21歳以下の選手たちにフォーカスしてみたい。サッカー界の明日を担うヤングガンズは、2020年の東京五輪に出場可能な年代の選手たちでもある。

 この年代の選手で、大会前から最も大きな注目を集めていたのはフランス代表の伝統ある「10番」を託された19歳のキリアン・エムバペだろう。個人能力を前面に押し出すちょっと強引な戦いぶりを見せるフランスにあって、孤立気味にプレーすることも多いが、ペルー戦ではフランスのW杯を含めた主要国際大会における最年少得点記録を塗り替えるゴールも記録した。

 また同じフランスではバルセロナのウスマン・デンベレも21歳の東京五輪世代。こちらも交代出場含めて3試合すべてに出場しているが、得点に直接絡むプレーはなし。一定のインパクトは残したものの、大会前の期待値を思えばまだまだ物足りないか。この2人の存在はそのままフランスのポテンシャルでもあり、決勝トーナメントでのプレーぶりは、あらためて注目されるところだろう。

 もう1人、特に注目株だったのはブラジル代表のガブリエウ・ジェズスだ。マンチェスター・シティでのプレーを通じて世界中にその名を売っている若武者は3試合すべてに先発出場している。王国の未来を担うFWとして期待を受けたが、ゴールを奪い取ることはできず、1アシストにとどまった。初めてW杯に臨む21歳として見るなら決して悪いプレーではなかったとも言えるが、王国の9番を背負う選手としては満足してもらえるプレーではあるまい。

活躍が目を引いたベンタンクール

ウルグアイのベンタンクール(左)は、21歳とは思えぬ安定したプレーを見せた 【Getty Images】

 事前の注目度ではなく、純粋な活躍度という意味で一番目を引いたのはウルグアイのMFロドリゴ・ベンタンクールではないだろうか。187センチの長身を誇るユベントスのセントラルMFは、確かな技術と戦術眼でウルグアイの中盤を仕切り、A代表に昨年デビューしたばかりの21歳とは思えぬ安定したプレーを見せた。ベスト4まで勝ち進んだ昨年のU−20W杯ではグループリーグ(GL)で日本とも対戦しており、そこでも非凡なセンスを見せていたが、イタリアでのプレー経験によってさらにレベルアップした印象がある。まだウルグアイの試合を見ていない人がいたら、6番のプレーに注目してほしい。

 決勝トーナメントでの爆発を期待したい選手としてはイングランド代表の20歳、マーカス・ラッシュフォードの名前も挙げておきたい。マンチェスター・ユナイテッドではプレミアリーグでも欧州チャンピオンズリーグでも結果を残している選手であり、W杯欧州予選でもゴールを決めている未来の“名手候補”。今大会はベルギーとの第3戦に先発するなど、2試合に出場している。能力に疑問の余地はなく、ノックアウトステージでも切り札的な起用がありそうだ。

 イングランドにはリバプールの19歳DFトレント・アレクサンダー=アーノルドもいる。昨年のU−20W杯優勝国ということで選外になった選手にも人傑ぞろいで、東京五輪世代において最も注目されるべき国の一つだ。もっとも、イングランドを含む英国4協会の個別参加が認められていない東京五輪については、そもそも出場しそうにないのだが……。

 またメキシコのエドソン・アルバレス、ベルギーのユーリ・ティーレマンス、スイスのブレール・エンボロといった選手たちも、不動の主軸というわけではないが、出番を得た試合でクオリティーの高いプレーを披露。ティーレマンスは2つのアシストも記録している。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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