マーリンズ再建策は想定内か誤算か? 気になるジーターCEOの手腕
根付かないベースボール人気
マーリンズはスタントン(写真)らスター選手を放出し、年俸総額を大きく減らした 【Getty Images】
このように若手の育成が進んでないこと以上に、将来的に何よりの障壁になりそうなのが、マイアミにはベースボールのファンベースが存在しないことだ。
「ファンの後押しがないから地元に熱気は生まれないし、観客動員難がゆえに給料総額を増やすのも難しい。この部分を少しでも変えていくのがジーターの成功に向けた鍵であり、最大のチャレンジにもなる」
ナ・リーグの某チームスカウトのそんな証言通り、避寒地でありパーティタウンのマイアミではフットボールこそ盛んだが、ベースボール、バスケットボールは人気スポーツとはとても言えない。1997、2003年に2度の世界一経験がありながら、マーリンズが地元ファンの心に根付くことはなかった。
熱意のないチーム運営ゆえに地元はシラけており、今季も平均観客動員数はリーグ最下位。4月11日はマーリンズ・パークで行われたメッツ戦の観衆は6150人で、同日の2A戦よりも少なかったという不名誉なニュースが話題になってしまった。
“勝利の使者”が空気を変えられるか?
NBAのマイケル・ジョーダン、アイザイア・トーマス、NHLのウェイン・グレツキーといった他スポーツの大物たちと同様に、ジーターもフロント職では適応に苦しむのか。あるいは19歳だった1A時代に56エラーを犯しながら、失敗に動じず、名選手に成長していったのと同じように、今後に成功の術を見つけていくのか。
ヤンキース史に残る“勝利の使者”の新たな挑戦は始まったばかり。最終的な答えが出るのは4、5年は先だろう。その勝負強さから“キャプテン・クラッチ”と呼ばれた男のアジャストメントと神通力に、再び視線が注がれることになる。
(文中敬称略。成績は現地6月25日時点)