熱戦中のスーパーGT、基礎の基礎を紹介 〜そもそもどんなレース?〜

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タイヤまでもがバラエティに富む

GT300クラスに参戦しているAUTOBACS RACING TEAM AGURI 【(C)GTA】

 近頃はF1ですらタイヤはワンメイク(一社供給)なのに、スーパーGTは複数のタイヤメーカーが参戦する稀有なシリーズです。現在は4メーカーが参戦し、絶えず開発を重ね、なおかつコースや天候との相性もあるため、どのメーカーが絶対的に強いということはなく、さらに言えばレース全体のコンペティションレベルを高めてくれています。

 1レースで使えるドライタイヤは6セット(24本)までで、これはマーキングタイヤと呼ばれます。予選のQ1で使えるのは1セットで、Q2に進出できなかった車両は、そのマーキングタイヤで決勝をスタートしなければなりません。Q2にも1セットだけで、2セットのうちいずれかでスタートすることとなりますが、どちらを用いるかはQ2終了後の抽選で決められます。なお、ドライタイヤとはスーパーGTの場合、溝の刻まれていない、いわゆるスリックタイヤなので、雨の場合は溝の刻まれたウエットタイヤを使用します。なお、タイヤをウオーマーやドライヤーなどで強制的に加熱することは禁止されていますが、少しでも温度を上げるため、ピット裏などで太陽に当てることは可能です。

練習はいつでも自由にできるの?

 練習こそ上達の鍵とはスポーツ界での常識。それはレースにも当てはまりますが、実はスーパーGTでは自由な練習は許されません。例外的に、できたばかりの車両のシェイクダウンテスト、さらに10ポイント以下のGT300ドライバーには、スポーツ走行での練習が可能ですが、事前にGTAの許可を得る必要があり、レースの行われるサーキットでは3週間前から禁止。

 コストの抑制を図るのが最大の目標ではありますが、それでは何も進化しないため、GTAはシーズン開幕前に2回、シーズン中に2回の公式テストを開催します。また、タイヤメーカーもテストを開催することができます。ただ、このタイヤメーカーテストはGT300ならば上限を11台とし、どのチームでも参加可能ですが、GT500の場合は1メーカーにつき1車種1台までしか参加できません。そんなに厳しくしなくても……と思うでしょうが、レースを面白くするためにもイコールコンディションは極力保たなくてはなりません。現実問題、自動車メーカーほど資金力があっても、競争が激化し過ぎて「もうダメ」と撤退してしまったケースが、過去にはありました。その轍を二度と踏まないための配慮と考えてください。

誰でも出られるレースじゃない!

 スーパーGTは、もちろん誰でも出たいからといって、出られるレースではありません。いっぱいお金を持っていて、自分でチームを作った、自分でマシンを購入したとしてもです。何より必要なのは、国際ドライバーライセンスグレードB、通称「国際B」以上のライセンスで、これを取得するには段階を経て、実績を積む必要があります。アマチュアや若手ドライバーを対象としたレースならば、国内Aライセンスで出場できますが、ここがまず第一歩。そういったレースでしっかり完走し、入賞を果たし続けることで国際C、さらには国際Bの取得資格を得られるというわけです。

 さらにGT300に関しては、ルーキーテストを受けなくてはなりません。初めて出るドライバーはもちろんのこと、過去に実績があるベテランでもブランクがある場合は受講義務があり、スピンやコースアウトなく基準タイムで10周連続走り続けることで合格となります。その他にも、プロドライバーとして品位を保たなくてはならないなどの細かい項目もあります。

2018年のレギュレーション変更点

 18年のレギュレーション変更点ですが、まず車両的には17年からの変更は一切ありません。GT500に関しては、17年に車両が一斉に新型に改められ、併せてダウンフォースの大幅削減が義務づけられました。それでも「ここはダメ」とされる部分以外に改良が加えられたことで、極端なパフォーマンスダウンには至りませんでした。したがって18年は不変であっても、また新たな改良が加えられることで、コンディション次第でラップタイムは再び向上するはずです。

 その一方で、競技レギュレーションには一部変化があります。まずGT500のウエイトハンデ制が改められ、累積ウエイトによる4段階分割はそのままに、対応した数値の燃料流量リストリクターの制限がより厳しくなっています。簡単に言うと、以前はハンデ上限を100キロとしていたのですが、17年からは50キロまでとして、それ以上となった場合は段階的に燃料の供給量を絞ってエンジンパフォーマンスでハンデを設けるというものです。

 またGT300は台数増加に伴い、ノックアウト予選のQ1をサーキットによっては2組に分けることが可能になりました。組分けされる場合は前大会のチーム順位に基づき、奇数順位がA組、偶数順位がB組とされ、それぞれの上位7位がQ2に進出できるというものです。

 スタート手順にも変更があり、フォーメーションラップ後半の極端な加減速が禁止され、ストレートでの2列縦隊をしっかり維持することが義務づけられました。これはスタート時の必要以上の駆け引きを禁じることで、レースの安全性、公正性を保とうという配慮でもあります。

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