長友「本田は“W杯に愛された男”」 W杯セネガル戦後、選手コメント

スポーツナビ

長友は3大会連続ゴールを決めた本田を“W杯に愛された男”と評した 【Getty Images】

 サッカー日本代表は現地時間24日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会のグループリーグ第2戦でセネガル代表と対戦し、2−2で引き分けた。

 日本は前半11分、サディオ・マネに先制ゴールを許したが、34分に乾貴士のゴールで追いつき、1−1で試合を折り返す。後半26分にはムサ・ワゲに決められ再びリードされたものの、33分に途中出場の本田圭佑が3大会連続となるゴールを決めてスコアをタイとした。

 試合後、長友佑都は「やっぱり持っていますね。彼は“W杯に愛された男”じゃないですか」と、同点ゴールを挙げた本田をたたえた。乾は自らのゴールを振り返り、「シュートも少ない時間帯だったので、思い切って打った結果」だと話した。今はシュートについて「自信を持てている」と力強いコメントも聞かれた。

 また、2点目を決めた本田は、自身が途中出場する直前にセネガルが勝ち越しゴールを決めたことについて「1−1のまま僕が出て、勝ち点3を取りにいけたらという欲はありました」と、チームが勝ち切れなかったことを悔やんだ。

 決勝トーナメント進出を懸けた日本のグループリーグ最終戦は28日、ボルゴグラードでのポーランド戦となる。

長友佑都(ガラタサライ/トルコ)

スピーディーなセネガルのFW陣を相手に奮闘した長友 【Getty Images】

「このW杯で全て出し尽くす」

(2回追いついたが?)これだけ強いセネガル相手に2回追いついたことは、自分たちも自信を持っていいと思います。いい形でチャンスを作れたし、自分たちで主導権を握りながらサッカーをできたんじゃないかと思います。

(長友が走り負けるほどのスピードだった?)マークした選手(イスマイラ・サール)は縦の突破だけだったら世界トップクラスじゃないですか。僕も試合の感覚で、間合いを考えようと思っていましたけれど、あまりにも速かった。でも徐々に対応できるようになって、後半は全然やられていなかったので。

(ポジショニングは下がらないことを意識した?)自分が下がってもらっても、相手が奪いにくることはポーランド戦を見て感じました。ミーティングもできていたので、うまく僕が上がったところで、そのスペースにボランチが下りてくるとか、僕が上がったタイミングで(乾)貴士が中に行くとか。みんなが中途半端な位置を取り続けたことが連動性につながったんじゃないかと思います。

 左サイドを絶対崩してやると思っていました。1点目もずっと狙い続けていた部分ですし、得点につながってうれしいです。(柴崎にサイドチェンジするように)練習でも試合前でもずっと言っていました。あそこを見てくれと。サイドバック(SB/ムサ・ワゲ)の裏は絶対に狙えるからと。だから何度も走り続けたし、何度も狙い続けた。その結果、いいパスが来て、得点につながりました。

(疲労感はない?)試合後なので疲労はしていますけれど、まだまだ走れるし、走らないといけない。まだ。こんなもんじゃないし、このW杯で全て出し尽くしてやりますよ。

(セネガルがグループで一番強いと言っていたが?)個の能力は一番高いと思いましたね。僕らもすごくいいサッカーをしたと思っているし、自分たちで主導権を握りながら、ボールを回しながらいい形でチャンスもたくさん作れたし、そこは自信を持っていいと思います。

(本田のゴールが決まった時の気持ちは?)おっさん連中がたたかれ続けたので、格別でした。あれは岡崎(慎司)が前でつぶれて圭佑の前に転がった。ベテラン選手たちが得点してくれたのは、自分のことみたいにうれしいです。(本田は)やっぱり持っていますね。彼は“W杯に愛された男”じゃないですか。

乾貴士(ベティス/スペイン)

セネガル戦で日本の1点目を決めた乾 【Getty Images】

「2点目を取るチャンスもあった」

(1点目は素晴らしいゴールだった)うまく(長友)佑都くんが裏に抜け出してくれて、あそこの裏は常に狙いどころだったので。その飛び出しから、ちょっとトラップが悪くて自分の方に来たので最初はスルーするかどうか迷ったんですけれど、 あの角度じゃ佑都くんは多分シュートを打てないと思ったので、自分が持って、うまくゴール方向に向けたので。得意のコースでしたし、思い切って打ってみようと思いました。シュートも少ない時間帯だったので、思い切って打った結果がああなったのかなという感じです。

(W杯でゴールを決めた感触は?)うれしかったですけれど、同点ゴールということもあった。2点目を取るチャンスもありましたし、あの1点に満足していないというか、後半の2点目を取るチャンスにしっかり決めないと、ああいう形になってしまう。そういうところで迷惑をかけてしまったという思いはあります。

 決定力がないとサッカー人生でずっと言われてきているし、自分自身もそれは分かっている。でもサッカーをやっている以上、気にせずにやり続けるしかないと思っているので、打つチャンスがあれば前の選手として打たないといけないと思っています。もちろん自分が打つよりも他の選手にチャンスがあれば、パスを出すのは当然だと思うので、そこの判断はやっていかないといけない。ただ、自分が打つとなった時は、自信を持てているのが最近です。

(ゴールを決められるようになったきっかけは?)理由は特にないです。たまたま今が入っているだけです。これが自分の実力だとも正直思っていない。でも、こういう短期間の大会で入るというのは良いことだと思いますし、それで少しでもチームのため、日本のためになるのなら、自分としてはすごく光栄なこと。これを続けていければいいなと思います。

(左サイドについて)俺が中に入って、佑都くんがオーバーラップしていく形を使っていこうと思っていました。ただ、前半の最初の方はそれができなかった。みんなもあまりこっちを見ていない場面が多かった。ベンチからも、(本田)圭佑くんや槙野(智章)くんが左サイドもっと使えるよという声をかけてくれていたので、その辺からみんなが意識的に左サイドを使うようになった感じがします。

(勝ち切りたかった? 引き分けでも良かった?)もちろん勝ちたかったです。ここで(グループリーグ突破を)決められたらそれが一番でしたが、負けなかったこと、勝ち点1を取れたことはプラスに考えていいと思います。ただ、それを今考えていても仕方がないので、次のポーランド戦に向けてしっかりやっていきたいと思います。

(フィジカルコンタクトがかなりあったが消耗具合は?)やはりセネガルの身体能力の高さは思っていた以上にあったので、すごくびっくりしましたけれど、今は疲れをそこまで感じていません。もしかしたら明日になったら感じるのかもしれないですけれど、今は大丈夫です。

(相手の出方を見てから対応を決めようという感じだったのか?)本当はもう少し前からいってもよかったんですけれど、逆に相手が前から来ていたので、自分たちがやり損ねたところはあったと思います。ちょっと後手に回ってしまった感はありました。

(セネガルの攻撃に対する守備のタスクは?)僕としては、もうちょっとセンターバックのところにいきたいんですけれど、 チームとしてはブロックを敷くというのがあったので、その辺でちょっと中途半端になってしまっていた。FW陣にそこはちょっと頑張ってもらって、いける時は自分がいくいう感じでした。ボランチが落ちて相手(の最終ライン)が3枚になった時は、自分がいけるタイミングもあるので、もうちょっといけたかなという感じはします。(セーフティにやった?)それはちょっとありますね。18番(イスマイラ・サール)が速すぎたので。ちょっと予想以上でした。あそこはちょっと、最初は止められなかったです。

(勝ち点1以外に収穫は?)先制されて追いついて、勝ち越されてもまた追いつくというのはチームとしてすごく成長しているところだと思います。そこで負けなかったというのは良かったんじゃないかなと思います。

(監督がハーフタイムでスパイクの話をしたと言っていたが)ハーフタイムに「スパイクはどうすんねん、そのままか」みたいなことを言われたので、もちろんそのままでと言ってきましたけれど、後半、外しちゃったので怒られますね。次は変えろって言われるかもしれないですね。

(本当に身長を5センチ伸ばせと言われたのか?)伸ばせと言うか、伸ばすことはできないからそれでも戦わなければいけないという話はされました。5センチ伸ばせとは言われていないです(笑)。

本田圭佑(パチューカ/メキシコ)

本田は途中出場から日本の2点目をゲットした 【Getty Images】

「勝ち点3を取りにいけたらという欲はあった」

(3大会連続、しかもアフリカ勢からのゴールだが)こういう流れで出て、結果を出せたことはうれしく思っています。チームとして欲を言えば、やっぱり1−1のまま僕が出て、勝ち点3を取りにいけたらという欲はもちろんありましたよね。それができなかったから最終戦までもつれるわけなので。もちろんこれがW杯でもありますが。

(チームは2度追いついたが)前の試合後にしゃべったように、乾がすごく良かった。1試合目と明らかに違ったのは、1試合目に勝てたことで、緊張がほぐれた。次は(原口)元気か、(柴崎)岳が点を取るっていうことも考えられると思うし、むしろあいつらも狙っていかないといけないと思っている。2度追いついたことに関してはいいとは考えられますけれど、失点してしまっているので、緊張感は続きますよね。

(過去2大会と異なり、短時間で得点を決めることの違いは?)準備の仕方は明らかに違いました。サッカー人生で、これだけサブということに対して前向きに考えられたことはなかったから。それはW杯がそうさせてくれていると思う。一発目で決めないとという緊張感の中で準備をしているつもりではいます。

(前向きというのをもう少し具体的に言うと?)単純に、1点1点がベンチにいてもうれしいじゃないですか。でも例えば、親善試合で僕がサブだったりとか、W杯予選でサブだったりする時は、W杯に出て当たり前、勝って当たり前、点が入って普通、そういった中で今までサブに座っていた。それは試合の重要度が違いすぎるから。

 一方で、ベンチは喜ばなきゃいけないみたいな決まりがあるのか、槙野(智章)がいつも前に飛び出ていく。練習試合で僕が飛び出ていなかったら、「なんで本田飛び出てへんねん」みたいな雰囲気を槙野が僕に出してくる(笑)。それはでも、僕からすれば「いらんやろ」ってところで、これまで普通にベンチに座ってきたし。人のゴールがサブでもこれだけうれしいのが、これまでなかったというのは間違いないですね。

(ゴールはW杯最終予選の初戦、16年9月1日のUAE戦以来だが)あれから代表で取っていないの? 僕的には、もう毎試合パチューカで取っているくらいのイメージなので、その“久しぶり感”は逆に知らなかった。年が明けてからはむしろバンバン取っている感じなので、忘れていましたね。

(ゴールは地震があった地元・大阪の人々を勇気付けるものになったのでは?)まだ地震に対してコメントをしていない。しかも地元というところで、あえてしていなかったし、今もあえてする必要もないかなと思っている。W杯が終わったら帰るつもりだし、まずは次に向けてしっかり準備したいという気持ちでいる。向こうの人たちが何か感じてくれて、少しでも元気になってもらえるのであればうれしいです。

(交代出場の際、監督からどんな指示があった?)前の方にいろと。サコ(大迫勇也)の近くでプレーしろと。もちろん呼ばれた瞬間に失点したので、厳しい時間帯で入りましたよね。

(ここ一番で仕事ができる本田はどういう集中力を持っているのか?)けっこうここでしゃべってきましたけれどね。だから、逆に「まだ気付いていないの?」という感じですよね。ちゃんとパーソナリティーを見てほしいし、僕はいい加減なことを皆さんに言ったことはない。ここにいる人のほとんどの名前は言えないですけれど、僕はちゃんとそれなりに向き合って、しゃべらない時もありますけれど、ちゃんとルールを設けて、ちゃんとリスペクトしながらしゃべってきた。どういう思いで、前回の試合に向けて準備をして、今回の試合に向けて準備をしてきて、2010年の初めてのW杯からずっとやってきているのか。

 結果だけを見るんじゃなくて。それは僕だけじゃなく、代表にいる連中は出ていないメンバーを含めて、本当に日本人が想像もできないような努力をしてきて、この場にいる。それをしっかり見てほしいというのはある。僕は、割とたたかれることに感謝している部分、楽しんでいる部分があるんですけれど、そうじゃない人もいるから。それはやっぱり、ちゃんとメディアの皆さんが守ってあげないといけないと僕は思っています。“上げ下げ”で楽しむのは僕だけにしといてほしいなと思います。

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