ロナウドのライバルを寄せ付けない得点力 W杯序盤戦、明暗分かれる各国エースたち

2試合で4得点、結果を残したC・ロナウド

ここまで2試合を終え、スペイン戦でのハットトリックを含む4得点を挙げているC・ロナウド 【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕から、早いもので10日目を迎えた。まだ第2節も終わっていない段階で各チームのパフォーマンス、グループリーグ突破の可能性を詳細に分析するのは早すぎるかもしれない。

 選手個々についても、どのような背景の元に大会を迎えたのか、試合では相手のマークやプレーシステム、試合展開などによって、輝きを放てるかどうかが左右されることになる。

 そんな中、クリスティアーノ・ロナウドはこの上ない形でW杯をスタートした。お互いを熟知するスペインとの初戦において、彼は開始わずか4分で先制点を決めただけでなく、1人で3ゴールを挙げてポルトガルを敗戦の危機から救い出した。さらにはモロッコとの第2戦でも決勝ゴールを決めた。

 スペイン戦で決めた3ゴールのうち1つはPK、1つは直接FKによるもので、もう1つはダビド・デ・ヘアが犯したキャッチミスに恵まれたゴールだった。モロッコ戦のゴールもショートコーナーからのクロスを頭で合わせたものであり、まだ流れの中から、きれいに決めたゴールはない。それでも、優勝候補の一角であるスペイン相手のハットトリックを含む2試合4ゴールは、他のライバルを寄せ付けない突出した結果である。

メッシやネイマールは期待外れのパフォーマンス

C・ロナウドのライバルであるネイマール(写真)やメッシは、良い結果を残せていない 【Getty Images】

 対照的に、C・ロナウドのライバルとなるべきネイマールとリオネル・メッシは、ここまで期待外れのパフォーマンスに終始している。

 引き分けに終わったスイス戦にて、ネイマールは立ち上がりこそ良い形で試合に入れたものの、時間の経過とともに存在感を失っていった。2−0で勝利したコスタリカとの第2戦では、試合終了間際にダメ押しとなる2点目を奪ったものの、コスタリカの堅守にチーム共々苦しめられた。

 メッシにいたっては、アイスランドとの初戦ではハネス・ハルドルソンにPKを止められ、続いて0−3で完敗したクロアチアとの第2戦でも全く見せ場を作れず、戦犯扱いまで受けている。アイスランド戦のメッシは常に孤立し、複数のディフェンダーに囲まれた状態でのプレーを強いられていた。しかも相手はフィジカルコンタクトに強い大柄な選手ばかりで、ファウルもいとわぬ激しいチェックでメッシをつぶしに来ていた。そんな相手に対し、アルゼンチンはメッシが良い状態でボールを受けられる状況を作ることができず、それでもメッシにボールを預けること以外に打開策を見いだすことができなかった。

 過去に何度も直面してきた、出口なき負のスパイラル。それが再び繰り返されはじめたことを感じ、徐々にメッシは怒りと諦観(ていかん)の混ざった感情に支配され、端から見ても分かるほど覇気を失っていった。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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