期待の若虎・植田海が感じる重圧と充実 「試合に出ながらレベルアップを」

週刊ベースボールONLINE

セーフティーバントを得意とする植田。しっかりと甘い球を弾き返すことも心掛けている 【写真:BBM】

 その快足と守備力には金本知憲監督も就任以来期待をかけていた。足を生かすためにスイッチヒッターへ転向。若手育成を進める阪神の中で、しっかりと牙を磨いてきた植田海。そして2018年開幕1軍入りすると、その足でスタメンの座をつかんだ。

 開幕1軍入りも、当初は守備・走塁要員と思われていた。しかし、サード定着予定の大山悠輔が大不振。さらに開幕から20試合時点でチーム盗塁数はわずか「1」という状況の中、快足を見込まれ、4月後半からスタメンに抜てきされた。そこから約1カ月、課題がありながらも試合に出続けている。

「打たないと1軍には定着できない」

――1軍でショートとしてスタメン出場を続けていますが、緊張や疲れなどは感じていますか?

 ずっと試合に使ってもらえていて、毎日が必死なので疲れているかどうか自分自身は分からないです。疲れているのかもしれないですが、それさえ分かっていない部分があると思います。

――先発出場が30試合を超え、1軍の試合に出続ける難しさのようなものは感じていますか?

 難しさよりは、試合で結果が出なかったときなど、けっこう落ち込み、長く引きずりますね。正直、球場に行きたくないな、と思うこともあります。2軍では結果というよりも、自分の課題を重視していたので、今は大きな違いを感じています。

――1軍は「結果」がすべてということですね。

 そうです。チームが勝たないと意味がないですから。最優先は結果なんだな、そして試合は毎日あるものだ、と初めて実感しています。

――「勝たないと意味がない」と思ったきっかけになる試合などはあるのでしょうか?

 そこは、すべての試合ですね。特に負けた試合などは、(自分の)結果が悪いから……と思ってしまいます。今では次の試合では何とか結果を出そうと切り替えてはいます。

――スタメンで出場し始めたころから結果を求めていった?

 もともとレギュラーでもないですし、実績もなかったので、スタメンの機会をもらったときは、怖いものなしで、失敗しても仕方ないやという気持ちでプレーしていました。

――そこから徐々に怖さを知っていったのでしょうか?

 初めのころは、バッティングは周囲にそこまで期待されていないから、守備で頑張ろう、という気持ちが強く、実際に打てなくても「大丈夫やろう」という気持ちがあったんです。でも試合に出続けると、やはり打たないと1軍には定着できないなあ、と思うようになりました。今は打撃で結果が出ていないので厳しい状況にいる、と思っています。

柔らかい足の運びとグラブさばきで安定感のある守備を見せているが、1軍の打者の打球に負けてしまうところが課題だと本人は言う 【写真:BBM】

――では、結果を残すための課題はどれくらいあるのでしょうか?

 すべてです。打撃も守りも、です。守備の面では打球の速さに慣れない部分もありました。

――打球の速さですか?

 やはり各チームのクリーンアップの打球は速くて怖いです。1軍の試合で初めて感じました。そんな気持ちには今までなったことなかったですね。特に1点も与えられない、バックホーム態勢のときなどはそれを感じています。それに少しでもミスをすると簡単に点が入ってしまうのが1軍。「エラーしてはいけない」という怖さも知りました。

――ミスは絶対してはいけない、という強い気持ちで守っているのですね。

 エラーをするまでは、そういう考え方ですね。でも、エラーをしたときなどは「次はエラーしたらあかん」という気持ちになっているので、そこは前向きに考えようとしています。気持ちで負けてしまうと、またエラーして悪循環になってしまうので。今のところ、自分の気持ちを切り替えられる術は持っていないので、とにかく次にきた打球を確実にアウトにするという思いで、試合に臨んでいます。

――甲子園や2軍の鳴尾浜では土のグラウンドでプレーする機会が多かったと思います。しかし、1軍ではセ・リーグの4チームが人工芝のグラウンドを本拠地としています。

 もちろん、土のグラウンドよりも打球の速さは増し、さらに球場によって速さの強弱が違います。とにかく試合の中で、打球の強さなどをすぐに感じ取るしかないと思っています。

――交流戦ではさらに経験したことのない球場ばかりでしたよね。

 景色もかなり違うので、少し怖さも感じます。3試合しかやらないので、すぐに感じ取ることが必要でした。普段プレーしたことのない球場だからと言って、エラーしてもいい、とはならないですから。

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