4年前の反省を生かしてコロンビア撃破 結果を出せば、盛り上がりはついてくる
有言実行の吉田、ファルカオを完封
日本の守備陣をリードし、コロンビア戦の勝利に貢献した吉田麻也 【写真:ロイター/アフロ】
あの時、吉田麻也が語ったのは「もっとこういう大舞台で、チームの役に立てる選手になりたい」ということだった。6月19日のコロンビア戦で、昌子源とともに日本のゴール前をしっかり固めた吉田は、有言実行を果たしてみせた。
日本は前半2度、ラダメル・ファルカオにDFラインの裏を突かれたが、それ以外は完璧に抑えきった。吉田はファルカオと熱いマッチアップを展開し、前に釣り出されて裏を取られそうになっても、必死のスプリントでリターンパスを受けることを許さなかった。
コロンビアのクロスやセットプレーに対する吉田の高さ、ポゼッション時の安定したボールさばき。中でも、2−1のリードで迎えた80分すぎに見せたドリブルインは、コロンビアの選手たちに「もう、この22番からはボールを奪えない」というダメージを与えたのではないだろうか。
「1−1でも最悪オッケーと割り切って個人的にはやっていましたし、(チームメートにも)それを伝えていました。2−1になった時にも『仮に2−2になっても焦らずにやろう』と声をかけてました」
コロンビア戦後の吉田の言葉は、チームリーダーのそれだった。
「前回大会の反省も踏まえて、声が通りづらい、指示が通りづらい、コミュニケーションが取りづらいというのは分かっていたので、“各駅”で僕から(柴崎)岳、長谷部(誠)さんに(指示を伝えていった)。僕から(サイドハーフの)乾(貴士)や(原口)元気に伝えるのは非常に難しかったので、そこはハーフタイムに話もした。何よりいい準備をしてきたので、慌てることはなかった」
4年前、内田篤人が語った言葉
試合開始早々に得たPKと相手の退場による数的優位が大きな転機に 【Getty Images】
「何か分からないけれど勝っちゃう。その後に勢いとか、いろいろとついてくる。 リーグ戦とかで(内容が)よくなくても1つ勝っちゃう。そうすると、そこから連勝できるゲームって多々ある。ホント、先に結果を出しちゃう感じ。すると、なんだかんだで勝っちゃう。悪いゲームでも、悪い内容でも勝っちゃう」
ロジカルな説明ではなかったが、内田の経験談が今、日本代表の現状とシンクロしている。今回のコロンビア戦は、誰もが予想しなかった試合の始まりが、最後に大きな差を生んで日本が勝った。その結果、「これまで最もW杯で期待されなかった日本代表」と酷評されたチームは日本国中に興奮を生み、2戦目以降への期待が高まったのである。まさに内田が言っていた通り、とにかく初戦に勝ってしまえば、たとえそれが“手のひら返し”であろうとも、ファンやメディアの期待がついてくるのである。