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日本代表は「芝」を味方にできるか
チーム作りは仕上げの段階、秘策の確認も

2ミリ違うだけで大きな影響を及ぼす芝生

長い芝生はドリブラーにとっても、大きな影響を及ぼす
長い芝生はドリブラーにとっても、大きな影響を及ぼす【写真は共同】

 味方に付けるか、敵に回すか――。それ次第で試合内容は大きく変わる。レフェリーのことでも、観客のことでもない。スタジアムの芝生のことである。


 西野朗監督が芝の問題について言及したのは6月15日(以下、現地時間)、カザン合宿2日目のことだった。ロシア対サウジアラビアの開幕戦において参考になったことについて問われると、こう語ったのだ。


「ピッチがどこも悪いのかなと。ここ(ルビン・カザンの練習場)も非常にやりにくいんですよ。よく見えるんですけど、24ミリ。短くはならないみたいですね。どうしてもボールがブレますし、(初戦の会場である)サランスクはさらに長いと聞いています」


 今大会の試合会場、練習場のピッチはFIFA(国際サッカー連盟)が管理しており、芝生は基本的に24ミリに設定されているという。


 芝生の長さは2ミリ違うだけで、プレーに大きな影響を及ぼすと言われている。例えば、華麗なパスワークで有名なバルセロナのホーム、カンプノウ・スタジアムの芝生は20ミリ以下に整えられ、埼玉スタジアムの日本代表戦では20ミリにそろえられている。それを考えれば、24ミリがいかに長いかが分かる。


 選手たちの感触も、指揮官と同様だ。東口順昭がGK目線で証言する。

「びっくりするくらいボールがブレる。だからいつもボールを見ないでトラップするところも、ちょっと見ないと、どう変化するか分からないからめちゃめちゃ気を使います。それに、ドリブルしている選手は詰まってしまって、やりにくそうですね。ボールを運びにくい」


 この芝生をいかに味方に付けられるか――。それも、W杯初戦のコロンビア戦の勝負の分かれ目になるに違いない。

岡崎は全体練習に参加せず、浅野との交代も

「本当に良い準備ができている」と手応えを口にした原口
「本当に良い準備ができている」と手応えを口にした原口【写真は共同】

 カザンでの合宿がスタートして3日目の16日。非公開練習は依然として続いているが、ウォーミングアップにあてられる冒頭の15分程度は公開されるため、トレーニングの様子がうかがえる。


 そこで、異変があった。前日、指揮官がコンディションを心配した岡崎慎司の姿が見えないのだ。広報によれば、「ふくらはぎの張りのため、室内で調整中」とのことだが、初戦の3日前に全体練習に参加できないということは、少なくともコロンビア戦での起用は不可能だろう。けが人が出た場合、初戦の24時間前までなら選手の変更ができる。「選手の入れ替えの話は出ていない」と広報は話したが、浅野拓磨との交代を指揮官が決断する可能性もゼロではない。


 トレーニングは前日、指揮官が公言したとおり、セットプレーの攻撃とフルコートでの紅白戦が行われたようだ。フルコートの紅白戦は、5月21日から始まった事前合宿を通して、これが初めて。右サイドハーフでの起用が濃厚の原口元気が言う。


「頑張ることと組織的に効率よくやることの両方をやらなきゃいけないと思います。何度も何度も意見がぶつかりながら、ある程度はまとまってきているし、質もだんだん良くなっている。本当に良い準備ができていると思うので、あとはそれを1人1人がピッチで表現するだけだと思います」


 ウルグアイに対してエジプトが、フランスに対してオーストラリアがやって見せたように、いかに粘り強く戦い、相手を焦らすことができるか――。それが、コロンビア戦で狙いとする戦い方だろう。そうした展開において武器になるのが、セットプレーだ。芝生の影響で思うような地上戦を仕掛けられないのだとしたら、なおさらだろう。


 指揮官はパラグアイ戦のあと、セットプレーにおいて策を隠していることをほのめかしたが、まさにこの日、その“秘策”が確認されたようだ。


 トリックプレーやサインプレーの存在について問われた槙野智章は「うーん……」と困った様子を見せたあと、ひと言、「あると思います」と笑顔を見せた。むろん、その内容については明かされなかったが、いくつかのパターンを試したという。


 プレースキックのスペシャリストがいない現チームにあって、唯一、それを武器とするのが柴崎岳である。8日のスイス戦のあとには「練習では良いイメージで蹴れている。今日は1本だけでしたけど、練習通り蹴れましたし、味方も見てくれているので、特に本番では大きなポイントになる」と自信をのぞかせ、12日のパラグアイ戦では際どいFKをバーに直撃させている。同ポジションの大島僚太が腰に痛みを抱えているため、コロンビア戦では柴崎の存在が一層クローズアップされそうだ。

飯尾篤史
飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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