W杯に向け進歩が見えたゼーフェルト合宿 「ゆとり調整」には一抹の不安も
日本代表、オーストリアから決戦の地ロシアに発つ
13日にオーストリアでの合宿を打ち上げ、宿舎で現地スタッフと記念撮影 【写真は共同】
出発直前、メディア対応に臨んだキャプテン・長谷部誠は「こういう素晴らしい環境を整えてもらったことは選手として感謝しなきゃいけない」とすがすがしい表情でコメント。西野朗監督も「日本でキャンプをしていた時の状態に比べると、選手たちのフィジカル、メンタルの捉え方が(前向きに)変わってきている。本番まであと1週間ですけれど、さらにいい状態に持っていけるんじゃないかと思います」とあらためて手応えを口にした。前日に行われたパラグアイとの国際親善試合で18年初勝利を飾ったことで、チーム全体が明るい雰囲気に包まれている様子がうかがえた。
12日間を振り返ってみると、選手たちはトレーニングを合計8日消化した上で、8日のスイス戦(ルガーノ)と12日のパラグアイ戦(インスブルック)を戦った。限られた調整期間だったが、指揮官は最初からメンバーや戦い方を固定するのではなく、システムやメンバーを入れ替えながら多様な選択肢を追求するというアプローチを選択した。
5月31日のガーナ戦(日産スタジアム)でトライした3−4−3の新布陣に、ゼーフェルト入り直後の3日にも早速取り組んだことが、西野監督の強い意思を色濃く表していた。
「4バックはずっとやってきたので、今は3バックを極めたいということだと思う。僕自身はそこまで不安はないです」と長友佑都が前向きに語っていたように、選手たちも指揮官の要求に応えようと躍起になっていた。しかしながら、「本番まで3週間しかないのに、3バックと4バックの併用を目指すのはリスクが高すぎる」と危惧する声も報道陣の間からは多数聞かれ、先行きが懸念されていた。
課題と「悪い癖」が出たスイス戦
本田がトップ下で先発したスイス戦は、攻撃陣が不発で0−2の完敗 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
この一戦で、西野監督はヴァイッド・ハリルホジッチ前監督体制から軸を担っていた川島永嗣、吉田麻也、長友佑都、長谷部誠らを先発起用。トップ下には4年前の14年W杯ブラジル大会以来の本職復帰となる本田圭佑を据える形でスタートした。だが、この日は前線と後方でプレスのかけ方にズレが生じ、1トップの大迫勇也が単独でボールを追い回すような状況に陥ってしまう。孤立した結果、前半途中に打撲で負傷交代した彼は「守備で走らされて前の選手は大変だった」とストレートに問題点を指摘した。
大迫が下がった直後に酒井高徳がブリール・エンボロにサイドを突破され、吉田がPKを献上して1点を失い、後半にも自らのCKから逆襲を食らって2点目を奪われるというミスの連鎖も、最近の日本代表の悪い癖。攻撃の迫力も出し切れず、ロシア本番に暗雲が立ち込める0−2の敗戦になってしまった。