日本ハム・石川直也が目指す場所「いつかは最終回のマウンドを」

週刊ベースボールONLINE

開幕からブルペンに欠かせない戦力として存在感を発揮しているプロ4年目の石川直也 【写真:BBM】

 2年ぶりの覇権奪回を目指す北海道日本ハムにまた楽しみな戦力が台頭しつつある。栗山英樹監督にその才能を見い出され、入団4年目で大ブレークの兆しを見せる石川直也。開幕から勝利の方程式の一角を任される若きシンデレラボーイの現在地に迫った。

 試練の幕開けだった。自身にとって2018年シーズン最初のマウンドとなった3月31日の埼玉西武戦。9回表から登板するも4番・山川穂高に3ランを浴びるなど4失点。翌日の同カードでも制球が定まらず失点を許した。ベンチでうなだれる21歳。だがその悔しさが石川の胸に宿る闘争心に火をつける大きなきっかけにもなった。

「悔しさのほうが多い序盤戦」

──プロ4年目のシーズンは開幕からブルペンの一角を任されていますが、ここまでの自分のピッチングを100点満点で採点するなら何点ぐらいをあげられますか?

 70点……ぐらいですかね。試合を壊してしまったこともありますし、それこそ開幕は抑えを任せてもらったのに守り切れなかったわけですから。70点と言いながらも悔しさのほうが多い序盤戦でした。

──札幌ドームでの3月31日の西武との開幕シリーズ第2戦、9回表からマウンドに上がるも、いきなり4失点と苦しいスタートとなってしまいました。

 僕がしっかり抑えていれば試合の展開も変わっていたかもしれませんし、本当に悔しかったです。チームにも迷惑をかけてしまいました。

──降板後、目を充血させてベンチでうなだれる姿がありました。

 本当はああいう姿を見せてはダメですよね……。負けてはいましたけど、まだ試合は終わったわけではなかったですから。そういう部分でも、まだまだ僕にはやるべきことがたくさんあると痛感させられましたし、気持ちを奮い立たせてくれた試合でした。

長身から繰り出されるボールは威力十分。次代を担うホープとして指揮官の期待は大きい 【写真:BBM】

──正式に抑えを通達されたのはいつだったのですか?

 開幕戦の前日です。栗山監督から「最後、任せるから」と言われました。

──そのときの率直な気持ちは?

 100%不安がなかったといえばウソになりますけど、すごくうれしかったです。ずっと目指していたポジションでもあったので。

──先発ではなく?

 そうですね。高校時代も試合の途中から投げることも多かったですし、自分にはブルペンのほうが向いているのかなと思っていました。

──先発とブルペンでは調整の方法がまったく違うと思いますが、自分のルーティンはありますか?

 必ずしも毎日一緒ではないですけど、オーソドックスな流れはあります。いまはセットアッパーなので最初はロッカーで試合を見て、だいたい5回ぐらいにブルペンに行きます。そこからウォーミングアップをして、試合展開を見ながら8回の登板に合わせて肩を作っています。

──肩を作る際にブルペンで投げる球数であったり、投げる球種、コースまで決めているピッチャーも他チームにはいますが、そのあたりはいかがですか?

 僕はそこまで厳密には決めていません。本当にその日の調子に合わせて球数が多いときもあれば、少ないときもあります。そのあたりも経験を積みながら、自分に一番合った調整法やルーティンを確立していければと思っています。

──中継ぎのスペシャリストでもある宮西(尚生)投手からも普段からいろいろとアドバイスをもらっているそうですね。

 ミヤさんからは調整の仕方だけでなく、試合中の心構えとかも含めて教えてもらっています。先頭バッターへのアプローチの仕方、相手の打順、点差などを考えて投げろとか、すごく的確で実戦的なのでこのポジションをやる上で助けていただいています。

──現在は8回のセットアッパーに定着しつつありますが、最終的にやりたいのはやっぱり抑え?

 いまは任されたところで全力を尽くすだけですが、目指しているのは抑えです。そのチャンスを開幕前に一度いただいたのに、自分の不甲斐なさで守ることができなかったので……。そのためにも、まずは結果を出して、いつかは最終回のマウンドを任せてもらえるようなピッチャーになりたいです。

──セットアッパーまたは抑えの難しさ、また楽しさはどんなところに感じていますか?

 難しさは、先発が作ってきてくれたいい流れに、いかにうまく乗ることですかね。試合によってシチュエーションがまるで違う中で、そこでいかにいい流れを消さずに自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるか。そこはいつもマウンドで意識していることです。あとは自分の投球次第で先発の勝ち星を消してしまう怖さもありますし、本当に精神的にタフでないと務まらないポジションだと思います。その一方でピンチを切り抜けたり、抑えの場合は最後に試合を締めてみんなとハイタッチする瞬間は何ものにも代えがたいうれしさはありますね。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント