2得点の乾「真司とは本当にやりやすい」 国際親善試合 パラグアイ戦後のコメント

スポーツナビ

岡崎慎司(レスター・シティ/イングランド)

「チームとして話し合いはできていて、良い守備も見せることができていた」と岡崎 【写真:ロイター/アフロ】

「サイドの乾も武藤もついてきてくれる」

(閉塞感は感じていた?)チームとして話し合いはできていて、良い守備も見せることができていた。感覚的に話し合って「行く」「行かない」というのは必要だと思うのですが、選手個々の中で引いて守っていてもけん制することは可能だと思っている。すごく中途半端な位置を取って、CBに行くよ、みたいな素振りを見せるとか。それだけで相手は疲れてくると個人的には思っていて、そういう守備を前線からやって、それにサイドの(乾)貴士も武藤(嘉紀)もついてきてくれるから、逆に後ろも行くときなのか、行かないときなのかが分かりやすかったと思う。

 それは俺らだけではなくて、チームとしてこうやっていこうという話し合いはしていた。それを表現できたし、今日前線でやっていた選手は日ごろからチームでもそういうスタイルでやっている4人が並んだと思っていて、そういうのが好きで、俺が行けばサイドから武藤が来てくれる、というのはうまくいったと思う。

 けれど、パラグアイもそこまでボールを持ち上がれる選手もいなかったし、急にバックパスをして、落ち着かせるような嫌なプレーもあまりなかった。だからこそ行きやすかったというのはあります。ただセンスで片づけてはいけないけど、「行く」「行かない」の問題を今クリアにできているので、あとは個人で1人、2人をけん制していくことが必要だと思います。

(コロンビア戦を前にチームとしての型ができた?)良い雰囲気につながったと思うし、ひとつのヒントになったと思う。前回のW杯で言えば、コートジボワール戦はすごく暑くて、意外にヤヤ・トゥーレやディディエ(・ゾコラ)などのボランチが余裕でボールを持っていて、誰が行くのかというところの対処が難しかった。そういう意味では、1つのベースはできたから、次はコロンビアを徹底的に分析することが日本の1つの武器になると思う。それを頭に入れた中で、あとは選手個人の守備の行き方やチームとしてまとまるところをやらないといけない。行って、やられて、正直ガクッときた部分もあったのですが、90分間これをやれば相手にほころびが出てくるので、やり切ろうとしたことが得点につながったと思います。

(黒子役を担っていたが?)それもやりますし、(香川)真司がフリーになるためにも、自分がゴールを決めるためにも、まずは第1ラインというか、ニアにちょっと抜け切るぐらいの走り込みがやっぱり必要。乾が僕にスルーパスを出したシーンも、僕が(相手を)引き連れていたので、乾の選択次第では後ろの2人がフリーになっていたと思う。レスターでも嫌というほど(パスが)出てこない場面でそれはやってきたので、チームを助けるためのものだと思っている。でも、FWが一番脅威になれるのは何か持っているなという部分で、1、2本の何か強烈なもの、例えばいきなりダイレクトでシュートを打ったりとか、そういうのを前半の早いうちに作れたりすると、また違うFWになれると思います。

 自分が最後に受けるためにはどうするかを考えていると、最後にニアに入っていくこともできない。自分が点を取ろうと思ったら、もう少し工夫してファーに入ろうかな、となるのですが、1トップだからなのか、真司と2トップで横並びになることもあったので、真司も裏に抜けようとしていたと思うのですが、僕はそれが必要だと思っている。そういうのは少なかった部分だと思うので、誰かが出て、引いてきてというのは多少あったし、それによって迫力も出た。なので、1つのヒントにはなったと思いますね。

(いい雰囲気でサッカーができた?)分かりやすくなったとは思います。(山口)蛍にしても、(柴崎)岳にしても、良いところが出ていたと思う。みんなが準備をしているから、最後どこにボールが来るのかが後ろからしたら分かりやすいと思うし、多少行かれたとしても自分か真司が(プレッシャーを)ボランチにかけるだけで(後ろは)ステイできる。危機管理能力的なところは真司も自分も持っていたと思う。すごく良かったのかというと、僕は最高の勝利だとは思わないですけれど、最低限、これをやらないといけないというのを全員が出せたと思う。あとは監督のチョイスもあると思うし、ここから1週間で仕上げていかないといけないですね。

(シュートを大きく外した場面に関しては?)あれはオフサイドだと分かっていたので、気を抜いてシュートを打った。FWとしてはあれだと思いますけど……。

(ポストプレーでも強さを見せたが?)ちょっと自分の好きなスペースに入り込む形を増やしていた。効果的かは別として、自分のリズムにはつながる。チームとしても1つの形になっていたと思う。個人的には、乾とか(酒井)高徳のところからの攻撃がほとんどだったので、あそこからの工夫をもうちょっと徹底すればと思う。乾がカットインすれば、自分と武藤がこういう動きをして入ってきて、大外から例えば(右SBとして出場していた遠藤)航も時には入って来る。その徹底も今後は必要なのかもしれない。割り切って、昔は右で作って、左から攻撃するというのもありましたけど、途中からサコ(大迫勇也)と2トップになってからは、そういうのを受けてくれていたので、可能性が広がるところもあった。個人的にはいろいろなことができて良かったと思っています。

(控え組だから序列を覆してやろうというのはあった?)そんな風には思わないです。別に深い意味があって西野さんも言っているわけではないと思うので、気にはしていません。今まで出ていた選手たちも納得がいく結果を出せていなかったので、そういう選手たちからもフィードバックをもらっていた。そういう意味で、チームとして戦っているというのがあった。あいつらが出してくれたものをまた自分たちがさらに可能性のあるものにして、最後はみんなでコロンビア戦に向けてやっていく。誰が出るかはこの試合でさらに難しくなったと思います。ただ、誰が出てもこれは最低限やって、途中から出る選手も変化を付けて、0−0、1−0、0−1、いろいろな状況を考えても途中から出る選手がすごく重要な展開になると思います。

山口蛍/セレッソ大阪

長谷部に代わり、この日は西野監督からゲームキャプテンを任された山口 【Getty Images】

「チームとして攻撃も守備もうまくできていた」

(キャプテンマークを巻いたが)まあ、そうですね。ハセさん(長谷部誠)が何年もつけている重圧だったりとかはすごく感じました。

(その分、戦う姿勢を前面に押し出せた?)そうですね。個人というよりは、チームとして今日は攻撃も守備もすごくうまくできていたと思うし、それが一番よかったんじゃないかと思います。

(ビハインドになって折り返したのは今までと同じ流れだったが、巻き返すことができた要因は?)失点するまでも良い流れできていたと思うし、ズルズル引くんじゃなくて、前から行く時も、前から行かなくても高い位置でしっかりブロックを作ってやることができていた。失点したからといってそれをやめずに、前半同様しっかり前から行こうという話をみんなでしていました。それを後半もしっかりできたから、結果につながったんじゃないかなと思います。

(キャプテンは監督から?)そうですね、はい。ミーティングのときに言われました。

(1つ勝ってロシアに行けるが?)やっぱり勝てないまま行くよりは(良い)。ずっと勝ちがなくて、しっかりここで勝てたので、その流れで行けるのは、今はすごく良かったなと思います。

昌子源/鹿島アントラーズ

昌子は「良い意味で監督が悩んでくれれば」と手応えを語った 【Getty Images】

「各ポジションに危機感や競争がまた生まれると思う」

(バックアップが先発するみたいな言われ方をしていたが?)そうですね。でも、僕らはやってやろうという気持ちはもちろんあるし、そういう気持ちを出したかった。チームとしては勝ちが必要で、勝ってロシアに入りたかった。メンバーがほとんど変わった中でやるのはいろいろな言われ方があるけれど、俺らはそんなの気にせず、とにかく「このメンバーで勝とうぜ」という話をしていた。嫌な感じで失点して嫌な空気になったけれど、そこをハーフタイムで修正して勝てたのはすごく自信になったし、日本代表チームとしてすごく良い勝利だったんじゃないかと思います。

(ハーフタイムの修正とは?)監督からは、攻守において全然問題ないと言われましたし、選手も全然問題ないからしっかりもう1回、まず1点を取りにいこうと。後ろはもうやらせないというのを徹底していって。今の日本の課題はセットプレー(の守備)。一発でやられるというよりは、こぼれ球を含めて。今日のセットプレーも、ほとんどこぼれ球を拾われていたし、あれがワールドクラスのシュートやと思う。そういう場面で近い人が寄せるとか、こぼれ球に必ず先に触るとか、細かいことだけど、そこから結局は入れられているわけで、2失点ともそうだった。流れのなかでやられていない分、そういうのがOKかと言ったらそうではない。しっかりやりたいと思います。

(起点になる縦パスについて)そういうのもチャレンジだと思う。乾くんや真司くんがいいところにいてくれたし、僕が乾くんに出すこともあれば、僕が乾くんに出すふりをして(相手が)パッと動いたところを、真司くんに出す時もあった。得点の時も最初は乾くんに出そうと思ったけれど、相手が動くのが見えて真司くんに出した。僕らが持ち上がって、あの人たちをできるだけゴールに近いところでプレーさせれば、言い方が正しいか分からないけれど、あんなに簡単に点が取れる。簡単に、と言ったら失礼だけど、あそこで仕事をしてくれたらやっぱり点を取ってくれるのは本当に心強い。あの2人は常にイメージが合っていると思うし、本当に僕があそこに付けただけ。「だけ」と言うとおかしいけれど、そこからポンとやってくれるから、やっぱりすごいと思いました。

(ディフェンスラインの入れ替わりは期待できそうか?)僕ら試合に出ていないメンバーがプレーすることになると言っていましたし、こうやってメンバーが代わっていかないと良くなっていかないと思う。僕らが下から突き上げていかないと、今出ている人たちも危機感がないだろうし、今日僕らが出たことで、各ポジションに危機感や競争がまた生まれると思う。それはすごく良いことだと思う。勝ってロシアに入れるのもそうです。ディフェンスラインに限らず、各ポジションで一番良い組み合わせを、良い意味で監督が悩んでくれればいいんじゃないかと思います。

(半年ぶりの勝利でうまくロシアにつなげられそう?)そうですね。この勝利はチーム全体の良い自信になると思う。でかい勝利だったと思います。

(今日は声で全体をオーガナイズしていた印象があるが?)ハマる部分が多かったですが、自分が求めているタイミングじゃない場面で岡ちゃん(岡崎慎司)や真司くんが行った時に、スライドの速さとかはもう少し上げていきたい。やっぱり自分が「待て」と言っても、今日は比較的声が通っていましたが、本番になると違う声援(の大きさ)があると思う。そこでディフェンスラインのタイミングじゃないところで行った時に、僕らがついていかなければいけない時に、そのスライドが、特に僕がゴウちゃん(酒井高徳)のサイドにずれななあかんところでちょっと遅かったと自分でも思うし、逆もそう。そのスライドはもっと早くしないといけないと思います。

(スライドと、押し上げと両方?)そうですね。ベンチからはもう少しラインを上げられるぞと聞こえてましたし、ハーフタイムに(長友)佑都くんだったり、ハセさんにもう少しラインを上げられるんじゃないかと言われました。もちろん、それも一理ありますが、僕らは僕らの感覚、特に俺とナオ(植田直通)の感覚で、上げられる場面と、上げるのが難しい場面もある。もちろん声は聞きますが、やっぱりやる側でしっかりコミュニケーションを取ってできているのが一番良かったかなと思います。

(全体的に距離感やコンパクトさの手応えは?)今日は比較的、良かったんじゃないかと。左右へのスライドも、特に前半は苦しい部分があったけれど、後半の途中から最後までその修正はできていたと思う。それをこの試合をきっかけに最初の1秒からできるようにしないといけないし、そういうコミュニケーションも取れていた。僕の左が佑都くんになっても、誰がCBの相方でも、前(ボランチ)が誰でも、そういうことをやっていかないといけない。そういう細かいところが、前半の途中から後半の最後までは良かったと思います。

(自分が出ても、誰が出ても大丈夫だという手応えは得られた?)得られたと思います。自信がつく勝利でした。2失点したのはいただけないし、特にセットプレーのセカンド(ボール)でやられているので、そういう意識は変えていかなければいけない。セカンドへの速さだったり、近い人がボールにアタックするとか、そういうのは集中してやっていかなければいけないと思うけれど、さっきも言った通り、監督に良い意味で悩みを与えられた試合なんじゃないかと思います。

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