Dバックス・平野が語る新天地での活躍 首脳陣は絶賛も本人は謙虚に淡々と
監督、コーチからの信頼も厚い平野 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
34歳の右腕は、鋭く落ちるスプリットを操り、開幕からその実力をいかんなく発揮している。セットアッパーとして3月29日(現地時間)の開幕戦ロッキーズ戦でメジャーデビュー。翌30日には初ホールドを記録し、4月8日のカージナルス戦では初勝利を挙げた。主にリードしている展開で7回か8回に登板し、リードしたまま次の投手につなぐ役割を任され、いわゆる勝利の方程式の一員として好リリーフが続いている。
6月10日時点で31試合に登板し、失点はわずかに「5」。5月6日以降は16試合連続無失点中で、防御率1.61と抜群の安定感を見せている。
昨季、ワイルドカードでポストシーズンに進出したダイヤモンドバックスは、球団記録となる開幕から9カード連続の勝ち越しから始まり、4月をナ・リーグ西地区の首位で終えた。5月に連敗が続いて首位を明け渡したものの、6月2日に再び首位に返り咲き、現在もキープしている。開幕前はこの地区を引っ張ると予想されたドジャースとジャイアンツが主力選手のけがもあって思うように勝ち星が伸びない間に、ダイヤモンドバックスは着実に勝ちを重ねている。その勝利の一翼を担っているのが、平野だと言っても過言ではない。
「素晴らしいパフォーマンス」とロブロ監督
マイク・ブッチャー投手コーチも「彼は安定した素晴らしい仕事をしているよ。強力なブルペンの一員として、7回をしっかりと投げて後につなげている。開幕から好調をキープし、自分の役割をしっかりこなしている。ヨシはいつも笑顔のナイスガイで、チームに溶け込んでいるように見えるね。練習熱心だし、彼のような選手がチームに来てくれてとてもハッピーだよ」と笑った。
監督やコーチ陣からは、練習やクラブハウスでよく話しかけられ、コミュニケーションは良好だ。チームメイトも平野の仕事ぶりと温和な人柄に信頼を寄せている。普段あまり他の選手へのコメントをしない、エースのザック・グリンキーさえも「彼がブルペンに加わって本当に良かったよ」と語るほどだ。
そんな周囲の声にも本人はマイペース
意識していることは「毎日やるべきことは日本と変わらないが、任されたところでしっかり仕事をすること。終わったらその日のピッチングを振り返って反省するところはして、疲れを残さないために、身体のケアをしっかりして翌日に備える」というシンプルな繰り返し。しかし長いシーズンを戦い抜くためには大事なことだ。
マウンドの傾斜や硬さ、ボールの滑りなど想定内の変化には早くから対応できた。打者に対しても甘いコースにいくと、パワーで持って行かれるというのも予想通りだった。
逆に「ブンブン振ってくる打者ばかりじゃないこと。しっかりボールを見たり、ファウルで粘ってくるバッターもいるんだなぁということは意外だった」と発見もあった。
「打たれて、そのバッターの特徴が分かったら、今度は別の攻め方をしようとか、打たれてもその過程を大事にしている。そこから次への課題が見える。抑えても一緒で、こうやって抑えられたのだったら、今度はもっとこうしたら楽に抑えられるんじゃないかと。試合を重ねてわかることもあるので、そこは特徴を見ながら対応していく」と適応能力の高さを見せる。自分の感覚を大事にしながらも、適応するところはするがモットーだ。