本田圭佑「真司にポジションを取られる」 国際親善試合 スイス戦後のコメント

スポーツナビ

スイス戦後、本田は同じトップ下の香川をライバルとして意識していることを明かした 【Getty Images】

 サッカー日本代表は現地時間8日、スイス・ルガーノのスタディオ・コルナレドで、ワールドカップ(W杯)ロシア大会に出場するスイス代表と国際親善試合を戦い0−2で敗れた。4−2−3−1の布陣で臨んだ日本は、前半42分に吉田麻也が与えたPKをリカルド・ロドリゲスに決められて先制を許す。後半37分にも途中出場のFWハリス・セフェロビッチに追加点を奪われると、5月30日のガーナ戦(0−2)に続いてノーゴールでの2連敗となった。

 試合後、本田圭佑は「2つの評価がある」と試合を振り返った。「2試合結果を出せていない」と個人で得点に絡めていないことへの反省を述べつつ、「チームは手応えを感じられる試合内容だった」とポジティブなコメントを残したが、個人での危機感は相当に高まっているようで、「結果を出さないと(香川)真司にポジションを取られる」と同じトップ下でプレーしたライバルの存在も口にした。

 本田のコメントを受け香川は「プレースタイルが違う」と話しながらも、「自分が出た時にどれだけバイタルにもっと入っていけるかというのは意識した」と明かした。「守備はある程度やれる」と手応えを見せつつも、「距離感であったり、(ボールの)取りどころはハッキリさせていかないといけない」と、チームとしてより共通意識を持つ必要性を訴えた。

本田圭佑(パチューカ/メキシコ)

「チームは手応えを感じられる試合だった」

(今日のテーマは守備だったと思うが評価は?)2つ評価があって、自分に対しては決めないといけない。攻撃としてトップ下で出ている以上、今までもそういうのを決めて自分のポジションを勝ち取ってきたと思っているので。ガーナ戦もこの試合もチャンスをもらって、2試合、個人的に結果を出せていない。それはよくないと思っています。危機感として感じています。

 サブには僕のライバルでもある(香川)真司が控えていて、結果を出さないと真司にポジションを取られるという危機感を持たないと話にならないなと思っています。そこは本当に反省しないといけない。前半も決めないといけないシーンがあったので、あそこで決めるか決めないかで生死が分かれるのがW杯なので。

 チームで確認したかったことに関しては、手応えはあります。負けていて手応えというのもおかしな話かもしれないですけれど。勝ちにはいきましたが、負けたという結果を見るのではなく、やっぱり内容で見たい。僕個人としては、チームは手応えを感じられる試合内容だったのではないかなと思います。

(全体を下げてブロックを作るようなところまではやれていなかった?)いや、それはやれていたし、最終的にそこまで危ないシーンが多かったわけではないと認識しているので、一定の手応えはあると思います。でも2失点しています。そこは理由が必ずあるので失点している。もちろん、そこは反省しないといけないです。

 個人的には(試合に)出ている以上、結果を出さないといけないという危機感は持っていますけれど、チームとしてはまだ負けられる猶予はあるので、それをネガティブに考える必要はないと思っています。

(その猶予はあと1試合だが)10試合あっても1試合でも一緒かなとも思います。今日見てもらったら分かるんですけれど、普通には戦えるんです。普通に戦えるんですけれど、勝つか勝たへんかは、あのPKとか失点したところを守って、僕らがチャンスで決められるかなんです。ここで(前回大会の)初戦のコートジボワールも負けた。

 コートジボワール戦を久しぶりに見返したんですけれど、僕らもめちゃくちゃチャンスあるんですよ。でも負けたんです。それが全てです。だから、コロンビア戦も紙一重の戦いになると思いますよ。でもその紙一重を引き付ける何か。それはまだ足りない。だから負けているんです。でもそれって、あの時はさんざん勝っていたけれど本番で負けたことを考えたら、僕らがここから20試合やったからといって別人にはなれない。逆にけがをするリスクが高まるんじゃないかなと思う。もうあと1試合しかないですけれど、前向きに捉えています。

(うまくいったシーンは)良い取り方ができていた場面もあったと思います。ただ、取った時のビジョン。どこに1本目をつけるか。もうちょっとつけてもいいかなと思うところを、横パスで速攻にいけていない場面もあったので。

(0−1の状況でさらに失点をしているが?)そこは本当に良い質問で、次はそこだと思います。0−1でビハインドの時に、何分でいわゆる「捨て身プレス」をし始めるのか。フレッシュな選手はたぶんやりたいんですよ。でもずっと(試合に)出ていて、僕らが攻めている時に相手のFWが何人か攻め残っている時とかに、もしかしたらディフェンスに嫌な感情はあるかもしれない。そこのヒアリングが今日の課題で出たから、次のステップだと思ってます。

香川真司(ドルトムント/ドイツ)

途中出場だった香川は「チームとして共通意識を持つ必要がある」とコメント 【Getty Images】

「バイタルに入り込んでいかなければ」

(前半ベンチから試合を見ていてどんなことを考えていた?)守備はある程度やれるというか、もちろん課題はありますが、もっと距離感であったり、(ボールの)取りどころはハッキリさせていかないといけないのかなと。取った後も手数がかかっていました。人が動いて崩しにかかるかというチームとしての共通意識を前後半通して持たないと、どこでスピードアップするかがチームとしてなかなか持てていなかった。それは1人入っただけで変わるものでもないですし、チームとして共通意識を持つ必要があるんじゃないかなと思いました。

(何をしたらもっと推進力を出せる?)ペナルティーエリア外のシュートがほとんどで、やっぱりそれではなかなか入らないです。相手もコースを限定していたというのはありますし。そう考えると、バイタル(エリア)に入り込んでいかなければいけない。バイタルと言っても、バイタルの角であったり、1回サイドにえぐって走り込むのもそうだし、そこをどれだけ使うか。後ろで回すことは十分可能だと思うので、クロスを上げるにしても奥までえぐって起点になったりというのは必要になってくる。僕はやっぱりそこは突かなければいけなかったと思いますけど。

(香川が入ってからペナルティーエリア中でワンタッチではたいたりしていたが)そこの精度を上げていかないといけないし、あそこで受けて仕掛けたり、コンビネーション。あそこをどれだけ入っていけるかというのは絶対的に必要です。誰がミドルで決められるんだ、という中でなかなか現実的ではない。僕たちは入っていかなければいけないし、人数をかけなければいけない。どう人数をかけて、どうチームとして2人3人と絡んでいくんだというところを共有していかないと、1対1の関係性だけではなかなか難しい。そこは課題としてやっていかなければいけないです。

(あうんの呼吸がよくなってる手ごたえは感じられた?)いや、そこは課題が残ったと思います。ただ、やれるメンバーだと思っているので、あとはどのタイミングで入り出すか、そのスペースをどう突くか、というのは個人戦術も大事だけれど、チームとして意識を持つ必要性もあるんじゃないかなと思いました。

(本田は香川がいるから危機感を持ってやっていたと言っていたが)プレースタイルが違うので。お互いの良さが絶対にあるわけなので。ただ、自分が出た時にどれだけバイタルにもっと入っていけるかというのは意識しました。自分だけで攻略できるほど甘くはないので、そこに2人3人と絡むことがもっと必要だなと。次の試合がまだあるので、僕はそこでやり切りたいし、個人としてもチームとしても1つストロング(ポイント)を持ってW杯には絶対行きたい。また3日間しかないですけれど、話し合いながら練習して、そういうところは少し今日は足りなかったのかなと思います。

長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)

キャプテンの長谷部は、攻撃に関して「どうしても迫力がない」と話した 【Getty Images】

「攻撃は間違いなく改善しなければいけない」

(勝利で自信をつけたいと言っていたが)試合前に言っていたように、自分たちが取り組んでいることに対して手応えをつかむという意味では勝利が一番欲しかった。今日の敗戦は、もちろん結果としては非常に残念な気持ちが強いです。

 試合内容、特に守備の部分でよくなってきている部分は間違いなくあるとは思います。ただ、失点の仕方もPKとCKのカウンターからなので、そこもいわゆる勝負弱さが出てしまっています。あと攻撃でかなり良い形でボールを取ってチャンスになった場面で、最後のアイデアや精度が明らかに欠けているなと、ここ2試合で感じます。

(遠目からのシュートもGKの正面ばかりだったが)ロングシュートはもちろん1つ必要なものだと思いますが、そこだけじゃない。相手のミスから良い形でボールを奪って、相手の陣形が整っていない時にカウンターという形もけっこうあったんですけれど、そういうところでどうしても迫力がない。これまでのトレーニングで守備に多くの時間を割いているというのはあるんですけれど、攻撃は間違いなく改善していかなければいけないところです。

(やりたいサッカーで守れているのに失点してしまう原因は?)ガーナ戦もそうですが、負けておいて言うのもなんですが、「やられたな」という感覚はそこまでない。ただ、最後の部分でファウルを与えてしまうとか、2点目も僕がゴール前の泥に足を取られて対応できなったというのもあります。そういう小さいようで大きなところだと思います。チームとして守備の良い形ができている中で、そういう失点をしてしまうとガクンときてしまう。ただ続けていくしかないと思っていますし、攻撃の部分で良くしていかなくてはいけないと思います。時間は限られていますが、やるしかないと思います。

(これから戦い方を絞っていく必要があるのでは?)監督の考えは基本的に4バックがベースというのは変わらないと思うので、それに対して相手、試合展開も関係して5枚で守る場合も出てくると思います。もちろん南ア(南アフリカ大会)の時と状況が似ていると思われるかもしれませんが、自分の中では何の保険にもならないので、今できることをやって突き詰めたいです。

(2失点目などチームの自信のなさを感じるが)あの時間帯はCKの場面でも前に行っていましたし、それ以外の部分でもかなり前からいっていたので、多少リスクをあったなかで、カウンターでやられてしまうというのは、全員の戻りが遅かったですし、そういうところはもっとお互い厳しくやっていかなくてはいけない。やることはたくさんあります。

(練習をしていたクロスであまり可能性を感じなかったが)クロスに対して中に人数が足りなかったり、人数がいるのに早く入りすぎていたり、いろいろな形があった。どの形も有効じゃない形で、ゴールを取るという意識を皆がもっと持たなくてはいけないし、ゴール前に入っていく迫力が足りないのは、そういうメンバーではないかもしれないですし。逆に今はゲームを作ろうとするメンバーが多いのが(理由に)あるかもしれないですし、間違いなく短期間で修正しなくてはいけないです。

吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)

PKを献上した場面について「ボックス外で止めるべきでした」と振り返った吉田 【写真:ロイター/アフロ】

「もっと共通意識を持たないといけない」

(0−2という結果だが)もちろんPKも2点目も不必要でした。ビハインドになってもできるだけ2点目を取られず、最後まで勝ち点を取れる可能性を高めて戦わなければならないのかなと思います。

(PKのシーンは)相手を止めるなら、ボックス外で止めるべきでしたね。残り時間も少しで、サコ(大迫勇也)が負傷交代してスイッチが切れやすいところだったので、締めなければいけないという話はしていたので。そこは個人のミスなので改善できると思いますが、チームとしてビハインドになったときの戦い方をもっと話さなければいけないです。

(今日の敗戦を受けて考えることは)相手は強かったですけれど、やれているところはたくさんあったんじゃないかと思います。あとはさっき言ったように、ビハインドのときにどう攻めて、どう守るのか。どうプレスをかけるのかというところを、みんなで共通意識を持ってやらないといけない。途中から入ってきた選手は前からプレスにいきたいし、後ろの選手はもう少し我慢してほしいという状況だったし。最後にハイプレスをかける時間の配分も、もう少し話し合って明確にしておかなければならないと思います。

(前からいくという守備の狙いがあったが)前半はすごく良かったと思います。ただ後半は、ビハインドになってから選手が入れ替わって、ほとんどがハイプレスにいくようになって、残り20分くらいはかなり試合がオープンになってしまった。点を取れる可能性もあったし、やられる可能性もあったし。結局、W杯のグループステージ3試合の中で、そういう戦い方を3試合できるのかというところを考えないといけないと思います。

(攻撃面での狙いと手応えは)深いところまでえぐれる回数も多かったんですけれど、そこからクロスの狙いは前の試合より確実によくなったと思います。どのチームもそうですけれど、レベルの高い相手はニアを必ず埋めてくるので、そうなったときにマイナスなのか、ボランチに一回当ててからの崩しのアイデアをまだ見いだせていないので。守備と同じように話し合わないといけないと思います。

(収穫と課題のどちらが多かった?)もちろん課題ですね。負けていますし。課題が多いと思います。(あと10日間しかないが)やるべきことは多いなと思います。何より試合に勝っていないので、次のパラグアイ戦に勝って、良い状況でコロンビア戦に臨みたいと思います。

(やはり4バックの方がいい?)ベースは4枚だと思いますけれどね。オプションとして3も持っているということで、そういうことになると思います。(W杯でやりたいサッカーの土台は積み上がっている?)もちろん1試合目より良かったと思いますよ。繰り返しますが、チームとしての共通理解をより深めていけているとは感じています。あとは選手間、監督やテクニカルスタッフとの会話が増えているので、建設的にはできていると思います。何より時間がないので、ここを1日でも早く詰めて、構築していきたいと思います。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント