紀平梨花が語る3アクセルとエッジの関係 「調整は大変」でも挑戦し続ける理由

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4回転はサルコウとトウループを練習中

4回転に挑戦することをすでに明言。現在はサルコウとトウループを練習しているという 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――トリプルアクセルは紀平選手の代名詞になっています。どういう思いやこだわりを持っていますか?

 最近も靴を替えて、エッジの位置を調整したりするのはすごく大変です。調子によっては跳ぶのをやめておこうかなと思う試合も今まではあったのですが、跳べる選手が多くない中、トリプルアクセルを入れることで自分にも挑戦できるし、入れていくことでしか経験を積むことができないので、今後も外すことはないと思います。

――4回転ジャンプの挑戦も明言していました。実際に現在は練習しているのですか?

 今はサルコウの両足跳びに挑戦しています。羽生結弦選手(ANA)とネイサン・チェン選手(米国)のサルコウの跳び方は違っていて、サルコウには2パターンの跳び方があります。羽生選手は氷の上に両足を乗せて跳ぶタイプで、ネイサン選手は左足だけ氷上につけて、右足は浮かせたまま跳ぶタイプです。他の選手もだいたいその2パターンでやっていると思います。そのどちらにしたほうが跳びやすいかを実際にやっていたんですけど、両足だとあまり合わなくて、今は左足の片足跳びに戻そうと思っています。まだ完成には至っていない状況なのですが、片足で跳ぶときは最初に踏み切れば、ほとんど回りきれるくらいの状態には来ています。

 4回転トウループもたくさん練習していて、去年よりも良くなってきているので、シーズン中には完成させたいなと思っています。

――紀平選手は表現力にも定評があります。

 シニアの選手はやはり素晴らしい表現力があり、特にスケーティングがジュニアと比べて全く違います。私自身も年々少しはましになっているかなとは思いますが、シニアの選手に比べれば全然足りていません。来季はシニアに上がる予定なので、バレエやダンスで表現力を磨きながら、氷上で練習しているときにビデオを見ながら改善していきたいと思っています。

――4月にトム・ディクソンさんに来季のフリープログラムを振り付けてもらったようですね。

『ビューティフル・ストーム』という曲で、雷の音が入ったり、波の音が入ったり、聴けば聴くほど良い曲だなと思える曲です。きれいと言うよりは少し格好いい感じに仕上がったプログラムになっていると思います。

――ジャンプ構成は決まっているのですか?

 ルール変更があるので確定ではないんですけど、4回転トウループかトリプルアクセル+3回転トウループのどちらかで入り、続いてトリプルアクセル、3回転ループ、3回転ルッツ+3回転トウループ、3回転フリップ、3回転ルッツ+2回転トウループ+2回転ループ、最後に3回転サルコウという感じです。最近作ったばかりなので、これから素晴らしいプログラムにしていけるようにしたいです。

――ショートプログラムについては?

 デヴィッド・ウィルソン先生に振り付けをしていただきます。曲はまだ決まっていないのですが、私から気に入っている曲を1曲提案したので、その曲になるかどうかはこれから決まります。

北京五輪で優勝することが今の目標

2022年の北京五輪で優勝することが今の目標。それを達成するために、紀平は今後も競技者として研さんを積んでいく 【スポーツナビ】

――これまでのスケート人生で、紀平選手が成長できたと感じる出来事を教えてください。

 一昨年(2016年11月)の全日本ジュニア選手権では大失敗をしました(11位)。今考えれば、そのときもトリプルアクセルをたくさん練習していた一方で、ルッツなどがまだ定着していなくて、プログラムをあまり滑りこなせていなかったように思います。その年の全日本選手権に出ることを目標としていたのですが、結局出場することができませんでした。ただ、そこからたくさん練習を積むことができたし、良い練習もできました。

 今季はJGPシリーズに熱を出しながら出場したり、夜遅くの試合で筋肉がいつもと違う状態になりながらも演技したりと、初めての経験もしました。風邪を引かないように飛行機ではきちんとマスクをつけることも意識できるようになりましたし、世界ジュニアではやはり靴は大事だとあらためて気づくことができました。「この試合」と言うことはできないのですが、すべての試合で少なくとも2つくらいは学んできていますし、試合を積み重ねてだいぶ知識となってきました。たくさんの試合で成長できていると感じています。

――スケート人生で一番うれしかったこと、一番悔しかったことは何でしょうか?

 一番うれしかったことは、昨年末の全日本選手権で3位に入ったことです。一番悔しかったことは……何かな(苦笑)。さっきも言った一昨年の全日本ジュニアかもしれません。そのときも調子は良くなかったんですけど、気合いが入り過ぎていて、ジャンプを絶対に決めると思い込んだほうがいいと、間違った気合いの入れ方をしてしまいました。自分で自分のことを分かっていなかったんです。本番でパニックになってしまったので、それが一番ショックを受けた試合です。

――北京五輪に向けて新たな4年が始まりました。紀平選手としてはどういう部分を高めていきたいと考えていますか?

 1つには絞れないんですけど、ジャンプの安定感はそうですし、新しいジャンプも増やしていきたい。あとは表現力とスケーティングのスキルですね。すべての要素に加点の付くような演技ができたらいいと思いますし、北京五輪に出るまでにやり残したことがないというくらい、すべての要素を高めていきたいです。北京に出ることをまずは目標としていますが、出たら必ずメダルを狙えるレベルになっていないといけない。それまでしっかりと経験を積んで、試合で怖いものはないと思えるようにしたいと思います。

――競技者、スケーターとしてのゴールはありますか?

 いつか五輪で優勝することが自分のゴールだと思ってこれまで練習してきました。北京五輪で優勝することが今の目標なので、それに向かってやっていきたいと思います。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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