【新日本プロレス】高橋ヒロムが悲願のBOSJ初優勝 大阪でオスプレイが持つIWGP挑戦へ

高木裕美

BOSJ初優勝を飾った高橋ヒロム 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 4日の新日本プロレス「BEST OF THE SUPER Jr.25〜優勝決定戦〜」東京・後楽園ホール大会では、“ジュニアの祭典”BOSJの優勝決定戦や、5日後に迫ったビッグマッチ6.9「DOMINION」大阪城ホール決戦の前哨戦などが行われ、札止めとなる1740人を動員した。

 メインイベントの「BEST OF THE SUPER Jr.25」優勝決定戦では、Bブロック1位の“TICKING TIME BOMB”高橋ヒロムが、Aブロック1位の“NEW BONE SOLDIER”石森太二を破り初優勝。6.9大阪でウィル・オスプレイの持つIWGPジュニアヘビー級王座への挑戦が決定した。

 5年前、この場所で誓った「IWGPを巻いて、ゴールデンタイムで試合する」という夢へとまた一歩近づいたヒロムだが、試合後、優勝トロフィーが破壊されるという前代未聞のハプニングに見舞われた。

ともにメキシコで育った2人による決勝

必殺技のDで相手を苦しめ、予選ブロックを勝ち上がってきた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ヒロムは2010年8月にデビュー。12年には記者会見場で菅林直樹社長(当時)に出場を直訴し、BOSJ初出場を決めるも、わずか1勝止まり。翌年も2年連続で参加するが、全敗に終わり、このリーグ戦を最後に無期限のイギリス遠征に出発。その後、メキシコCMLLで「カマイタチ」としてブレイクし、16年11.5大阪にて“TIME BOMB”として凱旋。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの一員となると、17年1.4東京ドーム大会では、いきなりIWGPジュニア王座を戴冠した。

 今年のBOSJでは、初戦の5.19後楽園でマーティー・スカルに勝利すると、因縁の深いエル・デスペラード、ドラゴン・リーの2人には敗れたものの、最終戦の6.3後楽園では前年度覇者のKUSHIDAに、必殺技のDで勝利。5勝2敗でBブロック単独首位となり、初の決勝進出を決めた。

 一方、メキシコ闘龍門出身の石森は、今年3月にプロレスリング・ノアを退団後、「富と名声を得るため」BULLET CLUB入り。5.4福岡大会に“NEW BONE SOLDIER”として乱入した。BOSJ初戦となった5.18東京・後楽園ホール大会では、現IWGPジュニア王者のオスプレイを撃破。リーグ戦ではROHのハイフライヤー、フリップ・ゴードンとノア時代の先輩であった金丸義信には敗れたものの、ベテランのタイガーマスクや元パートナーのACHなどから白星を獲得し、5勝2敗でリーグ戦を突破した。

 共にメキシコという共通点を持つ両者の初遭遇は、30分超えという時間を感じさせないほど、実に刺激的でスリリングな攻防となった。

トロフィー破壊で公開謝罪

喜びのあまりトロフィーを破壊。土下座して公開謝罪するシーンも 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 5年前の13年6.9後楽園大会。BOSJ最終戦のこの日、高橋広夢は第2試合で中西学と組んで、渡辺高章(現EVIL)&永田裕志組と対戦。試合後、無期限でイギリスへ武者修行へ旅立つことが発表され、その時にファンに誓った約束がこれであった。

 純粋に夢を追いかけるヒロムを、やはり「東京ドームのメインで試合をする」という少年時代の夢を叶えたLIJのボス・内藤哲也が祝福。だが、これまでIWGPインターコンチネンタル王座のベルトに対して乱暴の限りを尽くしてきた内藤の成せる技なのか、トロフィーをつかんだ際に横の部分が折れてしまうハプニングが発生。この状態で“丸投げ”されたヒロムは、優勝者でありながら、リング上で土下座して“公開謝罪”。15年8.16東京・両国国技館の「G1 CLIMAX25」優勝決定戦で、8年ぶり2度目の優勝を果たした棚橋弘至が、喜びのあまり優勝旗を振り回しすぎて折ってしまった時以来のインパクトを残した。

 バックステージでも、「オレが責任持って直す」と、壊れたトロフィーの修復を行いながらインタビューに答えたヒロムは「ジュニアの象徴になるのはこのオレ」と、昨年BOSJを卒業した新日本ジュニアのレジェンド、獣神サンダー・ライガーに代わるシンボルに自分がなると宣言。「2019年の高橋ヒロム」に対し、「2018年のスーパージュニアは史上最高に盛り上がったぞ。19年のヒロム、このオレを超えてみろ」と呼びかけると、さらに「最後にひとつだけ。この会場であなたが見てくれたことを知ってるぞ。イニシャルK」と謎のメッセージを残した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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