すでに4勝、榎田大樹が西武で復活 「自分の形ができあがりつつある」
トレード通告は在籍8年目の結婚記念日
昨年は3試合のみの登板にとどまった榎田が、今年は新天地ですでに4勝をあげている 【写真:BBM】
「びっくりしましたけど、また西武でひと花咲かせられるように頑張りたい」
3.14――。その日は「円周率みたいに永遠に仲良くいられたら」という願いを込めた結婚記念日でもあった。6回目のメモリアルデー。愛妻は「結婚記念日にトレードされるプロ野球選手なんて、なかなかいないよ」とほほ笑んでくれた。
花開いた昨オフの取り組み
手術以降に見失っていた自分の投球を、昨オフの取り組みで取り戻しつつある 【写真:BBM】
西武はプロ初勝利を挙げた相手でしたね(11年5月24日)。ドラフトのときもチームに東京ガスの先輩・片岡(治大、現巨人2軍内野守備走塁コーチ)さんがいて、西武から指名される可能性があるかなと思っていました。そういった意味では縁があるのかな、と。
2年目の12年9月に左ひじ遊離軟骨除去手術を受け、そこから自分のボールを投げられない感覚がありました。昨年の1軍登板は3試合のみ。ただ、2軍でいろいろ考えながら投げていました。
昨年の1軍初登板は9月7日、広島戦。「ここでやらかしたら終わる」と思って、6回からマウンドに上がって3イニング無失点。だけど2、3試合目は自分の中でイマイチな内容に終わって。「もっとやらないといけない」と感じた部分の取り組みをオフに始めました。
矢野(燿大)2軍監督に紹介してもらった動作解析の先生に始まり、マウスピースを試したり……。そのなかで最後、東京ガス時代の同期・東北楽天の美馬(学)に紹介され出会った、鴻江(寿治)先生(コウノエスポーツアカデミー)が主催するトレーニング合宿に1月、参加したことが決定打になりました。
体の使い方や体重移動など、いろいろ意見交換をして。最終的には上からボールをたたいて角度をつける意識ではなく、打者に向かって、距離を詰めていくイメージがベストだ、と。できるだけ打者の近くでボールをリリースする。その後の自主トレ、キャンプで新たなフォームを自分のモノにすることに没頭して。
結果、ストレートの質も変わったと思います。打者にタイミングを取らせづらく、差し込める感覚。コントロールも良くなりましたね。
パ・リーグは交流戦で打たれていて、あまりいいイメージはなかった。ただ、そのときは自分のボールが投げられていなかったので。とにかく昨年、2軍で試行錯誤し、オフに始めた取り組みが、いま結果となって表れているのは間違いないです。