【交流戦直前通信簿】12球団の明と暗 広島が3連覇へ快走!? パは混沌

ベースボール・タイムズ

快進撃&失速の西武、日本ハムが猛追

西武の4月の開幕ダッシュに大きく貢献した多和田(左)と山川 【写真は共同】

 セ・リーグ以上に混沌としてきたのがパ・リーグだ。開幕とともに勢いよく飛び出したのは埼玉西武で、1999年の中日以来19年ぶり、球団としては91年以来27年ぶりの開幕8連勝を飾ると、その後も打線が圧倒的な破壊力を示して勝利を重ね、5月6日には貯金16を蓄えた。4番の山川穂高が3・4月に月間MVP(打率3割3分7厘、11本塁打、33打点)に輝くなど大爆発し、投手陣では、プロ3年目の多和田真三郎(7勝1敗、防御率3.15)と開幕直前にトレード加入した榎田大樹(4勝1敗、防御率2.33)が期待を上回る活躍を見せたことが大きかった。

 しかし、開幕5戦5勝だったエースの菊池雄星が5月4日の登板を最後に左肩の張りで登録抹消となり、徐々に打線が勢いを失い始めるとチームは急失速。山川が5月は打率1割9分2厘と不振に陥ったことも響き、5月8日からの3週間は4勝11敗と大きく負け越して交流戦を迎えることになった。6月1日に復帰予定の菊池が起爆剤になれるか。

 西武が足踏みを続ける間に一気に差を詰めてきたのが、北海道日本ハムだ。“二刀流”大谷翔平に加え、FAで守護神の増井浩俊、正捕手の大野奨太を放出して迎えたシーズンだったが、新外国人のマルティネス(4勝4敗、防御率2.68)が安定感を示し、故障からの完全復活を期した上沢直之は、ここまで8試合に先発して2完封を含む5勝(1敗)を挙げてリーグ断トツトップの防御率1.18と好投。

 4月22日からは今季2度目の5連勝を飾り、ドラフト1位・清宮幸太郎が1軍デビュー、7試合連続安打&プロ初本塁打を放った5月も粘り強く戦い、5月25日からの西武3連戦に3連勝して首位とのゲーム差を一気に「1」にまで縮めた。

故障者続出の王者ソフトBが苦戦

 昨季の日本一王者であり、今季も圧倒的な優勝候補に挙げられていた福岡ソフトバンクは勝率5割の3位。苦戦の大きな要因は故障者の続出だ。セットアッパーとして昨季リーグ最多の40ホールドをマークした岩嵜翔、守護神として昨季日本歴代最多の54セーブを挙げたサファテという勝利の方程式の2人が揃って手術を受けて長期離脱。和田毅、五十嵐亮太のベテランコンビも不在で、千賀滉大も今季は右腕の張りを訴えてすでに2度の抹消。さらに東浜巨も右肩の不調を訴えて5月26日に登録抹消となった。

 柳田悠岐が4月21日にサイクル安打をマークするなど絶好調で、打率3割7分4厘(リーグ1位)、12本塁打(同2位タイ)、41打点(同2位タイ)と三冠王の予感を漂わせ、さらに11盗塁も加えて2度目のトリプルスリーの期待も高めているが、チームとしては様々な不安を抱えながら現在3連覇中の交流戦に臨む。

 5月反攻を見せているのがオリックスだ。4月までは投打が噛み合わずに黒星先行の日々が続いたが、5月は13勝9敗と調子を上げて借金1まで盛り返した。特に新外国人のアルバースが5月に4戦4勝、防御率1.93と好投を続け、エースの金子千尋にもようやく白星が付いた。ロメロ、マレーロの外国人にT−岡田が復調すれば、ここからでも優勝争いに加わることは可能だ。

粘り強く戦うロッテの交流戦が楽しみ

 井口資仁新監督率いる千葉ロッテも粘り強く戦っている。投手陣では新外国人のボルシンガーが5勝1敗、防御率2.11とローテの柱と言える働きを見せ、昨季3勝に終わった石川歩も今季はすでに4勝(3敗、防御率2.88)をマーク。打線では角中勝也が戦列に復帰し、新外国人のドミンゲスがここに来て覚醒中。交流戦での戦いが楽しみになってきた。

 最下位に沈むのは東北楽天。昨季3位に終わったリベンジを誓ったが、自慢だったはずの打線が機能せず、開幕31試合目(7勝23敗1分)で早くも自力優勝が消滅した。その後は復活しているが、ここまで借金12で5位とは4.5ゲーム差。それでも岸孝之(4勝1敗、防御率1.65)、今江年晶(打率3割1分1厘、4本塁打、21打点)を中心に奮闘を続け、チームとしても底からは脱した。ウィーラー、ペゲーロにもようやく当たりが出始めており、交流戦をきっかけにしてAクラス争いに加わりたいところだ。

 29日からの交流戦では、同一リーグの対戦がないために一気にゲーム差が縮まる可能性がある。もちろんその逆も。確かなことは、まだシーズンは3分の2が残っており、ここまでの「明」と「暗」があっさりと入れ替わる可能性が十分にあるということだ。

(ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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