【交流戦直前通信簿】12球団の明と暗 広島が3連覇へ快走!? パは混沌
快進撃&失速の西武、日本ハムが猛追
西武の4月の開幕ダッシュに大きく貢献した多和田(左)と山川 【写真は共同】
しかし、開幕5戦5勝だったエースの菊池雄星が5月4日の登板を最後に左肩の張りで登録抹消となり、徐々に打線が勢いを失い始めるとチームは急失速。山川が5月は打率1割9分2厘と不振に陥ったことも響き、5月8日からの3週間は4勝11敗と大きく負け越して交流戦を迎えることになった。6月1日に復帰予定の菊池が起爆剤になれるか。
西武が足踏みを続ける間に一気に差を詰めてきたのが、北海道日本ハムだ。“二刀流”大谷翔平に加え、FAで守護神の増井浩俊、正捕手の大野奨太を放出して迎えたシーズンだったが、新外国人のマルティネス(4勝4敗、防御率2.68)が安定感を示し、故障からの完全復活を期した上沢直之は、ここまで8試合に先発して2完封を含む5勝(1敗)を挙げてリーグ断トツトップの防御率1.18と好投。
4月22日からは今季2度目の5連勝を飾り、ドラフト1位・清宮幸太郎が1軍デビュー、7試合連続安打&プロ初本塁打を放った5月も粘り強く戦い、5月25日からの西武3連戦に3連勝して首位とのゲーム差を一気に「1」にまで縮めた。
故障者続出の王者ソフトBが苦戦
柳田悠岐が4月21日にサイクル安打をマークするなど絶好調で、打率3割7分4厘(リーグ1位)、12本塁打(同2位タイ)、41打点(同2位タイ)と三冠王の予感を漂わせ、さらに11盗塁も加えて2度目のトリプルスリーの期待も高めているが、チームとしては様々な不安を抱えながら現在3連覇中の交流戦に臨む。
5月反攻を見せているのがオリックスだ。4月までは投打が噛み合わずに黒星先行の日々が続いたが、5月は13勝9敗と調子を上げて借金1まで盛り返した。特に新外国人のアルバースが5月に4戦4勝、防御率1.93と好投を続け、エースの金子千尋にもようやく白星が付いた。ロメロ、マレーロの外国人にT−岡田が復調すれば、ここからでも優勝争いに加わることは可能だ。
粘り強く戦うロッテの交流戦が楽しみ
最下位に沈むのは東北楽天。昨季3位に終わったリベンジを誓ったが、自慢だったはずの打線が機能せず、開幕31試合目(7勝23敗1分)で早くも自力優勝が消滅した。その後は復活しているが、ここまで借金12で5位とは4.5ゲーム差。それでも岸孝之(4勝1敗、防御率1.65)、今江年晶(打率3割1分1厘、4本塁打、21打点)を中心に奮闘を続け、チームとしても底からは脱した。ウィーラー、ペゲーロにもようやく当たりが出始めており、交流戦をきっかけにしてAクラス争いに加わりたいところだ。
29日からの交流戦では、同一リーグの対戦がないために一気にゲーム差が縮まる可能性がある。もちろんその逆も。確かなことは、まだシーズンは3分の2が残っており、ここまでの「明」と「暗」があっさりと入れ替わる可能性が十分にあるということだ。
(ベースボール・タイムズ)