タイムフライヤーの比翼塚ダービー 「競馬巴投げ!第169回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

目黒競馬場の第四コーナーのすぐ脇に

[写真3]テーオーエナジー 【写真:乗峯栄一】

 フサイチホウオーがウオッカに負けてショックだったダービーのあと、へなへなの足取りでこの権八・小紫の比翼塚を見に行った。バカでかい目黒不動尊はすぐに分かったが、肝心の塚の位置が分からない。そのへんのコンビニに入って場所を聞いても「ヒヨコ? ヒヨコもづく?」などと言われる。「いやモズクじゃないんだけど」などとムニャムニャ言って出て「しょうがないなあ」と歩いていると、あった。ほんとにひっそりとした塚だ。コンビニから50メートルほどしか離れていないのに、店員が知らないのも無理ないかもしれない。

 しかし帰ってきて、ネット検索で目黒の古地図というのを見て驚いた。

 第1回・第2回ダービーが行われた目黒競馬場はすぐそばだ。その右回り目黒競馬場の第四コーナーは権八・小紫比翼塚のすぐ脇になる。

「やってるよ、競馬」
「ほんと。へえ、ダービーだって?」
「こいつら、斬ってやろうか」
「おやめなさいよ、権八さん、辻斬りは。さあ刀は仕舞って。あんなに楽しそうに走ってるんだもの」

 そんな会話を地下からやっていたに違いない。

時間超越者が権八・小紫を動かすダービーに

[写真4]アドマイヤアルバ 【写真:乗峯栄一】

 タイムフライヤー(時間超越者)は考える。

 目黒からダービーが離れて85年、しかも今年は第85回ダービー。

「一暴れしてやろうじゃないか、小紫」
「そうだね、権八さん。わたしもこんな暗い狭い所で、実はウズウズしてたんだよ」

 そういう会話が地中で行われている可能性は高い。

 時間超越者が権八・小紫を動かすダービーになる。

2/3ページ

著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント