武豊リスグラシューに矢作師は「運次第」 波乱度日本一GI ヴィクトリアM座談会
競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会
悲願達成か それとも連覇達成か
男馬相手に快勝した条件で悲願達成を目指すリスグラシュー(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
田崎「リスグラシューは、勝ち切れない競馬が続いた3歳時よりも馬体が増えて、ようやく本格化したと言えますし、重賞2勝の東京マイルなら悲願達成の可能性もかなり高いはずですね」
加茂「GIを勝ってないとはいえ、2着は3回もあるんやから、力で何ら見劣らんはず。勝つなら、ベストの舞台のここやろ」
須藤「3歳時にあった勝ち味の遅さを、2走前の東京新聞杯で払拭できたのも大きいですよね。勝負どころでの反応も素早くなって、精神面での成長が感じられますよ」
坂倉「そのあたりは、ハーツクライ産駒らしい成長力の表れでしょうね。今回は、これまで負けてきた相手も多数出走してきますが、今なら頂点に立てるはずです」
佐藤直「これは、相手の本線としたアエロリットにも言えることなんだけど、このレースにおいては牡馬との対戦でもキッチリ結果を出していることが重要なんだ。GIIIとはいえ、リスグラシューは東京新聞杯の完勝ぶりを素直に評価すべきだよ」
デスク「とはいえ、リスグラシューの前走、阪神牝馬Sは、3歳時に繰り返してきたパターンの負け方にも映ったが」
武井「差し届かずの3着、という点では、そう思えるかもしれませんが、前半3ハロンが37秒2、1000m通過が61秒0という、マイル重賞としてはありえないほどの緩い流れだったことを考えれば、仕方のない結果です。元々が叩き良化型だけに、ステップレースとしては十分な内容だったとすら言えますね」
桜井「むしろ、あれだけの遅い流れをタイム差なしの3着まで追い上げたこと自体、負けて強しの競馬でしょう。ある程度の流れになりそうな今回のメンバーなら、差し切れるはずです」
細川「前走については、本番を見据えて気持ち余裕残しの仕上げだったこともあり、陣営も全く悲観してませんでしたよ。これまでの実績を考えても、喉から手が出るほど欲しいGIタイトルですが、“運次第だよ”という矢作師の言葉は、裏を返せば、運以外の面では何の不安もないとも取れますし、何とかしたいという陣営の思いを強く感じましたね」
デスク「その悲願達成の前に大きく立ちはだかるのが、昨年の覇者アドマイヤリードだな」
伊利「前走は4角以降に不利があったことを示すマークが付いていますが、直線を向いて内回りとの合流地点を過ぎたあたりで外に張られ、さらにはゴール前でも挟まれる二重の不利。それでいて僅差の4着なら、連覇へ向けて存在感を示す走りだったと思います。今週は月曜から木曜まで雨が続き、当日も雨予報が出てますが、昨年も稍重発表の馬場だったことを考えれば、恵みの雨となるはずです」
小野智「私は何も難しく考える必要はないと思ってます。ヴィルシーナ、ストレイトガールと連覇が続いて、昨年がアドマイヤリードだったんですから、今年もアドマイヤリードでしょう。鞍上にとっても、まともに追えなかった前走は悔しかったでしょうし、巻き返しへの思いも人一倍強いと思いますよね」
那谷「そのミルコとは、一週前の追い切り後に話した時点で◎に決めたんだけど、目の外傷明けで良化途上だった東京新聞杯は度外視できるとして、前走は“かなりいい状態”と言っていたんだ。“3回も接触したし、スムーズなら勝っていたと思う”と話した表情からは、ここで倍返しするとの思いを感じたよ」
守屋「前走は初騎乗だったこともあったと思いますし、癖を掴んで2度目の騎乗なら、同じ轍を踏むジョッキーではありませんからね。今回は輸送を考慮してか最終追いは終い重点でしたが、前走後10日余りで時計を出していますし、中4週なのでこれで十分でしょう。パドックでも、ここ2走は昨年の当レース時より落ち着きも出てきているので、もう東京への輸送でも大きく体を減らすことはないはずですよ」