【新日本プロレス】オメガ勝利もユニットの内部分裂継続 オカダは棚橋との最後の前哨戦に快勝

高木裕美

オカダvs.棚橋、オスプレイvs.KUSHIDAがW前哨戦

オカダ(右)と棚橋(左)は最後の前哨戦の後、リング上でにらみ合い 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第7試合は、明日4日のダブル前哨戦として、オカダ・カズチカ&ウィル・オスプレイ組vs.棚橋弘至&KUSHIDA組のスペシャルタッグマッチが実現。IWGPヘビー級王座を争うオカダと棚橋、IWGPジュニアヘビー級王座を争うオスプレイとKUSHIDAが火花を散らした。

 共に、並々ならぬ因縁と想いが詰まった明日の一戦。オカダは6年前の12年2月、当時の新記録となる11連続防衛中だった棚橋にストップをかけ、IWGP王座を初戴冠。だが、すぐさまエース交代とはならず、6月に棚橋にベルトを奪い返されると、その後も人気・実績の差に悩まされ、15年1.4東京ドーム大会では、メインで敗れたオカダが涙を流して退場。しかし、その1年後の16年1.4東京ドーム大会では、オカダがリベンジ。この一戦を機に不動のエースへと成長したオカダに対し、棚橋はこれを最後にIWGPから遠ざかっている。

 一方、オスプレイは16年4.10両国国技館大会で、新日本マット初登場にして、いきなりKUSHIDAのIWGPジュニア王座に挑戦するも敗北。同年の「BEST OF THE SUPER Jr.」では、初出場初優勝の実績を作るも、やはりKUSHIDAの壁を越えられず、昨年の10.9両国で、3度目の挑戦にしてようやくKUSHIDAからベルトを奪取している。

 棚橋がオカダにサンセットフリップを繰り出せば、オカダもフラップジャックでお返し。棚橋は場外やロープを使ってのドラゴンスクリューでオカダの機動力を奪う。KUSHIDAがオスプレイに腕ひしぎ逆十字固め、マサヒロタナカ、オーバーヘッドキックを放つと、オスプレイはスパニッシュフライ一発で流れを変え、オカダがリバースネックブリーカー、ダイビングエルボードロップ。KUSHIDAはオカダに対し、スワンダイブ式ウルトラウラカンラナを決めるが、オカダが即座にツームストンパイルドライバーで反撃し、棚橋をドロップキックで分断してから、KUSHIDAをレインメーカーで粉砕。最後の前哨戦を白星で飾った。

 試合後、オカダと棚橋はリング上で睨みあいながら、互いに観客の声援をあおると、オカダはコーナーに上がってベルトを誇示。一方、棚橋も花道の奥で腰にベルトを巻くポーズをして、王座奪取を訴えた。また、敗れたKUSHIDAは試合後も場外で倒れたまましばらく動けず。明日の決戦へ不安を残した。

ヤングバックスがEVIL&SANADAの王座に挑戦表明

ヤングバックス(右)がEVILとSANADAが持つIWGPタッグ王座に挑戦表明 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)の内藤哲也&EVIL&SANADA&BUSHI&高橋ヒロム組vs.鈴木軍の鈴木みのる&ザック・セイバーJr.&タイチ&金丸義信&エル・デスペラード組による10人タッグマッチでは、LIJが勝利。試合後、BULLET CLUBのヤングバックスことマット・ジャクソン&ニック・ジャクソン組が、EVIL&SANADAの保持するIWGPタッグ王座へ挑戦表明した。

 LIJと鈴木軍は4.29グランメッセ熊本で全面対抗戦を行うも、LIJが4戦全勝。メインでは内藤がみのるを破り、IWGPインターコンチネンタル王座を奪ったが、みのるは「オレと内藤はこれから始まったばっかりだ」と抗争継続を予告していた。一方、内藤は熊本大会の翌日の4.30鹿児島大会で、ICベルトを持たずに入場すると、「ベルトがなくても、みんなオレとやりたがるんだよ。オレは話題を振りまけるんだよ。というわけで、これからオレもう、ベルト持って来ないから。必要ないでしょ」と宣言。この日もベルトを持たずに入場したが、観客の声援は変わらず、支持率の高さを示した。

 鈴木軍はゴングを待たずに奇襲。だが、内藤がみのるを鉄柵に振ると、みのるもストンピング、鉄柵攻撃からフェンス、イスで殴打し倍返し。リングに戻った内藤を鈴木軍総出で踏みつけ、みのる&ザックが両腕にサブミッション技。金丸がストンピングからのヒザ攻めで続き、タイチもTシャツを脱がしてチョーク攻撃。ザックが変形のヒザ固めを仕掛ければ、みのるも加わり、2人がかりで関節地獄に追い込む。内藤はみのるの顔面にツバを吐きかけると、スイングDDTで反撃。鈴木軍包囲網から辛くも逃げ出した。ようやくタッチを受けたSANADAが一気呵成に反撃に出ると、10分過ぎまで体力を温存していたEVILが、EVIL一発で金丸に完勝。現IWGPタッグ王者コンビが勝利を引き寄せた。

 試合後、ヤングバックスがリングに上がり、マットが「ヤングバックスが世界一のタッグチームだ。EVIL&SANADA、ヘビー級のIWGPタッグに挑戦させろ」と訴えると、EVILとSANADAは互いのベルトを合わせて呼応。すると、ヤングバックスが2人同時にスーパーキック。実力行使で挑戦状をたたき付けた。不意打ちでダウンを喫したEVILも「ウェルカム・トゥ・ダークネスワールド」と呼びかけると、手にしたベルトに「おまえもヤングバックスの血が飲みたいだろ」と話しかけ、「やってやるさ」とその場で挑戦を受諾した。

バレット同門対決はヤングバックス組に軍配

バレットクラブ同門対決となったNEVER6人タッグはヤングバックスらが新王者に 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 BULLET CLUB同門対決となったNEVER無差別級6人タッグ選手権試合では、マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン&マーティー・スカル組が、バッドラック・ファレ&タマ・トンガ&タンガ・ロア組を破り新王者組となった。

 内部分裂と不協和音が続くBULLET CLUB。ファレとトンガは5年前の創設時から在籍するオリジナルメンバーであり、トンガとタンガは兄弟。一方、やはり兄弟タッグであるヤングバックスも結成初期からBULLET CLUBに加入。スカルは新参者ではあるが、トレードマークの傘でBULLET CLUBの一員であるという広告効果は絶大。バリバリのCody派であるスカルに対し、かつては“THE ELITE”としてオメガとトリオを結成し、同王座の第4代&6代王者にも輝いているヤングバックスの2人は、いまだ迷いを捨てきれないでいる。

 BULLET CLUB対決は、ゲリラズ・オブ・ディスティニー(GOD)vs.ヤングバックスによる兄弟対決に。開始早々、GODがニックに合体エルボーを繰り出せば、ヤングバックスもファレに合体キック。さらにヤングバックスがタンガにプランチャ、GODに2人まとめてフェースクラッシャー、ダブルのシャープシューター。これはファレがカット。スカルはファレのグラネードを阻止し、得意の指折りで悶絶させる。GODもニックに対し合体のトンガンツイストからファレのボディープレスへと繋ぐが、カウントは2。ヤングバックス&スカルがタンガに3人同時の合体スーパーキックを見舞い、必殺のモア・バング・フォー・ユア・バックで勝利。ベルトの移動が激しい同王座において、最多タイ記録となるV3を達成していた王者組であったが、同門に足元をすくわれる結果となった。

 試合後は互いにもめることなく、ノーサイドとなって退場。とはいえ、両軍の間には埋められない溝が存在することは明確で、まだまだ今後のBULLET CLUBの行方については一致団結とはいかない状況が続きそうだ。

2/2ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント