【新日本プロレス】オメガ勝利もユニットの内部分裂継続 オカダは棚橋との最後の前哨戦に快勝

高木裕美

内部分裂のまま5周年を迎えたバレットクラブ

史上初の2日間開催となった「レスリングどんたく」。初日のメインはオメガが勝利で飾った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 史上初の2DAYSでの開催となった新日本プロレス「レスリングどんたく2018」(福岡・福岡国際センター)の初日となる3日は、4066人を動員。この日は、結成から丸5周年を迎えたBULLET CLUB中心のカード編成となった。

 BULLET CLUBは13年5.3福岡で誕生。当時はプリンス・デヴィット(現WWEのフィン・ベイラー)を中心に、バッドラック・ファレ、タマ・トンガ、カール・アンダーソンというメンバーであった。その後、新メンバーも加入するが、翌14年4月にデヴィットが離脱し、AJスタイルズが2代目リーダーに就任。現在の3代目リーダーを務めるケニー・オメガは、14年11月に加入。16年1.5後楽園で他メンバーと共にAJを追放し、新リーダーの座を奪い取った。オメガは同年夏の「G1 CLIMAX」で史上初の外国人王者となると、翌年の1.4東京ドーム大会ではIWGPヘビー級王座に挑戦。今年の1.4東京ドームでも、WWEスーパースターのクリス・ジェリコに勝利するなど、名実共に世界的トップレスラーとなる。しかし、これを面白く思わないレスラーたちが、ついに牙をむき始めた。

 翌日の1.5後楽園ホールで、BULLET CLUBメンバーであるCodyが、オメガのかつてのパートナーであった飯伏幸太にパイプイスで殴りかかろうとしたところ、オメガが阻止。また、オメガは新メンバーとしてジェイ・ホワイトを勧誘するが、ジェイが拒否し、逆にオメガの持つIWGP US王座への挑戦を表明。1.28札幌で実現したタイトルマッチでは、ジェイに敗れて王座から転落。その直後、ハングマン・ペイジがジェイからベルトを奪って挑戦表明するが、オメガがそれを奪い返してジェイに手わたしたことで、BULLET CLUB内部での溝が決定的となった。

 Cody派がオメガに敵意をムキ出しにする一方で、オメガは飯伏との名タッグ、ゴールデン☆ラヴァーズを約3年4カ月ぶりに復活。オメガ派とCody派による内部分裂状態が続いたまま、5周年の記念日を迎えることになってしまった。なお、わずか半年間だけ所属し、17年1月を最後に姿を消した覆面レスラーBONE SOLDIERについては、この日もスクリーンにて「BONE SOLDIER WILL RETURN」と復帰を示唆するVTRが流されたが、姿を現すことはなかった。

飯伏はCodyの新技で敗れる

Codyは新技のDIN’S FIREで飯伏を粉砕 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 この日のメインイベントではケニー・オメガvs.ハングマン・ペイジ、また、セミファイナルでも、飯伏幸太vs.Codyという、因縁のシングル2番勝負が組まれた。

 飯伏とCodyは1.4東京ドームで対戦し、飯伏がカミゴェからのフェニックススプラッシュで勝利。4.1両国ではこの4人がタッグマッチで激突し、Codyが飯伏を丸め込んで3カウントを奪っている。そして、4.7ROHニューオリンズ大会では、ケニーvs.Cody、飯伏vs.ペイジが組まれ、飯伏はペイジにカミゴェで勝利。だが、オメガは、ヤングバックスがCodyに狙ったと思われる合体キックが、オメガに“誤爆”し、Codyのクロスローズに敗れている。

 セミの飯伏vs.Codyでは、Codyが飯伏を「騙し討ち」。ダメージを負ったと見せかけ、不意打ちの打撃からエプロンでの断崖式フェースバスター、三角飛び、指へのかみ付き攻撃、足4の字固めを繰り出すと、飯伏もドロップキック、ウラカンラナ、バミューダトライアングル。さらに、Codyがリング上に設置したテーブルめがけてダイビングフットスタンプ2連発を食らわせ、Codyの背中をカチ割ると、シットダウン式ラストライドでトドメを狙うが、カウントは2。Codyはカミゴェを徹底的に阻止すると、飯伏の鉄柵超えのスワンダイブ式プランチャを食らいながらも、カウンターのクロスローズからのDIN’S FIRE(リバースゴリースペシャルボム)で振り切った。

オメガは日本語と英語でファンに感謝

オメガは激闘の決着を片翼の天使でつけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 続くメインでは、オメガがBULLET CLUB5周年を祝う特製のハッピ姿で登場するも、Codyの乱入でお祭りムードは瞬時に消滅。オメガはテーブルごとCodyを蹴り落とすと、ハッピを脱ぎ捨て、ペイジにプランチャ、Codyにノータッチトペ。しかし、ペイジも場外へのムーンサルトアタックを繰り出すと、さらにテーブル上へのライト・オブ・パッセージ、イス上へのDDT。オメガは脳天から激しく出血する。それでも、エプロンへのバックドロップ、場外マット上へのKAMIKAZEで反撃に出ると、リングに戻してパワーボム。ペイジも脳天にかみ付き、ブロックバスターホールドで傷口にダメージを与え、なおも変形ツームストン、雪崩式ネックブリーカードロップ。だが、オメガはアダムスアップルをカウンターのヒザ蹴りで迎撃し、リバースタイガードライバー、Vトリガーからの片翼の天使でフィニッシュ。シングル初対決を勝利で飾った。

 メインを締めたオメガは、日本語と英語を交えたマイクアピールで、ファンに感謝を伝え、「グッバイ・アンド・グッドナイト」と投げキッス。依然、BULLET CLUBの内紛問題は解決しなかったものの、会場のファンに笑顔を取り戻させた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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