ソフトB内川の安打製造機ぶりを検証 40歳シーズンで歴代トップ3に迫る!?

ベースボール・タイムズ

現代野球で最も三振せずにヒットを量産

【ベースボール・タイムズ】

 内川の打者としての高い能力を表す指数は数多くあるが、その一つに“三振しない”という点が挙げられる。

 探求を重ねてきた独自の打撃理論とともに、バットコントロールには絶対の自信を持ち、昨季までのプロ17年間でシーズン三振数が60個を超えたことは06年の1度(64三振)のみ。10年(51三振、53四死球)12年(36三振、37四死球)、13年(47三振、58四死球)、17年(26三振、32四死球)など、三振数よりも四死球数の方が多かったシーズンも4度ある。

 三振数の少なさは過去の打撃名人たちと比べても特筆すべきもので、三振率1割0分5厘は00年以降の2000安打達成者では最少の数字(24人が達成、「三振数÷打数」で算出)。川上哲治が同0割5分6厘、長嶋が0割9分と優れた数字を残しているが、投手の平均球速が上がり、さまざまな変化球も生まれた後の現代野球において、内川が“最も三振せずに安打を稼いだ男”だと言える。

40歳までレギュラーで活躍すると…?

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「2000本を打ったことを自分の自信にして、チームメイトをはじめ、監督、コーチ、ファンの皆さんも、僕個人的に今の数字では物足りない部分がある。今までの分を取り返せるように、これからも頑張りたいと思います」と内川。その言葉通り、今後はどこまで安打数を積み上げられるか。昨季はケガに苦しみ、今季は開幕から打率2割付近をさまよっているが、重圧から解き放たれると同時に本来の姿を取り戻してもらいたいところだ。

 年齢的にはまだまだ打てるはずで、35歳9カ月での2000安打達成は、榎本喜八(31歳7カ月)、張本勲(32歳2カ月)、土井正博(33歳6カ月)、立浪和義(33歳10カ月)、王貞治(34歳2カ月)、長嶋、野村(ともに35歳3カ月)、山内一弘(35歳5カ月)、藤田平(35歳6カ月)、石井琢朗(35歳8カ月)に次ぐ歴代11番目の若さ。今季を含めて例年並みのペース(シーズン150安打以上)でヒットを放ち続けることができれば、40歳となるシーズンまでに「150本×5年間」で750本を積み重ねることができる。そうなれば、張本勲(3085安打)、野村克也(2901安打)、王貞治(2786安打)の歴代トップ3の近くまで迫ることができるのだ。

 これからの5年。肉体的な衰えは間違いなくあるだろう。ケガも含めたコンディション管理も非常に難しい。だが、それらの心配事を超越する技術と探求心、継続性が内川にはある。今がまだ通過点であり、これから先がまだまだ長いことを、多くのプロ野球ファンが望んでいる。

(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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