【全日本プロレス】Aブロックは三冠王者・宮原が突破 CC優勝決定戦でノア丸藤と激突へ

高木裕美

宮原が最終戦に勝利し、Aブロック代表としてCC優勝決定戦へ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 全日本プロレスの春の祭典「2018 チャンピオン・カーニバル」(CC)終盤戦となる29日夜の東京・後楽園ホール大会では、Aブロック最終公式戦4試合などが行われ、超満員となる1605人の観客が大興奮に包まれた。

 この日の結果により、翌30日の後楽園大会のメインイベントで行われる優勝決定戦の組み合わせは、現三冠ヘビー級王者・宮原健斗vs.“方舟の天才”丸藤正道(プロレスリング・ノア)に決定。かつてはタッグパートナーでもあった縁浅からぬ2人が、春の祭典の大舞台で雌雄を決することになった。

宮原と丸藤はノアでタッグを結成していた

全日本で大きく成長した宮原。優勝決定戦では元パートナーの丸藤と激突する 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 丸藤は98年に全日本でデビューするも、00年に離脱し、ノアに旗揚げ戦から参加。ノアではGHC4大タイトルをすべて獲得したほか、全日本の世界ジュニアヘビー級王座、新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー級王座も戴冠。史上初かつ現在でも唯一の3大メジャー団体のジュニア王座制覇を成し遂げた。

 対する宮原は07年に健介オフィスに入門し、08年にデビュー。その後は全日本、ノアへ参戦していたが、13年にフリーに転向し、全日本を主戦場としていくことを決意。14年からは全日本所属となり、16年2月には平成生まれとして初の三冠ヘビー級王者となった。

 丸藤と宮原はかつて、08年のノア「日テレ杯争奪ジュニアヘビー級タッグリーグ戦」でタッグを結成。だが、まだキャリア1年目の宮原が足を引っ張り、得点はわずか2点と参加8チーム中最下位の結果に。丸藤は毎試合ごとに宮原を叱咤激励しながら、プロレスラーとしての成長を促した。

 それから10年。宮原はいまや三冠ヘビー級王者として全日本の中心的エースとなり、丸藤は排除すべき外敵として、その目の前に立ちはだかることになった。

 丸藤は他団体のシングルリーグ戦参加時における、チャンピオンへの勝率が非常に良い。新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX」には過去に2度参戦しているが、2012年は8.5大阪で当時のIWGPヘビー級王者・棚橋弘至に21分29秒、タイガーフロウジョンで勝利。16年は7.18札幌でやはりIWGP王者オカダ・カズチカに19分7秒、ポールシフト式エメラルドフロウジョンで圧勝した上、同年のプロレス大賞ベストバウトまで獲得している。

 もし、今年、丸藤が優勝となれば、初出場初優勝。さらに、16年の関本大介、17年の石川修司に続き、3年連続外敵が制覇することになる。

 一方、宮原が優勝すれば、ジャンボ鶴田さん(91年)、スタン・ハンセン(92年)、三沢光晴さん(98年)、ベイダー(99年)、小橋健太(00年)、天龍源一郎(01年)に続き、17年ぶり7人目の三冠ヘビー級王者としてのCC優勝達成となる。

火野も意地を見せるが宮原が勝利

最後はブラックアウトからのシャットダウンスープレックスで勝利した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 この日はAブロックの最終公式戦4試合が行われ、メインイベントでは宮原健斗が火野裕士を下し、初の決勝進出の切符を手に入れた。

 試合前から「健斗」コールが起こる中、火野はふてぶてしい態度で観客を挑発すると、宮原の顔面をこすり上げ、フェースロックで締め上げてからセントーン。さらにベアハッグから後方に投げ捨てる荒技を炸裂し、先にリング上で寝そべって待ち構える。宮原もファッ○ンボムを切り返し、ブラックアウト連発でたたみかけると、ジャーマンスープレックスを決めるが、カウント2。火野は後ろ手で宮原のチョップ、キックをすべて受け止めた上で、ラリアット1発でなぎ倒し、なおも逆水平チョップ。宮原もエルボーで打ち返し、打撃戦となるが、火野がラリアットで振り切って、破壊力抜群のフロッグスプラッシュ。しかし、宮原はこれをはね返すと、再度ファッ○ンボムをかわし、ブラックアウトからのシャットダウンスープレックスで勝負を制した。

 試合後、火野は手をたたいて宮原を称えると、握手を求めるように右手を差し出す。これに宮原も応じるかと思いきや、互いに中指を立てて向き合った。

 観客の大「健斗」コールに応え、リングに戻った宮原は「決勝への切符、勝ち取ったぞ! 三冠王者がチャンピオン・カーニバルを制したのはおよそ17年前。ただ、そんな当たり前はオレには通用しない。なぜなら、オレはプロレス界でもっとも最高のチャンピオンだからだ」と優勝宣言してみせると、観客に優勝予想を問いかけた上で、「満場一致で宮原健斗だ、このヤロー!」と断言。最後は「全日本プロレス、最高ですか?」と呼びかけ、「後楽園ホール、最高!」の絶叫とサムズアップで大会を締めくくった。

 約1カ月にわたって全国各地で繰り広げられた激闘も、いよいよ30日の優勝決定戦がラスト。今年デビュー20周年を迎える丸藤が、“生まれ故郷”で大きな栄冠をつかむか。それとも、三冠ヘビー級王者・宮原が三冠に続き、CCでも平成生まれ初の優勝者として名を刻むのか。宮原はブラックアウト、丸藤は虎王という、共にヒザ蹴りの使い手であるが、2人とも、この技を身につけたのは袂を分かってから。春の祭典のフィナーレにふさわしい、好勝負が期待できそうだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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