水谷と張本、並び立った2つの才能 「打倒中国」は世界卓球で果たされるか

月刊『卓球王国』

水谷の成長とともに浮上した日本男子

29日に開幕する世界卓球。水谷(右)と張本という2人の天才が初めて同じチームで戦う 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 4月29日よりスウェーデンで開幕する2018世界卓球選手権(団体戦)ハルムスタッド大会。前回の団体戦が行われた2016年大会では、39年ぶりの準優勝に輝いた日本男子。今大会は1969年以来の世界一を目指す。悲願の優勝に向けてチームのカギを握るのは、リオ五輪シングルス銅メダリストの水谷隼(木下グループ)、そして初の世界選手権団体戦出場となる中学3年生・張本智和(JOCエリートアカデミー)の2人の天才だ。

 日本男子は08年大会から、前回まで5大会連続でメダルを獲得中。そのすべての大会に出場し、日本の中心選手としてメダル獲得に貢献してきたのが水谷。世界選手権ダブルスでも2度の銅メダル、五輪には3度出場し、リオ五輪では団体で銀、シングルスで銅と2つのメダルを獲得と実績を残してきた。そんな水谷でも、世界戦団体デビューは決して輝かしいものではなかった。

06年ドイツ・ブンデスリーガでプレーする水谷。前年の世界卓球でインパクトを残したが、この年の団体戦では全敗に終わった 【写真:アフロ】

 団体戦初出場となった06年ドイツ・ブレーメン大会、水谷は当時高校2年生の16歳。日本からドイツに渡って練習を重ね、力をつけていった時期だった。世界選手権初出場となった前年の個人戦では当時世界ランキング8位の荘智淵(チャイニーズタイペイ)を破るセンセーショナルなデビューを飾っており、この大会でも活躍が期待されたが、結果は個人成績0勝3敗。チームも決勝トーナメント進出を逃し、日本史上ワーストの14位に甘んじた。

 この時、水谷はドイツでの生活で食生活に苦しみ、大会前には足を疲労骨折。自身は全敗に終わったこの大会について「ケガは関係無しに、単に自分が弱かっただけ」と語り、大会時には「チームのためにいろいろ考えるし、団体戦は難しい」とコメントを残している。

 しかし、その2年後の08年大会で水谷は入賞のかかった準々決勝で勝利を上げるなど、主力として活躍。先にも述べたように日本はこの大会以降、表彰台を逃していない。3位に入賞した2000年大会以降、04年大会は全敗で12位(この年は試合方式が通常と異なったため12位が最下位)、06年大会ではワースト記録更新と、低迷が続いた日本男子を再び世界のトップに押し上げ、遂には初の五輪でのメダル獲得を果たすなど、水谷の成長が日本男子の浮上を支えてきたと言っても過言ではない。

12年後に現れた新たな才能

1月の全日本選手権決勝を終えて握手をかわす2人。水谷の連覇は途絶えたが、それは待ち望んでいたライバルの台頭も意味した 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 そして水谷が個人戦で圧巻の世界戦デビューを飾った12年後、今度はその水谷を下し、張本智和が世界に衝撃を与える。

 昨年の17年世界選手権個人戦が公式戦での初対戦となった水谷と張本。五輪メダリストの水谷と、世界戦初出場の中学2年・張本、大方の予想は水谷の勝利だった。しかし戦前の予想を覆し、序盤から張本が水谷を圧倒し、ゲームカウント4−1で大金星。世界の卓球ファンに「ハリモト」の名を知らしめる結果となった。

 この大会で張本は史上最年少でシングルスベスト8に進出。さらに今年1月の全日本選手権でも決勝で再び水谷を下し(4−2)、水谷の持つ男子最年少優勝記録を更新。世界ランキングもグイグイと上昇して最高11位(18年1月)につけるなど、中学3年生ながらすでに世界トップの一人。4月上旬のアジアカップでは世界ランキング1位の樊振東(中国)に勝利するまで力をつけている。

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