「背中で語る」浅村と「モノを言う」秋山 強力・西武打線を引っ張る二人のリーダー

中島大輔

西武打線をけん引する浅村(写真左)と秋山。互いに開幕から好成績を残し、強力な両輪となっている 【写真は共同】

 27年ぶりの開幕8連勝を飾り、球団新記録の本拠地開幕9連勝を継続中。エースの菊池雄星が球団11年ぶりとなる開幕投手4戦4勝を記録し、18日の北海道日本ハム戦からは球団初となる4試合連続9得点以上を挙げるなど、埼玉西武が景気のいい数字を並べている。4月24日時点で15勝4敗、2位・福岡ソフトバンクに4.5ゲーム差をつけて、10年ぶりの優勝に向けて絶好のスタートを切った。

 菊池と同じく多和田真三郎も4戦4勝と勝ち星に恵まれている一方、チーム防御率はリーグ4位の4.02。ここまでの快進撃は12球団トップの得点数118が示すとおり、強力打線によるところが大きい。

「バッティングは水物なので、調子に乗らずに頑張ります」

 4月22日に行われた千葉ロッテ戦の後のヒーローインタビューで浅村栄斗がそう語ったように、打撃は調子や相手投手の出来に左右されがちだが、まだ19試合終了時点とはいえ12球団トップのチーム打率2割8分9厘、リーグ2位のロッテ(84点)を30得点以上引き離すほどの圧倒的攻撃力の秘訣(ひけつ)はどこにあるのだろうか。

1番〜6番まで全員が打率3割以上

浅村(写真右)は3割バッターに囲まれる現状に『打たないといけない』とより強く思うという。これも打線がつながる相乗効果の一つだ 【写真は共同】

「3割バッターに囲まれながらやっていたので、自分自身はちょっとやりづらいというか、『打たないといけない』とより強く思っていました」

 22日の試合後、浅村は相乗効果を口にした。この日のラインアップでは1番・秋山翔吾から6番・外崎修汰まで6人全員が打率3割以上。個人能力が高いのはもちろん、明確な役割分担が打線の破壊力を高めている。

 12球団トップの7本塁打を記録する山川穂高は、好調の秘訣をこう話した。

「前後にいいバッターがいて、つなぎの意識を最初から持っていたら僕は受け身になるので、まずは攻めていく。一番いい結果を求めて、ホームランを打てる球をまず持って、それが来なかったときの選択肢を何個か持って打席に入っています」

 山川同様、初球からフルスイングを繰り返していく5番・森友哉はリーグ2位の打率3割7分5厘。6番・外崎は強いスイングを心がけつつ、「凡打でも犠牲にならないといけないときもあるし、1本必要なところは食らいつく。時と場合によって、気持ちも考え方も変えてやっています」。若手がのびのびと自分の持ち味を発揮し、チームに勢いをつけている。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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