【ドラディション】バックランド来日で“聖地”熱狂 藤波、長州とレジェンドタッグ結成

高木裕美

藤波とバックランドは16年半ぶりリングで再会

聖地・後楽園に訪れたバックランド(中央)とタッグを組んだ長州と藤波 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 20日のドラディション「DRADITION 2018 BACK TO THE NEW YORK TOUR」東京・後楽園ホール大会では、メインイベントで“ニューヨークの帝王”ボブ・バックランドが藤波辰爾&長州力とトリオを結成し、TAJIRI&新崎人生&KAZMA SAKAMOTO組と対戦。40年前、共にニューヨークで頂点を極めた藤波とバックランドが聖地で肩を並べる光景に、往年のファンが熱狂した。

 バックランドは米国ミネソタ州出身の67歳。1973年にNWAでデビューし、76年よりWWWF(現WWE)に参戦。78年2月20日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)でビリー・グラハムを破りWWWF世界ヘビー級王座を獲得した。タイトルの名称がWWF世界ヘビー級王座に変更されてからも、83年12月にアイアン・シークに敗れるまで5年10カ月間にわたり王座を保持し続け、“ニューヨークの帝王”の異名をとった。

 74年に全日本プロレスに初来日して以来、日本のリングにもたびたび上がっており、新日本プロレスには78年に初参戦。藤波とは82年の1.1後楽園ホール大会でWWFヘビー級王座を賭けて対戦したほか、84年8.31神奈川・南足柄体育館大会では、藤波が長時間にわたりキーロックを決め続けた結果、当時、金曜夜8時からのゴールデンタイムで放送されていたプロレス中継の放送時間内に決着がつかず。実況を担当した古舘伊知郎アナウンサーが、このキーロックを「長すぎたショートアームシザーズ」と表現した。

 その後も第2次UWF、UWFインターナショナル、WAR、バトラーツなどで来日。01年には新日本に16年ぶりに参戦し、10.8東京ドーム大会で藤波とタッグを組んでザ・ファンクス(テリー・ファンク&ドリー・ファンクJr.)と対戦しており、今回はそれ以来の来日となる。

 藤波もバックランドと同年の78年1月23日に、同じMSGで、カルロス・ホセ・エストラーダを破り、WWWFジュニアヘビー級王座を獲得。階級は違えど、40年前にニューヨークで時代を築き上げた両者が、16年半ぶりに同じリングに立ち、やはりニューヨークとゆかりのある3選手と対戦することになった。

亡くなったブルーノ・サンマルチノさんを偲ぶ

バックランドが試合に決着をつけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 藤波は15年にWWE殿堂入りを果たした際、2年先(13年)に殿堂入りを果たしていたバックランドと「機会があったらもう1回やろう」と約束。今回のシリーズは2大会あるため、東京ではパートナーとして、翌21日の大阪・大阪南港ATCホール大会では対戦相手(藤波&長州&船木誠勝組vs.バックランド&藤原喜明&ヒロ斉藤組)として、肌を合わせる。

 選手が1人ずつ入場する中、最後にバックランドが登場すると、場内は大歓声。バックランドはヒザ歩きでコンディションを確認すると、人生との力比べでは互角の勝負を展開し、さらに、3人の足元を次々とすくって倒していく。藤波はTAJIRI&人生の合体股裂き攻撃や、人生の拝みわたりに苦しめられるも、KAZMAのドラゴンリングインに対してはすかさずドラゴンスクリューで反撃。TAJIRIのグリーンミストがKAZMAに誤爆すると、すかさず長州がリキラリアットを発射。バックランドがKAZMAにアトミックドロップからチキンウィングフェースロックで捕獲すると、藤波が人生にドラゴンスリーパー、長州もTAJIRIにサソリ固めで相手チームを分断し、バックランドの勝利をアシストした。

 試合後、藤波は「自分が夢を見て米国に飛び立って、MSGでベルトを獲って40年です。その時に、彼も時を同じくしてニューヨークでヘビー級のチャンピオンになりました」と歴史を振り返ると、「我々レスラー全員の憧れであったブルーノ・サンマルチノさんが他界しました」と、先日、82歳で亡くなった“人間発電所” ブルーノ・サンマルチノ氏への哀悼の意を示した。サンマルチノ氏は元WWWF世界ヘビー級王者で、故ジャイアント馬場さんのライバルとして活躍。藤波が40年前にベルトを巻いた際にも「真っ先に祝福してくれた」存在であり、13年にはWWE殿堂入りを果たしていた。追悼の10カウントゴングが打ち鳴らされると、バックランドも「彼は偉大なチャンピオンだった」と、その死を悼んだ。

 試合後のバックステージで、バックランドは、42年前、フロリダ州タンパから約300マイルのドライブをし、今回が初タッグとなった長州と握手。3年前にWWEのリングに上がって以来となる試合に「緊張した」と語ったバックランドに、藤波も「3年前の(WWE殿堂入りでの)約束を果たしてくれて感謝している」と破顔一笑。40年前と現在、ニューヨークと東京、2つの時代と場所をまたいでの時空を超えた再会に、さまざまな感情と思い出を甦らせた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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