日本ハム・近藤健介、打率4割の現実味 ヒットを量産できる3つの要因
日本球界史上初の「打率4割」が期待される日本ハム・近藤 【写真=BBM】
打撃覚醒の大きなポイントとは!?
■軸足のタメ
左バッターの近藤にとって軸足は左足。投手が投球動作に入ると右足を少し上げる。このときに体の重心を左半身に乗せる。右足を着地させるときは「とにかく優しくです」。その狙いについて「左足にタメを作って、そのパワーをバットに伝えていくわけですけど、そこで突っ込み過ぎてしまうと今度は体重が前のめりに乗り過ぎてしまうんですよね。左足に体重は残しつつ最後は体の軸で回りたいので、本当に右足は優しく、優しくステップする意識です」と、過去のインタビューの中でも明かしている。
■体重移動
十分に“タメ”を作ることで、ボールを見極める際にも大きなメリットを生む。左半身に移動させた重心をどっしりと固定させることで視線がブレにくくなり、極端に言えば体重移動をするのはこの部分だけ。弓を射る際に後ろへ大きなパワーをためるように、打つべきポイントにボールが来るタイミングに合わせて手から矢を離すようにバットを振り出す。体の軸は左足の位置のまま回転。右足以外はほぼ前に出ないため、インパクトの瞬間まで目線は同じポジションを維持することができる。
■タイミング
この一連の動作でほかのバッターたちに比べて見た目でコンマ数秒だが、アドバンテージを得ていることになる。
「その時間でストライクかボールの判断、振る準備も自分の中で余裕を持ってできるようになりましたし、タイミングも取りやすくなったと思います」
投球の軌道、スピード、ストライクかボールの判断など数秒の間にさまざまな状況把握が必要となる打者にとってじっくりと見極められる「時間」を、試行錯誤の末に完成させた打撃フォームによって生み出している。結果、ボールゾーンに手を出す確率が極めて低くなるなど、左足のタメを意識して作り出した時間によるメリットを最大限に生かしている。
データ上では弱点が見当たらない!?
シーズンを通してベストなコンディションを維持できれば、夢の数字も現実味を増してくる。現状で近藤が最も意識しているのは「良くない打撃が長続きしないように心掛けている」。試合前の打撃練習ではセンター方向へ打ち返すことを繰り返し、軸足のタメ、体重移動、ミリ単位でのタイミングのズレを確認しながらセンター返しの感覚を体に染み込ませている。ハイアベレージを可能にする打撃フォームの維持と日々の鍛錬の中からさらなる進化を遂げれば、日本球界初の「打率4割」という未知の数字もこの男なら、もう決して夢物語ではない。
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