主役を張り続けるメッシとC・ロナウド W杯でも“頂上決戦”は実現するか

バロンドールを独占してきた2人

メッシとC・ロナウドは、10年間にわたってバロンドールを独占してきた 【Getty Images】

 あれは2017年のコンフェデレーションズカップ開催中のことだった。ポルトガル代表がロシアのカザンを訪れた際、記者会見を行った同市のメシン・イルスル・ライソビッチ市長は、ワールドカップ(W杯)ロシア大会にてリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが、同市で試合をする機会に恵まれることを望んでいた。

 結局、彼の願いはかなわずじまいとなったが、アルゼンチンとポルトガルが共にグループリーグを首位通過し、勝ち進めば7月7日(以下、現地時間)の準々決勝でソチでの対戦が実現する。両者が共にグループ2位通過となった場合も、6日に行われる準々決勝をニジニ・ノブゴロドで戦うことになる。

 W杯の晴れ舞台で両者の対戦が実現すれば、それは過去10年間にわたってバロンドールを独占し、それぞれのスタイルとタレントをもって現代のフットボールに多大な影響を与えてきた2人の頂上争いに華を添える一戦となるだろう。

 だがフットボールを愛するわれわれには、W杯の前にも2大スターの競演を目撃する機会が設けられている。5月6日にカンプノウで行われるラ・リーガ第36節のエル・クラシコでは、すでに優勝を決めている可能性が高いバルセロナに対し、国内での目標を失っているレアル・マドリーは誇りを懸けて戦うことになる。

CLでのエル・クラシコは実現ならず

バルセロナは準々決勝で敗退、CLでのエル・クラシコ実現とはならなかった 【写真:ロイター/アフロ】

 チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のファーストレグが終わった時点では、準決勝か決勝でのエル・クラシコ実現も期待された。だが、結局はバルセロナがローマとのセカンドレグでまさかの逆転負けを喫したことで、ヨーロッパでの対決は来季以降にお預けとなった。

 これまでメッシとC・ロナウドが築いてきた輝かしい功績は、メディアが伝えている数字だけでは語りきれない。2人は所属クラブの主役を張り続ける偉大なるクラック(名手)として、他のあらゆる選手が到達不可能なレベルの影響力を維持し続けてきたからだ。

 昨季CL2連覇を成し遂げた後、チーム全体が緊張感を維持できなくなった影響もあり、C・ロナウドは今季の前半戦を通して得点数の低下に苦しんだ。それが18年に入って以降は完全復活を遂げ、際立ったパフォーマンスを発揮し続けている。

 C・ロナウドは今季ここまでレアル・マドリーとポルトガル代表で44試合に出場し、44ゴールを挙げてきた。とりわけCLでは開幕から10試合連続で計15ゴールを挙げている。これは並大抵のことではない。

 歴代トップのCL通算120ゴールを記録しているC・ロナウドに対し、メッシは歴代2位の100ゴールに到達したばかりだ。ただ彼はC・ロナウドより3歳若いだけに、最終的に記録を塗り替える可能性は十分にある。

 今季のCLでは10試合で6ゴールにとどまったが、バルセロナの全公式戦ではこれまで47試合に出場し、39ゴールを積み重ねている。そこにアルゼンチン代表での3ゴールを加えた42ゴールはC・ロナウドに次ぐ数字である。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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