【ノア】タッグリーグは潮崎&清宮組が優勝 三沢さんの思いを持って王者組に挑戦へ

高木裕美

リーグ優勝も「オレたちはまだまだ発展途上」

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 プロレスリング・ノア「GLOBAL TAG LEAGUE 2018」最終戦となる11日の東京・後楽園ホール大会では、優勝決定戦などが行われ、830人を動員した。

「GLOBAL TAG LEAGUE 2018」優勝決定戦では、リーグ戦1位の杉浦貴&拳王組(4勝2敗1分=9点)とリーグ戦2位の潮崎豪&清宮海斗組(3勝2敗2分=8点)が激突。潮崎&清宮の「ゴーカイタッグ」が初優勝を飾り、現GHCタッグ王者のジ・アグレッションこと中嶋勝彦&マサ北宮組に挑戦表明した。

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 両チームは4.7大阪での公式戦で対戦し、30分時間切れ引き分けと決着がつかず。この日は、拳王が潮崎の坊主頭をグリグリとなで上げ、「中途半端にやってんじゃねえ」と挑発してみせれば、潮崎もチョップで呼応し、チョップとキックの打撃戦に。清宮も、かつては共闘していた杉浦に対し、エルボーで向かっていく。杉浦も潮崎を滞空式雪崩式ブレーンバスターで投げると、ジャーマンスープレックスの応酬に。潮崎をつかまえ、拳王のキック&杉浦のエルボーによる波状攻撃から拳王がブレーンバスターで投げ、杉浦がラリアット。しかし、潮崎も拳王にショートレンジラリアットを浴びせると、拳王のフットスタンプをかわし、ラリアットで迎撃。ゴーフラッシャーは杉浦にカウントを阻止されるも、杉浦をラリアットで黙らせると、拳王に逆水平チョップ、バックドロップから、雄たけびを上げての豪腕ラリアットで勝負を決めた。

 観客の大「潮崎」「海斗」コールを浴びた潮崎が「オレたちはまだまだ発展途上。これからもっともっと高みを目指して行ける。苦しい時間はたくさんあるけど、共に乗り越えていこうぜ」と呼びかけ、清宮とガッチリ握手。清宮もジ・アグレッションに対し、「オレたちがそのベルトに挑戦表明だ!」とアピールすると、北宮も「タッグのベルトを賭けてやってやる。胸貸してやるよ、覚悟して来い!」と呼応した。両チームは3.31後楽園での公式戦で対戦し、潮崎が北宮に19分53秒、豪腕ラリアットで勝利している。

潮崎が清宮とタッグを組んだ理由

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 若きイケメンタッグ優勝に客席が沸く中、潮崎にはもうひとつの思いがあった。今から9年前の09年、潮崎は三沢光晴さんとのタッグでリーグ戦に初優勝。2人で新しい時代を作るべく、6.13広島で当時のGHCタッグ王者バイソン・スミスさん&齋藤彰俊組の王座に挑んだが、その試合中のアクシデントで三沢さんは帰らぬ人となってしまった。あれから9年、今度は自分が、若きエース候補と組んで、タイトルに挑む立場となった。三沢さんが果たせなかった思い、叶えられなかった未来を実現するべく、「清宮は羽ばたける逸材。気持ちで立ち上がってくる強さに助けられた。これがゴールじゃない。通過点じゃないけど、さらに上を目指して行きたい」と、まずはタッグ王座獲りに挑む。

 9年前、三沢さんは、まだ経験値の低い潮崎を成長させるべくタッグを組み、自分が先頭に立って戦う姿を見せることで成長を促し、そして、2人でタッグの頂点に立つことで、ノアに新たな風を吹かせようとしていた。あれから9年。ゴーカイタッグが、ド派手にノアの“お宝”を奪い取り、新たな夢を叶えることができるか。

小峠が逆境をバネに王者・杉浦に挑戦

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、中嶋勝彦&マサ北宮&クワイエット・ストーム組vs.丸藤正道&小峠篤司&モハメド ヨネ組による6人タッグマッチが実現。4.29新潟で杉浦のGHCヘビー級王座に挑戦する小峠が意地で勝利をつかんだ。

 惜しくも決勝進出を逃した6人だが、それぞれには、どうしても決勝に残り、優勝したい「理由」があった。

 小峠は3.11横浜大会のリング上で新GHC王者・杉浦に頭突きを見舞って王座挑戦をアピール。新潟での挑戦権をゲットしたが、このタッグリーグ戦では無様な負け姿をさらすこともあり、横浜でブーイングをした観客、ダメ出しをした杉浦を見返すことはできなかった。

 今年はデビュー20周年の記念イヤーとなる丸藤は、9.1東京・両国国技館で記念興行開催が決定。さらに、今月は古巣・全日本プロレスの春の祭典「チャンピオン・カーニバル2018」への初参加もあり、両国大会を前に、ひとつでも“勲章”を増やすべく奮闘していた。

 中嶋&北宮のジ・アグレッションは3.11横浜で悲願のGHCタッグ王座初戴冠を果たしたばかり。それだけに、王者としてタッグリーグ戦も優勝し、「ノア最強」をアピールしたかった。

 一方、ヨネ&ストームの50ファンキーパワーズは逆に3.11横浜でベルトを落としたばかり。このリーグ戦で優勝し、早期のリマッチ&王座奪取を目論んでいたが、結果は残せず。それどころか、この6人タッグ戦では、パートナー同士が別々に分かれて対戦するという、屈辱的な扱いを受けることとなった。

 ジ・アグレッションは、決勝進出を逃がした憂さを晴らすべく、息の合った連係攻撃を連発。ストームも加わり、3人がかりで小峠の顔面を踏みつけ、合体のヒザ攻めを見舞う。だが、小峠も中嶋にドロップキックで反撃に出ると、丸藤と中嶋は激しいチョップとキックの応酬を繰り広げる。小峠は3人がかりのトレイン攻撃を浴び、ストームにブレーンバスターで投げられながらも、丸藤のカットで窮地を脱すると、ストームにジャーマンで投げられたところを着地して切り返し、キルスイッチで勝利をつかんだ。

 この日は勝利で締めくくった小峠だが、「リーグ戦ではさんざんピンフォールを取られて、笑いたければ笑えばいい。でも、新潟のタイトルマッチ、キッチリやりますよ。ブーイング、帰れコール、何でも来い。リアルに受け止めてやる」と、逆境をバネに、タイトル奪取に賭ける覚悟を明かした。

新ジュニアタッグ王座戦へ向け熾烈な争い

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 4月14日&15日に北海道・札幌マルスジムで行われる「第34代GHCジュニア・ヘビー級タッグ王座決定トーナメント」前哨戦として、ジュニア戦士によるシングルマッチ」4試合が行われた。

 GHCジュニアタッグ王座は、3.11横浜で小川良成&田中稔組が石森太二&Hi69組から王座を奪取。初戴冠となった稔は「平和ボケしたノアジュニアに違和感を与えたい」と“改革”に意欲を見せていたが、直後に小川から王座返上の強い要望があったため、「未練タラタラ」で了解。空位となった王座をめぐり、4チームによるトーナメントが実施されることになった。

 パートナーを失った稔は、やはり石森退団で相方不在となったHi69との合体を決意。1回戦では、原田大輔&タダスケの元大阪プロレスコンビとの対戦が決まったが、この日の前哨シングル戦では、ベテランの意地とテクニックが爆発した。

 Hi69は現GHCジュニアヘビー級王者の原田と対戦。入場しようとする原田に、リング上からトペスイシーダで突っ込んでいく奇襲戦法を仕掛けると、原田もパーカーを着たままHi69に鉄柵ラリアットで反撃。止めに入ったレフェリーを突き飛ばし、客席のイスを積み上げたところへブレーンバスターで投げる。だが、5分過ぎ、レフェリーが誤爆でダウンしたスキに、Hi69が机を持ち出し、コーナーからのテーブルクラッシュを見舞うと、ダイビングボディープレスからのみちのくドライバーβで完ぺきな3カウントを奪取した。

 師匠・TAKAみちのくの秘技でシングル王者からピンフォールを奪ったHi69は「まずは札幌で2人でベルトを獲る」と、まずはタッグ王座に照準を合わせながらも、「これで終わらせない」とシングルとの2冠も視野に入れた。

 稔もタダスケの奇襲攻撃にあうも、ベテランならではのテクニックで冷静に試合をひっくり返し、貫禄勝ち。鉄柵を使った左足攻め、左ヒザへのニードロップ、STFでヒザへのダメージを蓄積させ、さらに低空ドロップキック、ジャーマンスープレックス2連発。タダスケもラリアット、ファルコンアローで反撃に出るも、稔がヒザ十字固めでとらえるとギブアップした。タッグでの前哨戦では苦戦を強いられている稔は「オレたちぐらいのキャリアだと、悪い状況をひっくり返すことに燃える。オレたち急造チームが優勝して、ひっくり返す」と再び王座に返り咲いてノアジュニアへ一石を投じる覚悟を示した。

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 元王者であるHAYATA&YO-HEY組は、札幌の1回戦で大原はじめ&熊野準のバックブリーカーズと対戦。この日のシングル戦では1勝1敗の五分となった。

 大原はHAYATAの素早い動きを背骨への一点攻撃で封じると、バックブリーカー、変形サイドバスターなどで攻め立て、最後はムイビエンでギブアップ勝ち。「今までさんざん負けてきて苦手意識があったけど、勝てた自信で札幌にいい流れができた」と、まずは1回戦突破に燃えた。

 YO-HEYは熊野の腰への集中攻撃に苦しめられながらも逆転勝利。鉄柵攻撃や背中へのエルボードロップ、バックブリーカーなどで腰を徹底的に攻められながらも、アルゼンチンバックブリーカーを切り返し、顔面G1発でフィニッシュ。「ジュニアとは思えないパワーを持っていて、個人的にマークしていたクマさん退治ができて良かった」と、札幌決戦へ弾みをつけた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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