球団初の3連覇へ――広島の滑り出しは? 影を潜めている「逆転のカープ」

ベースボール・タイムズ

好スタート切るも4連敗で首位陥落

開幕カードの中日戦で3連勝を収めるなど、好スタートを切った広島だが…… 【写真は共同】

 球団初のリーグ3連覇を目指す広島が、期待と不安の入り混じった2018年のスタートを切った。

 開幕カードの中日戦に3連勝し、続く東京ヤクルトとの初戦にも勝利。25年ぶりとなる開幕4連勝を記録するも、昨季Aクラスの横浜DeNAと阪神には2カード連続での負け越しが決定。11日の阪神戦に1対4で敗れたチームは、昨年5月以来の4連敗を喫し、首位の座からも転落した。

 最初の7試合で6勝1敗と好スタートを切られた要因は、昨季各部門で圧倒的な数字を残した打撃陣にあった。負けゲームも含めて、開幕から7試合連続で5得点以上を記録。オープン戦終盤の故障で新井貴浩が開幕1軍を逃し、昨季終盤の右足首骨折から復帰した鈴木誠也が開幕からわずか4試合で離脱したが、連覇の原動力となった田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の1、2、3番トリオが好調で、松山竜平やエルドレッドなどが鈴木に代わる4番として機能した。

 投手陣を見ると、ここまでの6勝はすべて先発に勝ち星が付いている。その中で自身初の開幕投手を務めた野村祐輔は、2試合目の登板となった6日のDeNA戦でも8回3失点の好投でチームを勝利に導き、先発陣を引っ張る存在になりつつある。一方のリリーフ陣も、3セーブの中崎翔太を筆頭に、今村猛とジャクソンが3ホールドを記録するなど、安定した成績を残している。

「先行逃げ切り」でしか勝てておらず

 好調に見えたスタートから一転して、3カード目以降のDeNAと阪神との対戦では、チームの不安点が露出した形となった。

 4連敗中は完封負けこそないが3得点が最高で、投手陣も4敗中3敗が先発陣の黒星となり、勝ち負けのパターンが明確になった。試合展開を見ると、さらに顕著な傾向が見える。ここまでの5敗中4試合で相手に先制点を許しており、逆に6勝中4試合で先制点を奪い、先に点を取られた残りの2勝も、序盤のうちに逆転している。昨季は88勝中41勝が逆転勝利で「逆転のカープ」と呼ばれ、特に試合終盤での逆転劇が目立ったが、今季はここまで、先行逃げ切りの形でしか勝てていない。

 そして、勝ち星こそ付いているが、先発陣にも不安要素がある。昨季15勝と大ブレークを果たした薮田和樹はオープン戦から制球難で、投球内容は最悪に近い。勝利投手となった今季初登板の試合でも5回3失点で降板し、2戦目もリードをもらいながらも四球がかさみ、6回途中でマウンドを降りた。2試合で計15四死球と不安定な内容は、1軍定着もままならなかった一昨年までの姿に戻った感もある。

 さらに本拠地・マツダスタジアムで行われた、今季最初のDeNAとの3連戦に負け越したことも今後への大きな不安材料。初戦を快勝しながら、その後は打線が振るわず今季初のカード負け越し。昨季のレギュラーシーズンで唯一負け越し、クライマックスシリーズ(CS)では悪夢の4連敗を喫した天敵への苦手意識が払拭(ふっしょく)できなかった。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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