“山田哲人2世”が飛躍のとき ヤクルト廣岡大志「毎日が勉強」

週刊ベースボールONLINE

7番という打順は大事なポジション

最も評価が高いのはスケールの大きいバッティング。4月7日の巨人戦では5安打を記録した 【写真:BBM】

 キャリアのある大先輩の背中から何かを学び、首脳陣の叱咤激励に必死に応える。かつて池山隆寛、川端慎吾らが着けた出世番号「背番号36」の継承者。チームの大黒柱となるべく、全力プレーを続けていく。

──自身が7番に入っている今季のヤクルト打線をどう感じますか。

 上位にすごい打者がたくさんいるという印象です。だからこそ、上位打線だけで終わらせないようにしないと。そのためには「7番」が大事なポジションだと感じています。下位のつなぎ役というか、しっかりと上位につないでいけば、上位で得点できるパターンが増えるはずですから。僕の後ろは中村(悠平)さんで、その次がピッチャーなので、8番で勝負されないケースも出てくると思います。走者がいる場面で僕が打たないと後ろの打者が苦しくなるので、そこは強く意識しています。

──現在、4番には青木宣親選手が座っています。廣岡選手から見て、青木選手がチームにもたらしたものは何だと思いますか。

 僕は春季キャンプからこれだけ長く1軍にいさせてもらうのは初めてなんですけど、本当に積極的に声を掛けてくださって。試合中でも、点を取られた直後に青木さんがベンチ前で集合をかけて「1点ずつだぞ」などと言ってくれるんです。みんなが思っていることでも、青木さんが実際に言葉にすることで、選手間ではっきりとした共通認識になりますから。本当にリーダーシップがある方だなと思います。

──新加入といえば、石井琢朗打撃コーチも広島から加わりました。

 バッティングにおいて意識するポイントなどを、選手一人ひとりに的確にアドバイスしてくれます。本当にありがたいですね。

──そしてヘッドコーチとして、燕のショートの大先輩である宮本さんが戻ってきました。

 すごく野球を知っている方です。ショートの守備について質問することがたくさんあるんですけど、勉強になることばかりです。記者の方にはバッティングのことばかり聞かれますけど、僕は「まずは守備から」と思っているんです。練習でいま意識しているのは、右足の運び方。右足で間を取るというか、ボールとの距離を取ることです。あとはグラウンドが土だったり、人工芝、天然芝で違うことが多いので、分からないことがあればすぐに聞きにいきます。

──話を聞いていると、廣岡選手が成長できる環境があると感じます。

 そうですね。毎日が勉強です。

グラウンドに立つ以上年齢は関係ない

ベンチに戻る際、ベテラン投手の館山昌平に声を掛ける廣岡(写真右)。グラウンドで最年少という意識は持たない 【写真:BBM】

──守備中にマウンド上のブキャナン投手に声を掛けるなど、内野の要である遊撃手の役割も、しっかりとこなしている印象です。

 要のポジションだということは自覚しています。ただ捕って投げるだけではない。しっかりと周りを見てプレーしないといけないので。自分よりも年上の選手ばかりですけど、グラウンドに立つ以上、年齢は関係ないと思っています。ひと言声を掛けることで投手が落ち着いたり間が取れるのであれば、積極的にやっていくべきですから。

──高卒3年目で開幕からスタメン出場を続けているわけです。心身の疲労はありませんか。

 2月から練習試合、オープン戦、そして公式戦と、ずっと出させてもらっています。周りからもよく「疲れていないか?」と心配されるんですけど(苦笑)、精神的には全然大丈夫です。むしろありがたいことですし、首脳陣の方々には感謝の気持ちしかない。まだまだ足りないので、24時間、野球のことだけを考えて、1日でも早くショートでレギュラーの座をつかみ取りたいです。

──まだつかみ取っていない?

 もちろんです。レギュラーだとは少しも思っていないです。西浦(直亨)さんも打っていますし、大引さんが戻ってきたらどうなるか分からない。すべてを認められてあの場所を守りたいですし、そのために毎日どん欲に取り組んでいます。体の張りはあっても、精神的なしんどさはないですよ。小川(淳司)監督からも「若者らしく、はつらつと」と言われているので。結果はもちろん大事ですけど、若いからこそできる思い切ったプレーもあるので、そういう部分でチームに勢いをつけて、勝利に導けたらなと思います。

(取材・構成=富田庸)

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