今年のドバイは青服ゴドルフィンが席巻 GIレース5戦4勝で日本馬もお手上げ

JRA-VAN

サンダースノー先行押し切り、スミヨン好判断

メインのドバイワールドカップもロイヤルブルーのゴドルフィン、サンダースノーがコースレコードで押し切った 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 現地3月31日にUAE(アラブ首長国連邦)のメイダン競馬場で、今シーズンのUAE競馬のフィナーレを飾るドバイワールドカップデーが開催された。

 1日に8つのサラブレッドのレース(そのうち5つがG1、残る3つがG2)と1つのピュアアラブのレースが組まれるドバイワールドカップデーは、賞金総額の合計が3000万米ドル(約32億円)で、1日の賞金総額では世界最高を誇るビッグイベント。

 今年はサラブレッドの8競走のうち、6つに日本調教馬が出走。その頭数は過去最高になる14頭を数えたが、今年の主役はUAEの副大統領と首相を兼務するモハメド殿下の競馬組織で、ロイヤルブルーの勝負服をトレードマークとするゴドルフィンだった。

 メインレースにあたるG1ドバイワールドカップ(ダート2000m)は、ゴドルフィンのサンダースノーが2:01:38のコースレコードで優勝。1コーナー手前で先頭に立ち、そのまま逃げ切りに成功した。最後は北米古馬の現役ナンバーワンといわれるウエストコーストに完勝して、昨年7月の仏G1ジャンプラ賞(芝1600m)以来となる3度目のG1制覇を果たした。今年のメイダン競馬場のダートコースは、前哨戦が行われた3月10日にもタイムが速く、逃げた馬に有利な馬場傾向を示しており、この日もその流れが続いていた。サンダースノーの鞍上C.スミヨン騎手は大外10番ゲートの発走もあって、最初は逃げるつもりはなかったようだが、何も積極的にいかないと見て先手を取った判断。勝利を呼び寄せる結果になった。

2年連続出走のアウォーディーは最後に盛り返して6着、意地を見せた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

「さすがにドバイワールドカップは簡単には勝てない」と武豊 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 日本からは昨年のこのレースで5着に入ったアウォーディーが出走し、2年連続の参戦で前進が期待されたが、6着に終わった。レース後に武豊騎手は、「1番ゲートだったので先行できれば良い形かなと思っていましたけど、なかなか外が速くていけませんでした。そのあとにリカバリーできましたし、去年より状態も良さそうでした。ただ、さすがにドバイワールドカップですから。そう簡単には勝てないですね」とコメント。スタートしてから1コーナーまでに前目のいいポジションを取れず、中団からの追走する苦しい状況で、3コーナー過ぎには先行勢に離されてこのまま後退してもおかしくないところから、直線でも盛り返す意地の走りを見せた。

レイデオロ敗因はスローペース

日本馬期待のダービー馬レイデオロだったが、スローペースに泣き4着 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 日本からサトノクラウン、モズカッチャン、レイデオロの3頭が出走したG1ドバイシーマクラシック(芝2410m)は出走10頭がすべてゲート内に収まったところで、ホークビルが立ち上がるアクシデントが発生。その影響を受けた隣の枠のサトノクラウンが、ホークビルとともに一旦ゲートの後方に出され、再び2頭が収まってからスタートが切られた。

ドバイシーマクラシックを制したホークビルは2つ目のG1タイトル 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 レースはスタート仕切り直しの原因を作ったホークビルが先頭に立ち、坦々としたマイペースの逃げに持ち込むと、最後の直線でも余力十分とばかりに後続を突き放して優勝。2016年7月のG1英エクリプスステークス(芝2000m)以来となる2つ目のG1タイトルで、ここもゴドルフィンの所属馬が勝利を手にした。ホークビルは3月10日の前哨戦G2ドバイシティオブゴールドで、同距離のコースレコード(2:26:85)を樹立しており、これで重賞2連勝。今後は昨年の凱旋門賞馬エネイブル、昨年の欧州最優秀3歳牡馬クラックスマン、折り合いを欠いてこのレースで3着に敗れた同じゴドルフィンのクロスオブスターズなどを相手に欧州のこの路線でどこまで戦えるか、真価を問われることになるだろう。

 日本の3頭は折り合いに専念して馬群の後方で機をうかがったが、前が止まらない展開に泣いて、レイデオロが4着、モズカッチャンが6着、サトノクラウンは7着に敗れた。

「ペースが遅かったので、少し引っかかってしまいました」とレイデオロ騎乗のルメール 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

モズカッチャン騎乗のC.デムーロもスローペースを敗因に挙げた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 レース後にレイデオロのC.ルメール騎手は「ペースが遅かったので、少し引っかかってしまいました。反応してくれましたが、前が止まらなかったです」とし、モズカッチャンのC.デムーロ騎手も「この馬には距離が少し長いのかなと思いました。道中もスローペースでなかなか動けませんでしたし、厳しい競馬でした」と、両者ともにスローペースを敗因の一つに挙げた。サトノクラウンのJ.モレイラ騎手は「ゲートで隣の馬が立ち上がって、クラウンの方に乗っかろうとしたり、道中も他馬にぶつけられたりして、まったく彼のレースができませんでした」とコメント。こちらはスタート前から半ばレースを壊されることになってしまった。

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