混戦ドバイ、武豊アウォーディーに好機 レイデオロほかGI・4レースを徹底展望

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【ドバイワールドカップ】絶対的な強豪が不在

今年ドバイWCで頂点に立つのは?(写真は昨年、アロゲートで制したマイク・スミス騎手、ボブ・バファート調教師ら) 【Getty Images】

 今年のドバイワールドカップは、昨年のアロゲートや一昨年のカリフォルニアクロームのような、ダートの本場アメリカで誰もが王者と認める絶対的な強豪が不在。アメリカからの遠征馬たちが中心勢力という構図自体に変わりはないものの、上位3着独占はおろか2着以内に他国調教馬が割って入る可能性も十分にありそうだ。

一応の主役は米国のウエストコーストか 【Getty Images】

 ひとまず主役を担うのはウエストコーストで、現状の実力はアメリカ勢の中で一枚上手。ここまでG1は2勝だが、ブリーダーズカップクラシック3着、年明けのペガサスワールドカップ2着の内容が光る。BCクラシック2着のコレクテッドはドバイ遠征を選ばず、両レースの勝ち馬ガンランナーはペガサスWCを最後に引退。また、このドバイWCにも参戦し、両レースでウエストコーストに最も近い着順で続いたガンナヴェラにはBCクラシックで5馬身、ペガサスWCでは10馬身余りの差をつけた。ムブタヒージやパブルに至ってはBCクラシックで17馬身以上も離しており、逆転は不可能と感じさせる。

 唯一、アメリカ勢の中でウエストコーストを負かし得るとすれば、未対戦のフォーエバーアンブライドルドになる。2017年のエクリプス賞最優秀ダート古牝馬を受賞するなど実績はアメリカ勢最上位。先行するウエストコーストと対照的に強靭な差し脚を武器としており、もつれる展開になれば豪快に勝利をさらうことがあるかもしれない。牝馬はドバイWCを未勝利というデータこそあるものの、現地到着後にオーナーから引退レースとなることも発表され、史上初の快挙へ渾身の走りを披露してくれることだろう。

ドバイWCと同条件の前哨戦「マクトゥームチャレンジ ラウンド3」を制したノースアメリカ 【Getty Images】

 現地の前哨戦「マクトゥームチャレンジ」シリーズでしのぎを削ってきたノースアメリカとサンダースノーは地の利を生かしたいところ。1600mのラウンド1と1900mのラウンド2でサンダースノーが先着し、ドバイWCと同舞台のラウンド3ではノースアメリカが逆転した。ラウンド3ではノースアメリカが5馬身余りの差をつけてレコード勝ちと一歩リードした感もあるが、当日のダートは超がつくほど高速化して先行有利が顕著だったため、追い掛ける形だったサンダースノーにも望みは残されている。一方で、ワールドカップも同じような馬場状態になれば、結果を出しているノースアメリカはウエストコーストにとってうるさい存在となる。

 ダート初挑戦のタリスマニックに待ち受ける結果はホームランか三振か。常識的には三振のケースだが、ホームランをかっ飛ばす可能性も少なからず秘めている。陣営が昨秋のアメリカ遠征でダートの感触を確かめているうえ、前走ではオールウェザー戦で足慣らしするなど、この一戦に臨むに当たり用意は周到。ブリーダーズカップターフ制覇をはじめ底力は申し分なく、一気に二刀流の世界王者に上り詰めることも。

武豊アウォーディーは混戦に乗じて首位争いに食い込みたい 【Getty Images】

 2年連続の挑戦となる日本のアウォーディーは、この混戦状況に乗じたい。初遠征の昨年でも5着と、歴代日本馬との比較で上位クラスの結果を残した。3着とは約3馬身差で、アロゲートとガンランナーという2頭のチャンピオン級も去ったとあれば、馬券を買って応援する日本のファンに応えてくれることもあるだろう。

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