八重樫東、再起戦快勝も不安を残す Sフライ転級に頭と体のギャップ感じる
2回TKOの快勝も「思ったように動けなかった」
10カ月ぶりの再起戦は2回TKOの快勝となった八重樫(左)。しかし、本人は不満も残った 【写真は共同】
「今日はやりたいこともできなくて、練習してきたこともできなくて、硬かったですね。怖くもあり、いろいろなことを考えちゃって……。でも、こうやって戻ってこられて、すごく楽しいところだなというのを思いますし、やっぱりリングはいいですね」
試合直後、久しぶりの『アキラ・コール』に包まれながらリング上で行われたインタビューと同様、八重樫の動きはどこか歯切れが悪かった。
前に出てくる相手に対し、1ラウンドは足を使いながら探るように試合を進め、2ラウンドからは足を止めて接近戦で攻め落とした。ボディを効かせ、打ち下ろすような右でキャンバスに這わせると、再開後、さらにロープに詰めて連打でダウンを追加。最後は左ボディで沈め、レフェリーがストップしたが、「力技ですよね。思いのほか、思ったように動けなかった自分自身に情けなさを感じました」と苦笑いを浮かべた。
「ずっと出入りのボクシングを練習してきたので、それをやりたかったんですけど……。調整段階では、すごく上手くいって、自分に期待感もあったのでガッカリ……」
スーパーフライ転級で「伸びしろ」を感じていた
八重樫の思いをくみ取りながらも大橋秀行会長は結論を保留。時間をかけて八重樫の動きを確認し、スパーリングの中でダメージを慎重に見極めた。現役続行を正式に発表したのは昨年10月。同時に2階級上げて、スーパーフライ級で日本人初となる4階級制覇を目指すことを宣言し、今回がその第一歩だった。
とはいえ、相手は生粋のスーパーフライ級ではなく、20勝(12KO)18敗2分の戦績が示すように力の差は明白。相手どうこうではなく、「明日は自分の体の動きを確認したいのが一番」と八重樫も話していた。ライトフライ級では「筋肉を削る部分が多少あった」と厳しい減量を強いられたが、階級を上げたことで前日計量後の表情は明るかった。
「体重の心配がないので最後までしっかりトレーニングできたし、いろいろ試したかったこともできて、収穫があった」
「筋量(を増やすこと)もそうだし、まだやれることがある」と、スーパーフライ級への適応はこれからとしながらも調整に手応えを感じ、その“これから”という部分、つまり伸びしろがあることにも喜びを感じている様子だった。