金本阪神、リーグ優勝へ準備は万端 若手の台頭で超変革が一気に加速

ベースボール・タイムズ

希望を抱く2人の2年目右腕

オープン戦で好投し、先発ローテ入りが期待される高卒2年目の右腕・才木 【写真は共同】

 投手陣では、将来のエース候補が飛躍を遂げるシーズンとしたい。昨季は桑原健太朗、マテオ、ドリスを中心とした鉄壁リリーフ陣が12球団トップの救援防御率2.64の安定感を見せてイニング終盤に強さを発揮した反面、先発陣が不安定で盤石のローテーションを築くことは出来なかった。藤浪晋太郎、岩貞祐太とエース級の活躍を期待された左右の若手が不振に苦しんだことが主な要因だった。

 その中でローテーションの一角に食い込んだのが、ルーキーの小野泰己だった。150キロを超えるストレートはキャンプの時点から首脳陣に高く評価され、5月21日のヤクルト戦で1軍デビュー。8月29日の同カードではプロ初勝利を挙げた。好投しても打線の援護に恵まれない試合も多く、2勝7敗という数字以上に大きな可能性を感じさせ、特に奪三振率は7.21と優秀な成績を残した。長いイニングを投げ、「勝てる投手」へと一皮向けてもらいたいところ。3月7日のDeNAとのオープン戦では5回を2安打無失点に抑え、2軍戦も含めたそれまでの実戦登板5試合で計14イニングを無失点とした。

 もう一人、高卒2年目の才木浩人にも大きな期待が寄せられている。強気な性格はマウンド上でさらに発揮され、キャンプから好投を続けると、3月6日のDeNAとのオープン戦では中継ぎで4イニングを1安打4奪三振無失点の快投劇。力強いストレートでアピールを続けており、先発ローテ入りの可能性も急浮上中。この若き2人が、虎投手陣の新たな希望となりそうだ。

金本監督、3年目の開花なるか!?

 チームの課題は得点力不足にある。その打線の中心には、今季も鳥谷敬、福留、糸井のベテラン左打者が並び、開幕投手はメッセンジャーが務めることが確定的。そこに右の長距離砲である新戦力と若手が加わり、小野、才木がローテーション投手として確立すれば、投打ともに選手層はかなり厚みが増すことになる。

「超変革」を掲げてスタートした金本阪神1年目は、新人王に輝いた高山俊ら多くの若手が台頭。2年目の昨季は上本博紀、俊介ら中堅選手の奮起で順位を4位から2位へと押し上げた。若手、中堅、ベテランの力が融合できるのが強いチーム。藤浪の復活が大きなカギではあるが、そこに頼れずとも、これまでに蒔いた種は、確実に根を張り、芽を出してきている。あとは、花を咲かせるだけ。その準備は整っている。いよいよ勝負の3年目。狙うは、13年ぶりとなるセリーグの頂点のみだ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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