円熟期の広島が偉業となるV3狙う 投打で予想外のプラスアルファが必須

ベースボール・タイムズ

6人目の先発として有力視される左腕・高橋昂。花咲徳栄高時代は楽天・藤平らと並んで“高校ビッグ4”と称された 【写真は共同】

ドミニカ人野手メヒアの打棒に期待

 外国人では昨季、鮮烈なデビューを飾って計11本塁打を放ったバティスタに続いて、同じドミニカアカデミー出身のメヒアが脚光を浴びそうだ。バティスタと同じく6年という長期契約で昨季途中に支配下登録されるとともに、ウエスタンリーグで首位打者となる打率3割3分1厘に加えて18本塁打、77打点をマーク。今季のオープン戦では14試合に出場して、4本塁打と10打点はチームトップ。打率も3割とアピールを続け、球団の外国人選手では在籍最長となるエルドレッドを脅かす存在になりつつある。一塁での出場が多かったが、本職は三塁。守備に不安はあるが、2軍と同様の打棒が発揮できれば、昨季10年目でようやく規定打席に達した安部友裕を押しのけて、一気にレギュラーの座を奪う可能性もある。

高卒2年目の高橋昂&坂倉が成長

 現有戦力のレベルアップでチーム力向上を図る状況の中、ブレークが期待されるのが高卒2年目の選手になる。投手では、長年チームのウィークポイントとなっている左腕の先発候補として、高橋昂也の株が急上昇している。花咲徳栄高時代は横浜高の藤平尚真(東北楽天)らと「高校ビッグ4」と称され、甲子園でも活躍したホープは、ルーキーイヤーからファーム日本選手権で先発して勝ち投手となり、優秀選手賞にも選ばれた。そして春季キャンプから1軍に抜てきされた今季は、オープン戦でも2試合8イニングを投げて自責点0(2失点)と好投を続けており、6人目の先発投手として最有力の位置にいる。

 また、中村奨の入団で注目される若手捕手陣では、昨季、高卒ルーキーながらウエスタン・リーグで打率2位の好成績を残した坂倉将吾の評価が高い。春季キャンプでは、視察に来た侍ジャパンの稲葉篤紀監督が「これから野球界を背負っていく捕手になる」と賞賛。首脳陣や解説者などの評価でも、比較対象に鈴木誠也や前田智徳の名前も出るほどの打撃センスは、捕手だけでなく左の代打要員として1軍ベンチに定着する可能性もありそうだ。

 3連覇を阻止するべく、各チームが「打倒・広島」でシーズンに臨む中、補強なしのチームに必要なのが、昨年の薮田や一昨年の野村のようなタイトル級の覚醒を見せる選手の出現だろう。昨季終盤に故障で離脱した鈴木も開幕には間に合いそうな状況で、リーグ屈指の破壊力は健在だが、V9の巨人以来となる偉業を果たすためには、投打で予想外のプラスアルファが必須となる。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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