V奪回を図る巨人、若手の成長に光明 上原復帰で投手陣は盤石の陣容

ベースボール・タイムズ

10年ぶり古巣復帰を果たした上原。リリーフ陣の厚みが一気に増した 【写真は共同】

得点力不足解消の救世主ゲレーロ

 昨季は「30億補強」を敢行しながら球団ワーストの13連敗などで低迷、11年ぶりのBクラスに沈んだ巨人。今季は、球団史上3度目となる4年連続V逸をなんとしてでも阻止しなければいけない。その意思は、少数精鋭となった補強からも見てとれる。

 その筆頭が、ゲレーロの獲得だ。昨季55年ぶりに20本塁打以上の選手が0人と、大砲不在に泣いた巨人打線。それだけに昨年セ・リーグのホームランキングに輝いた助っ人の力は大きなプラス材料となる。オープン戦では5本塁打を放ち、新主砲としての働きを存分に見せた。不安が残るとすれば、得点圏打率の低さ。昨季が2割5分8厘で、オープン戦でも1割1分1厘とクリーンアップを任せる打者としては物足りない。昨季35本を数えたホームランのうち22本がソロアーチだったという事実もある。

 新大砲が得点圏にランナーを進めた場面で結果を残せるか。本拠地球場がナゴヤドームから東京ドームに代わったことは大きなプラス。他球団から研究されて「すでに弱点は判明している」とささやかれているが、その壁を乗り越えれば、昨年の覇者・広島につけられた得点差200は一気に縮められるだろう。

上原復帰でリリーフ陣の厚みが増す

 投手陣の新戦力では、10年ぶりに古巣復帰を果たした上原浩治の存在が大きい。移籍先がなかなか決まらなかったことで調整面での不安も懸念されたが、2軍の練習に合流してすぐにブルペン入りして抜群の制球力を披露。そして20日の北海道日本ハムとのオープン戦で3426日ぶりに東京ドームに帰還して1イニングを1四球、無失点。ストレートの制球が定まらずに内容的にはまだまだの部分もあったが、スタンドからは総立ちでの“上原コール”。しばらく忘れていたファンの一体感が、間違いなく生まれた瞬間だった。

 澤村拓一も復活へ向けて、オープン戦6試合に登板して7イニング1失点(自責0)、防御率0.00と頼もしく、ここにレジェンド右腕が復帰したことでリリーフ陣の戦力は確実に分厚くなった。同時に、上原の加入は戦力としてだけでなく、育成という面でも大きな役割となるはず。日米で結果を残してきた大ベテランの経験は若手の刺激になることは間違いない。

 また、マイコラスが抜けたことで先発のコマ不足も不安視されたが、FAで野上亮磨を獲得。抜群の制球力と1年間ローテーションを守れるタフさを持ち合わせるだけに期待は高まる。菅野智之、田口麗斗の両看板に、汚名返上に燃える山口俊も順調な調整を続けており、新たに中川皓太が頭角を現すなど、投手陣は盤石の陣容が整いつつある。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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