「元祖下克上」ロッテのチーム改革 経験十分の井口新監督の手腕に期待

ベースボール・タイムズ

「2番・ショート」のルーキーに期待

ドラフト2位ルーキー・藤岡裕(写真左)は「2番・ショート」での開幕スタメンが有力。井口新監督の評価も高い 【写真は共同】

 新人たちはどうだろう。注目のドラフト1位入団の安田尚憲(履正社高)は、清宮幸太郎に匹敵する左の大砲として周囲の期待は大きい。オープン戦では4番も任され、初安打がサヨナラ安打と大器の片りんは見せた。だが、その後は実力不足を露呈してオープン戦13打数1安打の打率0割7分7厘で、開幕は2軍スタートが濃厚となった。

 その中で開幕から1軍でその姿が見られそうなのは、2位入団の藤岡裕大だ。亜細亜大時代から世代別の日本代表に選ばれ、社会人のトヨタ自動車では都市対抗で優勝して新人賞に当たる若獅子賞に輝くなど、華々しい活躍をしたショートストップ。攻走守でハイレベルな動きを見せ、井口監督の評価も高く、「2番・ショート」での開幕スタメンが有力視されている。トヨタ自動車では昨季新人王を獲得した埼玉西武・源田壮亮の1年後輩だが、「打撃では源田さんよりもいい成績を残したい」と、同じポジションのライバル超えを狙っている。

 ドラフト組では、4位の菅野剛士もオープン戦で積極的に起用され、開幕1軍のみならず、外野の一角も狙う活躍を見せている。こちらも明治大、日立製作所を経ての即戦力選手で、大学時代に東京六大学のリーグ記録となる通算28二塁打を放ったシュアな打撃が武器となる。

井口監督が掲げる「走塁改革」の効果

 井口監督は、「足でプレッシャーをかけ、つなぐ野球」を目指して「走塁改革」を掲げ、年間140盗塁をチームの目標に設定した。荻野貴司や岡田幸文などの俊足選手だけでなく、加藤翔平や中村奨吾、鈴木大地ら脚力のある選手でチャンスを作り、角中勝也や外国人選手のクリーンアップで返す野球が理想となる。

 投打にそれなりに実績のある選手はそろっているが、選手層を考えると、群雄割拠のパ・リーグではやや見劣りする点も否めない。その懸念通り、20日の西武戦で右腰背部のケガから復帰したばかりの角中がフェンス直撃で負傷交代。左ふくらはぎ肉離れで離脱中の清田育宏に加え、荻野、そして期待のルーキー・藤岡も一時離脱。その間にプロ3年目の平沢大河がオープン戦14試合で37打数10安打、打率3割1分3厘とアピールしたが、故障者続出はそのままチーム作りの停滞へとつながるだけに極力避けたいところだ。

 他球団と比べると戦力的には見劣りするが、新監督の下でAクラス入りを果たせば、「元祖下克上」のチームカラーから、頂点も決して夢物語ではない。日本シリーズとワールドシリーズの優勝を経験し、MLBでプレーした日本人として初の監督となった井口監督の手腕に注目だ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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