10年ぶり頂点狙う西武の期待と課題 黄金期知る辻監督の下でチャンス到来

ベースボール・タイムズ

首位打者・秋山ら圧倒的攻撃力が武器

昨季は首位打者と最多安打に輝いた秋山。今季もリードオフマンとして、打線をけん引する 【写真は共同】

 辻発彦新監督の下、4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした2017年の埼玉西武。優勝した福岡ソフトバンクに13.5ゲーム差の2位でシーズンを終了したが、CSではファーストステージで東北楽天に敗れた。圧倒的な攻撃力を武器に、今季は08年以来となるリーグ優勝を狙う。

 昨季はチーム打率(2割6分4厘)、盗塁数(129)でリーグ1位、本塁打数(153本)も同2位で、リーグ断トツの690得点を記録した。初の首位打者に輝いた秋山翔吾をトップバッターに、中軸には浅村栄斗、中村剛也、メヒアに加え、昨季23本塁打と本格化の兆しを見せた山川穂高ら一発屋をそろえた。

 さらに新人王の源田壮亮、外崎修汰、金子侑司の3人で計85盗塁を記録した機動力も織り交ぜ、その攻撃力はリーグ屈指の破壊力を誇る。一方で、昨季11勝を挙げた野上亮磨がFAで巨人、リリーフでも牧田和久がポスティングシステムを利用してパドレスに移籍した。エースの菊池雄星への過度な依存は危険。十亀剣が好調をキープしている点は頼もしいが、10年ぶりの頂点へ向けて、依然として投手陣が大きな課題であることは明白だ。

103マイル右腕の先発入りなるか

 課題解消へ向けて獲得した新外国人選手は、カスティーヨ、ワグナーの2人。ドミニカ共和国出身の右腕カスティーヨは、16年に103マイル(約166キロ)を記録したという速球が持ち味。2月の千葉ロッテとの練習試合で150キロ超を計測し、オープン戦2試合登板で9イニングを投げて5安打2失点、防御率2.00。このまま大崩れせずに試合を作れれば、シーズンを通しての先発ローテ入りからの2ケタ勝利が期待できる。リリーフタイプのワグナーと日本9年目となるウルフを加え、外国人枠は投手3人が占めることになりそうだ。

 FA移籍した野上の補償選手として巨人から加入した高木勇人も、先発ローテの一角として期待。昨季は不振で1勝に終わった高木だが、ルーキーイヤーの15年には9勝をマークするなど、安定感のある投球は首脳陣の評価が高い。持ち前の“天然ぶり”ですでにファンの心はつかんでいる。オープン戦では古巣相手に先発して7回1失点と好投するなど、2試合で計12イニングを投げて7安打、2失点、防御率1.50。先発ローテ入りが濃厚で、野上を上回る成績を残す可能性もありそうだ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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