ハリル「まだまだ準備ができていない」 国際親善試合 マリ戦後の会見

スポーツナビ

マリ戦後、ハリルホジッチ監督は「まだまだ本大会の準備ができていない」と嘆いた 【Getty Images】

 サッカー日本代表は23日、ベルギーのスタッド・モーリス・デュフランで国際親善試合のマリ戦に臨み、1−1で引き分けた。日本は前半44分にアブドゥライ・ディアビにPKを決められて先制を許したが、後半49分に途中出場の中島翔哉が代表初ゴールを決めて同点に追いついた。

 マリとの対戦を選んだのは、6月にワールドカップ(W杯)本大会で対戦するセネガルに近いタイプというのが理由だった。同じアフリカ勢との対戦についてヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、「アフリカのチームと対戦すると、どうなるかということがよく分かった。日本人はデュエル(球際の競り合い)の面で難しさがある。より速く、より爆発的にやらないと、相手の方が上回ってしまう」とコメント。「まだまだ本大会の準備ができていない」「全ての面をトレーニングしていくしかない」と、選手たちにさらなるレベルアップを求めた。

 日本の次戦は27日、ウクライナと対戦する。

日本人はデュエルの面で難しさがある

 何を言えるかな、という試合だった。やるべきことはたくさんある。かなりあるということだ。今日は深い分析には入りたくない。情報はたくさん得られたが、ポジティブなものばかりではない。現実を直視して、トレーニングを続けるしかない。W杯はまだまだ遠いという感じだ。

──チームとして「仮想セネガル」のマリにどういう狙いで、どれだけのことができたのか。新しい選手を多く試したが、彼らの評価とインパクトを残した選手は?

 セネガルの方が、マリよりもかなり強い。今日は深い分析には入りたくない。というのも、かなりの選手を試したからだ。ただし現実は見ないといけない。それがわれわれにとって大事なことだ。皆さんが想像している以上に、やらないといけないことがある。誰のことも、まだ判断したくはない。チャンスを与えて、ソリューションを探している段階だ。5〜6人スタメンで出したい選手がいない。それを痛感した試合だった。

(次に対戦する)ウクライナはもっと強く、クオリティーもある。このようなアフリカのチームと対戦すると、どうなるかということがよく分かった。日本人はデュエルの面で難しさがある。より速く、より爆発的にやらないと、相手の方が上回ってしまう。まだアフリカとやる機会(5月30日のガーナ戦)があるので、そこでさらにテストしていきたい。

──監督は中島のようなプレーを他の選手にも期待したのではないのか?(田村修一/フリーランス)

 今回は(山口)蛍と昌子(源)に「中島がフリーだぞ」と、かなり声をかけていた。ずっと「ショーヤ、ショーヤ」と叫んでいた。同点に追いついたことについては、チームが諦めなかったという証明でもあるので、唯一ポジティブなことだった。もちろん5〜6回は得点できるビッグチャンスはあったが、彼ら(マリ)はペナルティー(キック)を得られた。

 少し未熟なプレーもあったが、選手は最後まで諦めずにオーガナイズを保ったままプレーしてくれた。今回は2つの異なるオーガナイズにトライした。ただし、私が期待するW杯本大会のチームからはまだ遠い。戦術の分析に入る必要はないが、もっとできるという選手はいた。

負傷した大島は「素晴らしいプレーをしていた」

ハリルホジッチ監督は負傷交代するまでの大島のプレーをたたえた 【Getty Images】

──「まだまだやるべきことはある」ということだが、具体的にはどういうことか?(大住良之/フリーランス)

 全てだ。全て、全て、全てだ。昨日も言ったが、私は作り話をしたいわけではない。W杯が何なのかということを知っているつもりだ。全ての面をトレーニングしていくしかない。われわれは、われわれ自身に正直でなければならない。そうすることでしか、向こう(ロシア)で結果を残すことはできない。いつもテストの結果に満足するわけではないが、それを続けるしかない。

(マリ戦は)5〜6人、スタメンを予定していた選手を欠いた状態で戦った。私にとっては現在、良いパフォーマンスの選手がプレーするということだ。(そういう選手を)試さないといけないし、すべての面で伸ばさないといけない。戦術、フィジカル、メンタル。メンタルでも、ポジティブなことでいろいろなことがある。W杯の本大会で、こんなにビッグチャンスは作れない。5〜6回くらいチャンスがあったし、最後のラストパスやシュートで惜しい場面もあった。しかし本大会では、そんなにチャンスはないはずだ。

──前半34分に負傷交代した大島僚太のけがの具合はどうか。また彼の評価と、いなくなってからの攻撃の違いは?

 大島はこれが初めてのけがではないので残念だ(昨年12月のEAFF E−1サッカー選手権、中国戦でも負傷交代)。前回も少しリズムが上がるとけがをして、今回も同じような状態だった。組み立てのところでは、しっかりかかわっていいものが見られたし、前方へのパスもよかった。横パスを出す選手が多い中、彼は縦に出すことができていた。テクニック面では日本でもベストプレーヤーの1人だから、しっかり前に行けていた。ただし、何度も筋肉の問題が起きている。なぜそれが、また起きたのか。私が長い時間、ずっと話していることを聞いてほしいところだ。

 第2ラインで前方にグラウンダーで素早く仕掛ける選手であり、ターンも速いし、認識能力も高い。ただ大島の代わりに誰を使うかとなると、また難しい。大島のけがは初めてではない。12月、しっかりケアをするようにフィジカルトレーナーに言ってきた。彼は小柄な選手(168センチ)なので、筋肉も短い。俊敏な筋肉を使わないといけない選手だから、しっかりストレッチと筋力強化をする必要がある。まだけがの状態は詳しく分からないが、重大でないことを祈る。負傷退場するまでは、素晴らしいプレーをしていたので、そこはうれしかった。特に背後へのギャップを突くパス。真ん中から前線を動かすように指示していたのだが。

 申し訳ないが、これからパリに行かないといけない。短い距離を往復する必要がある。まだ、たくさんやることがあるということで、皆さんがこのシチュエーションを理解することを願っている。まだまだ本大会の準備ができていない。それ以上のことは、今は言えない。

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