ケガから復帰する主砲、エースら センバツへ特別な思いを持つ選手たち

松倉雄太

竹谷理央(星稜)

昨秋は右手有こう骨の疲労骨折もあり、ほとんど登板がなかった竹谷(星稜)だが、今春の甲子園では背番号1を背負う 【写真は共同】

 1年夏の甲子園でマウンドに上がったチームの顔。新チームでは「4番・ピッチャー」で主将も任された。しかし9月の県大会中に、痛めていた右手が悲鳴を上げた。「有こう骨を疲労骨折していました」と状態を明かす。手術を決断し、北信越大会では「無理をした」という状態で野手として出場した。当時1年生だった右腕・奥川恭伸らが躍動する中、「自分は口ではなくプレーで引っ張りたいと思っていたので」ともどかしい思いもしていた。

 だが年が明けて投手として本格復帰すると、ケガの功名が現れる。自然と力が抜け、テーマにしていた脱力を生かせるようになった。秋に投手としての実績がほとんどない中で、今大会は背番号1をつける。「奥川らが成長したのは頼もしい」と主将としてのコメントを発する眼差しの奥に、『春は俺もいるぞ』という思いが感じ取れる。イケメンでもあり、今大会で人気の出そうな投手の1人だ。

中畑隆之介(高知)

 3月15日のキャプテントーク。報道陣に1枚の紙が配られた。

「高知の島内優成主将は、3月14日の練習試合で左足首を骨折し、キャプテントークと抽選会には副主将の中屋友那投手が出席します」

 島内はチームを支える扇の要。翌日の抽選会で島田達二監督が明かしたのが、背番号12の平尾暁大を起用するプランと、ショートを守る中畑の緊急コンバート案だった。中畑は元々高校入学から1年秋まではマスクを被っていた。だがショートに移った後はレギュラーに定着し、島内が不動の捕手となり、センバツ切符をつかんだ。

 しかし、大会直前にまさかの骨折。その場面を見ていた中畑も「ヤバいと思った」という。無念の島内からは、キャッチャーミットと、投手陣の特徴や配球などを細かく書いたノートを託された。昨年、正捕手のケガを見事に埋めた大阪桐蔭の福井章吾(慶応大1年)のように、島内の分まで甲子園で暴れまわって見せる。
(※編注:22日、島内が選手登録を外れ中畑が主将を務めることが発表された。)
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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