【新日本プロレス】棚橋がNJC決勝へ「頂点に絶対に立つ」 ジュニアタッグ王座戦線で3組が争い

高木裕美

「もう一度、頂点に立ちたい。いや、絶対に立つ!」と“エース復権”を高らかに宣言した棚橋 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 16日の新日本プロレス「NEW JAPAN CUP 2018」東京・後楽園ホール大会では、春のナンバーワン決定トーナメント・NEW JAPAN CUP(NJC)準決勝1試合などが行われ、札止めとなる1716人を動員した。

 メインイベントのNEW JAPAN CUP準決勝戦では、棚橋弘至がジュース・ロビンソンを破り、21日、新潟・アオーレ長岡での決勝戦へ進出。05年の第1回、08年の第4回以来、10年ぶり3度目となるNJC優勝へ王手をかけると、リング上から「もう一度、新日本プロレスの頂点に立ちたい。いや、絶対に立つ!」と“エース復権”を高らかに宣言した。

「大丈夫、ちょっくら優勝してきます」

掟破りの逆ハイフライアタック&ハイフライフローを受けたが、何とか逆転しハイフライフロー2連発でフィニッシュ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 この1年間、棚橋はひたすらケガに苦しめられ続けてきた。昨年5月は、アメリカ遠征中に痛めた右上腕二頭筋腱遠位断裂により「BEST OF THE SUPER Jr.24」のシリーズを欠場。6.11大阪城ホールでは内藤哲也からIWGPインターコンチネンタル王座を奪還し、7月にビリー・ガン、9月にザック・セイバーJr.、11月に飯伏幸太を退け、3度の防衛に成功するも、12月の「ワールドタッグリーグ」中に右ヒザを負傷し、再度の欠場。今年の1.4東京ドーム大会で復帰し、ジェイ・ホワイトを下すも、1.27北海道・札幌大会で行われた鈴木みのるとの防衛戦では、古傷の右ヒザを徹底的に攻められ、ヒールホールドからのヒザ十字固めでレフェリーストップ負け。右ヒザ変形性関節症と診断され、翌日から欠場していた。

 このNJCのシリーズに、黒のコスチュームで復活した棚橋は、ジュースに対し、徹底したヒザ攻め。だが、ジュースも場外で鉄柵を利用した捨て身のキャノンボールを敢行。棚橋もドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールド、逆エビ固めと攻め込み、さらにスリングブレイド、ハイフライアタック、ツイストアンドシャウト2連発。しかし、ジュースもブレーンバスター式のプリンスズスロウンを見舞うと、コーナーに駆け上がり、掟破りの逆ハイフライアタック&ハイフライフローを発射。あわやカウント3かというギリギリのキックアウトに、場内からはたまらず、大「棚橋」コールが沸き起こる。

 棚橋はジュースのナックルによろめきながらもドラゴンスープレックスで投げ捨てると、うつぶせ状態、あおむけ状態へのハイフライフロー2連発でフィニッシュ。まずは1枚目の決勝戦の切符を手に入れた。

 敗れたジュースからリング下にしまっておいたエアギターを手わたされた棚橋は、客席の「GO ACE」コールに対し、「最後まで応援ありがとうございました。ケガからの復帰のシリーズとして、期待よりも不安が大きいかもしれない。でも、一度リングに上がったからには、その心配はいらない。大丈夫。ちょっくら優勝してきます」と、いつものように軽く優勝宣言。熱のこもったエアギター演奏の後、「最後にみんなの前でハッキリ宣言しておきたい。もう一度、新日本プロレスの頂点に立ちたい。いや、絶対に立つ!」とキッパリと言い切ると、「皆さんの前で言ったからにはやるしかない」と有言実行を誓い、「じゃあ、最後に、後楽園ホールの皆さん、愛してまーす!」と大会を締めくくった。

オカダのV11と「世代交代」を阻止へ

久しぶりに聖地でパワーと元気をもらった棚橋は、「ちょっくら優勝してきます」と歓喜のエアギター 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 久しぶりに聖地のファンと触れ合い、パワーと元気をもらった棚橋は、「浮かれてますよ」と笑顔を見せると、新たに“基礎工事”から再構築を始めたという自身の状況について「いい感じ。今、まさにオレは全盛期を迎えてます」と、あくまでも上昇気流の真っ只中にいると断言してみせた。

「もう一度、新日本プロレスの頂点に立つ」と誓う棚橋の視線の先にあるのは、間違いなく、現在、“レインメーカー”オカダ・カズチカが保持する新日本の至宝・IWGPヘビー級王座。くしくも、6年前の12年2.12大阪で、当時、歴代最多防衛記録となるV11を達成していた棚橋にストップをかけたのが、まだ無名のオカダであった。この王座戴冠をきっかけに、オカダは瞬く間にスターダムを駆け上がり、いまや日本プロレス界を代表するスターに君臨。また、IWGP王座の防衛記録も、歴代2位に並ぶV10を達成し、棚橋の記録まであと1つと迫った。

 もし、棚橋がNJCに優勝し、オカダのIWGP王座挑戦を指名すれば、4.1東京・両国国技館大会での防衛戦が、運命のV11戦となる。ここで棚橋が勝てば、最多防衛記録には棚橋の名前だけが残り、再び“エース”棚橋時代が到来。だが、もし、オカダが勝利すれば、棚橋の記録は「1位タイ」と価値が薄れ、世間にも「世代交代」を決定づけてしまうことになりかねない。

 もちろん、打倒・オカダの前には3.21長岡での優勝決定戦が待ち構えているが、「全盛期」の棚橋が、このまま一気に突っ走り、もう一度、新日本の頂へと手を伸ばすのか。それとも、優勝決定戦で新世代選手に敗れた上、再び負傷欠場という泥沼の悪夢へと引きずり込まれてしまうのか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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