球団数は? マイナーとは? ルールは? MLB入門編<その1>

菊田康彦

ニューヨークなどの大都市には2球団

ニューヨークなどの大都市には2球団が本拠地を置く。写真はヤンキースの若き主砲・ジャッジ 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 さて、今では全米各地にフランチャイズを置くMLBだが、もともとは球団があるのは東部から中西部ぐらいまでに限られていた。それがジェット旅客機の登場とともに、西海岸にまで進出。米国内のみならず、一時はカナダにも2球団が本拠地を置いていたこともある(現在は、トロントに本拠地を置くブルージェイズのみ)。

 その中でも全米屈指の大都市には、各リーグ1球団ずつが本拠地を置いている。たとえば人口1位のニューヨークにはヤンキース(ア・リーグ東地区)とメッツ(ナ・リーグ東地区)。同2位のロサンゼルスには先述のエンゼルスと、日本でもおなじみのドジャース(ナ・リーグ西地区)。そして同3位のシカゴにはホワイトソックス(ア・リーグ中地区)と、今年からダルビッシュ有が加わったカブス(ナ・リーグ中地区)といった具合だ。

MLBのルールを日本が後追い

 ア・リーグとナ・リーグは歴史の長さだけでなく、制度にも違いがある。それが指名打者(DH)制の有無である。ナ・リーグは日本のセ・リーグと同様にDH制は採用していないが、ア・リーグはパ・リーグよりも2年早く、73年からDH制を採用している。エンゼルスはDHを採用するア・リーグの球団であり、今シーズンの大谷は基本的に先発ローテーションで投げて、その間に何試合かDHで出場という形での「二刀流」が有力視されている。

 日米間のルールの違いに関しては、MLBが先行して始めたものをNPBも踏襲するということがほとんどであり、基本的にはあまり変わらない。昨年からMLBが始めた、相手打者を敬遠しようとする際に、申告をすれば投球をしなくても敬遠のフォアボールになるという「申告敬遠制」も、今年のオープン戦からNPBで導入されている。

 MLBでは、2014年から従来のリプレー検証制度を拡大した「チャレンジ」が行われているが、NPBでも今年から「リクエスト」としてほぼ同様の制度を採用。これはストライク、ボールの判定を除くほとんどのプレーに対し、映像による検証(いわゆるビデオ判定)を1試合の中で一定の回数要求できるというもの(判定が覆った場合は回数が増えることもある)だ。ただし、MLBの場合は全球場の映像を一括管理し、そこに検証用の審判員を常駐させるなど、運用面では大きな違いがある。

 ルール面での最大の違いは、引き分けの有無だろう。NPBでは現在、試合時間に関わらず同点の場合は延長12回で引き分けとなる。MLBではこのような制限がないのだ。したがって同点のまま延長戦に突入した場合は、決着がつくまで何時間でも試合を続けることになる。昨年9月5日のレッドソックス対ブルージェイズの試合は実に延長19回、試合時間6時間の末にレッドソックスがサヨナラ勝ち。夜の7時過ぎに始まった試合がようやく終了を迎えた時には、既に日付も変わって深夜1時過ぎになっていた。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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